なぜ鹿児島空港は市街地から離れた場所にあるのか?立地の理由と歴史背景を解説

飛行機、空港

鹿児島空港は鹿児島市中心部から約30km離れた霧島市溝辺町に位置しています。初めて訪れる人には「なぜこんな山の中に?」と感じられることもあるかもしれません。しかし、この立地には歴史的・地理的な背景が存在します。本記事では、鹿児島空港の場所が選ばれた理由や、当時の判断がどのようなものであったかをわかりやすく解説します。

旧鹿児島空港からの移転の経緯

現在の鹿児島空港は、1972年に開港されました。それ以前には「旧鹿児島空港」があり、鹿児島市内の鴨池に位置していました。しかし、旧空港は滑走路が短く、ジェット機の本格運用が難しかったうえ、市街地の密集によって騒音・拡張性の問題も抱えていました。

そのため、ジェット機対応の新空港が必要とされ、拡張性と安全性を兼ね備えた場所として現在の溝辺町が選ばれたのです。

地理的・地盤的な制約と選定理由

鹿児島県は平地が少なく、山がちで火山活動も活発な地域です。都市周辺の平地は住宅地や商業地として活用されており、空港用地として広大な土地を確保するのは困難でした。

そのため、比較的地盤が安定しており、広い平地が確保できる場所として、霧島山系のふもとである現在の場所が選定されました。ここならば騒音の問題も軽減され、滑走路の延長などの将来的拡張にも対応できます。

交通アクセスと利便性はどうなのか?

確かに現在の鹿児島空港は市街地からは遠く、アクセスに時間がかかるという側面は否定できません。しかし、空港と市街地を結ぶリムジンバスが運行されており、所要時間は約40〜50分と、国内他都市と比べても極端に不便というわけではありません。

また、九州自動車道・溝辺鹿児島空港ICに直結しているため、県内外から車でのアクセスもスムーズです。

現代の評価と地域への貢献

立地の遠さが時折話題になりますが、鹿児島空港は貨物輸送や観光客の受け入れ、地域の雇用創出など、地元経済に大きく貢献しています。特に屋久島や奄美方面など離島への航空路線のハブとしての役割も果たしており、鹿児島の交通拠点として重要な機能を担っています。

また、霧島温泉郷や桜島への観光の起点としても機能し、国内外の観光客にとって利便性の高い拠点となっています。

計画性はなかったのか?

「無計画に作られた」という指摘を受けることもありますが、実際には将来的な拡張性や周辺環境への影響、安全性などを考慮したうえでの移転決定でした。都市中心部に作ることの難しさを熟慮した結果、あえて市街地から離れた場所を選んだという背景があります。

これは国内他地域でもよく見られる空港計画のパターンであり、例えば新千歳空港や関西国際空港なども類似の判断がなされています。

まとめ

鹿児島空港が市街地から離れた場所にあるのは、単なる思いつきや失策ではなく、地理的・環境的・運用的な要素を総合的に考慮したうえでの判断でした。騒音対策や拡張性、安全性を重視した結果として現在の立地が選ばれ、今日ではその価値が十分に発揮されています。

「山奥の空港」という印象があるかもしれませんが、機能的には十分に合理的な立地であり、地域にも多くの恩恵をもたらしているのです。

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