国土地理院の地図データを使って地形の3Dモデリングを行う際、「等高線が示している高さは地面なのか、それとも木のてっぺんなのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。特に山林などでは、実際よりも急勾配に見えることもあり、データの正確性が気になるところです。この記事では、国土地理院の等高線の定義や取得方法を踏まえた上で、地形モデリングで注意すべきポイントを解説します。
国土地理院の等高線データは「地面の高さ」を表している
国土地理院が提供する等高線データ(主に「基盤地図情報 数値標高モデル」など)は、航空レーザー測量や空中写真測量によって得られた「地表面の標高」を基にしています。ただしこの“地表面”とは、建物や樹木などの上面ではなく、あくまで「地盤面=地面の高さ」を指します。
つまり、基本的には等高線は木々のてっぺんや建物の屋上ではなく、地面の高さを示しており、植生の影響は除去されていると考えて差し支えありません。
なぜ実際より急に見える?その原因とは
地形モデリングで「実際よりも急な傾斜に見える」原因としては、いくつかの要因が考えられます。
- 標高メッシュの解像度(5mメッシュ、10mメッシュなど)によっては細かな起伏が表現できず、斜面が直線的に再現されてしまう
- 等高線の間隔(10m間隔など)が粗く、モデル上で急斜面が強調される
- 3D化の際の縦方向のスケーリング(Z軸の倍率)が過剰で、立体感が強調される
これらはデータの特性ではなく、モデリング処理の方法によるところが大きいです。
使用するデータの種類に注意しよう
国土地理院では複数の種類の標高データが提供されています。代表的なものは次の通りです。
| データ名 | 内容 | 用途例 |
|---|---|---|
| 数値標高モデル(DEM) | 地面の標高 | 地形解析、土木設計 |
| 数値地形モデル(DSM) | 地表面の高さ(木・建物含む) | 都市解析、眺望シミュレーション |
| オルソ画像 | 空中写真を正射補正 | 背景地図、土地利用把握 |
たとえば「DSM」は建物や木の上部まで含んだデータなので、これを使ってモデリングすると実際より高く急な斜面になる可能性があります。
3Dモデリング時の工夫ポイント
正確な地形モデルを作るには、以下のような工夫が有効です。
- Zスケールの調整:モデリングソフト上で縦方向の倍率を1:1に設定する
- 地図と組み合わせて視認性を確保:地図画像をオーバーレイして勾配や地形変化を確認
- 5mメッシュや10mメッシュの精細なデータを使用:国土地理院の「基盤地図情報」から無料でダウンロード可能
また、3Dモデル作成時に「ポリゴンの滑らかさ」も見た目に大きく影響するので、メッシュの解像度を適宜調整するのも重要です。
具体的なデータ入手先とリンク
以下のページから国土地理院の標高データをダウンロードできます。
「標高」カテゴリからDEMやDSMを選択して利用可能です。
まとめ|等高線は地面の高さ、モデリング時はスケールに注意
国土地理院の等高線は、原則として地面の高さを示すものであり、森林のてっぺんや建物の高さを反映したものではありません。ただし使用するデータの種類やモデリング処理によって、実際より急に見えることもあります。
目的に応じてDEMやDSMを使い分け、モデリング時のスケールや補間処理に注意することで、より現実に近い地形表現が可能になります。


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