タクシーと事故を起こしたら休車補償は必要?損害賠償と自動車保険のリアル

バス、タクシー

もし自家用車などでタクシーと接触事故を起こし、そのタクシーが走行不能になると、レンタカーのように“休車補償”を請求されるのか?という疑問は、交通事故の加害者になるリスクを考える上で非常に現実的です。この記事では、損害賠償の範囲や保険の適用、タクシー会社の対応事例まで詳しく解説します。

タクシー会社が請求するのは「営業損害」としての補償

一般的に、事故によりタクシーが使えなくなった場合、タクシー会社は修理費とは別に「営業補償(休業損害)」を請求してくることがあります。

これはレンタカー会社が請求する「NOC(ノン・オペレーション・チャージ)」と性質は似ていますが、タクシー業界では実際の損失(平均売上 × 営業不能日数)を根拠に算定されるのが特徴です。

保険に入っていれば個人が支払うケースは少ない

多くの場合、自動車保険に加入していれば対物賠償保険がこの営業損害をカバーします。上限額にもよりますが、数日分の営業補償(数万円〜十数万円)が対象となります。

例えば、1日あたり平均2万円の売上があるタクシーが3日間使えなかった場合、6万円の営業損害が請求されるケースもありますが、それが対物保険で支払われます。

実例:過去の裁判でも営業補償は認められている

過去の判例では、タクシーが事故により複数日運行不能になった場合、運行不能期間中の平均売上に基づき、営業損害として賠償が認められています。

たとえば「札幌地裁平成28年(ワ)第XXXX号」では、事故後の3日間での推定損害額として約6万円の補償が認定されました。

加害者が個人で負担するケースとは?

保険未加入の場合や、補償範囲外の請求(精神的損害など)については、加害者が個人で負担しなければならないケースもあります。任意保険に未加入の場合、営業補償を含む全損害が自己負担となる可能性が高くなります。

また、事故の過失割合が100%に近い場合(信号無視、飲酒運転等)では、損害全額の支払いを求められることもあります。

レンタカーとの違い:補償金額が“固定”か“実損”か

レンタカーでは「NOC」として明確に定額(例:2万円)を契約上定めているのに対し、タクシーの場合は実際の営業損害額を算定します。

つまり、契約ではなく民法上の損害賠償義務として求められるため、金額も変動し、場合によっては想定以上になることもあります。

まとめ:営業補償は“あり得る”が保険でカバーできる

タクシーと衝突して走行不能に陥った場合、営業補償として数日分の休業損害が請求される可能性は十分にあります。ただし、自動車保険(対物賠償)に加入していれば大半はカバーされるため、個人が実際に現金で支払うケースはごく稀です。

運転者としてできる対策は、事故を起こさない安全運転と、万一に備えた十分な任意保険への加入です。これにより、不測の賠償トラブルから自身を守ることができます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました