港に停泊する大型船の下をのぞくと、スクリュー(プロペラ)が金色に輝いている光景を目にしたことがある方も多いでしょう。一方で、船体には赤い防汚塗料が塗られているのが一般的です。なぜスクリューにはそのような塗装がされないのでしょうか?この記事では、その理由と船舶設計上の工夫について詳しく解説します。
船体はなぜ赤く塗られているのか?
船体下部に使われる赤色の塗装は、防汚塗料(アンチファウリング塗料)です。これは海中の貝やフジツボなどが付着するのを防ぐために使われています。塗装によって船底の清掃頻度を減らし、燃費や航行効率を保つ役割があります。
この防汚塗料には銅化合物などが含まれており、塗膜自体が徐々に溶けることで防汚効果を発揮します。鮮やかな赤~ピンク色が一般的ですが、最近では青や黒などのバリエーションも増えています。
スクリューが金色の理由とは?
スクリューの多くは「ニッケルアルミ青銅(NAB)」と呼ばれる合金でできており、もともとの地金の色が金色をしているため、塗装しなくても美しく見えます。これは装飾ではなく、材質そのものの性質です。
この合金は、海水による腐食に強く、機械的強度も高いため、過酷な環境での回転運動に耐えることができます。スクリューの性能は船の推進力に直結するため、材料と表面状態が非常に重要なのです。
スクリューに塗装がされない主な理由
- 塗膜剥離のリスク:スクリューは毎分100~200回転以上で回るため、表面に塗装をしても遠心力や水流で剥がれてしまう可能性が高いです。
- 性能への影響:わずかな塗装のムラや凹凸でもキャビテーション(気泡による腐食)を誘発し、推進効率を下げたり、振動を引き起こすリスクがあります。
- 防汚材質の使用:そもそもスクリュー自体が防汚性と耐食性に優れる素材で作られているため、塗装を必要としないのです。
例外:スクリューに塗装されるケース
一部の小型船や特殊用途のプロペラでは、耐摩耗性やカモフラージュの目的で塗装されることもあります。ただしこれらは例外であり、大型商船や軍艦では素材そのものの性能を活かすため、塗装されないのが基本です。
また、潜水艦などでは塗装ではなく、特定のコーティングや形状最適化によって静音性を追求するケースもあります。
船舶メンテナンスでのスクリューの扱い
船がドック入りする際、スクリューは丁寧に清掃され、汚れやフジツボなどの付着物が取り除かれます。塗装ではなく、研磨やポリッシングによって表面状態を整えることが一般的です。これにより、推進効率が回復し、燃料の節約にもつながります。
まとめ:スクリューが塗装されないのは理にかなった設計
船のスクリューに赤い塗装がされないのは、耐久性・推進性能・素材の特性などを総合的に考慮した結果であり、意図的に塗装していないのが正解です。スクリューの金色は美しさだけでなく、機能性と素材科学が生み出したものなのです。
今後、船を見る際には、スクリューの色や材質にも注目してみると、新たな発見があるかもしれません。


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