海外に移住し他国の国籍を取得する日本人が増える中、日本国籍の扱いや法的手続きについての理解が不十分なまま「二重国籍」のような状態に陥るケースも見受けられます。この記事では、外国籍を取得した日本人が「国籍喪失届」を提出しなかった場合に起こり得るリスクや、実際に発覚するケースの具体例を交えて詳しく解説します。
外国籍を取得した場合の日本国籍の自動喪失とは
日本の国籍法第11条に基づき、日本人が自発的に外国の国籍を取得した場合、日本国籍はその時点で「当然に」喪失します。つまり、法律上は外国籍取得の瞬間に日本国籍を失っていることになります。
しかしこの「自動喪失」はあくまで法的な効力であり、実際に戸籍に反映されるには本人が「国籍喪失届」を市区町村や在外公館に提出する必要があります。
国籍喪失届を出さないとどうなる?
国籍喪失届を提出しない場合、戸籍には日本国籍を持っているという情報が残ったままとなります。つまり、見かけ上「二重国籍」のような状態になりますが、これは実質的には法的整合性の取れていない記録のまま放置されているという状況です。
このような未届状態は違法とまでは言えないものの、法的・行政的な問題が後々発生する可能性があります。例えば、日本のパスポートを更新しようとしたときや相続、住民登録の手続き時などに矛盾が生じ、発覚することがあります。
二重国籍状態が「発覚」する主なケース
多くのケースでは、以下のような場面で二重国籍状態が明るみに出ることがあります。
- パスポート更新時に外国籍取得が発覚
- 日本国内での相続手続きや不動産登記
- 住民票の異動やマイナンバー申請
- 外国籍国での戸籍・身分証明書提出時
例えば、米国籍を取得した方がアメリカのパスポートのみで日本へ入国しようとした際、日本の入国管理局で「日本国籍を持っているはずの人物が外国籍で帰国している」と矛盾が生じ、入国審査で足止めされることがあります。
実際のケーススタディ:国籍喪失届を出さなかった場合のトラブル
ある事例では、カナダ国籍を取得した元日本人が日本の実家を売却しようとした際、日本の不動産登記上は「日本国籍のまま」だったため、登記変更に多くの書類や照会が必要となり手続きが大幅に遅延しました。
また別のケースでは、日本の年金受給者であった方が外国籍取得後も年金を受け取り続けていたところ、のちに二重国籍状態が発覚し、年金の一部返納や税務処理の再確認が必要になったという報告もあります。
発覚後の対応と、トラブルを避けるための対策
国籍喪失が発覚した後に初めて届け出をすることも可能ですが、行政手続きや公的証明書類の取得が煩雑になるため、早期に国籍喪失届を提出することが推奨されます。
また、在外公館(日本大使館・領事館)を通じての手続きも可能です。必要書類には外国の国籍証明書、帰化証明書、日本の戸籍謄本などがあります。
まとめ:国籍喪失届は「出すべき」か?
法律上、日本国籍は外国籍取得時点で自動的に失われますが、実務上の整合性を保つためには国籍喪失届を出すことが非常に重要です。
提出しないことで罰則があるわけではありませんが、パスポート更新や不動産売買、各種行政手続きの際に思わぬトラブルを招く可能性があります。将来の安心のためにも、国籍喪失届を忘れずに提出することが賢明な判断といえるでしょう。


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