2025年春から広島電鉄1号線で試験的に導入される急行運転。広島駅〜紙屋町東間の一部停留所を通過し、所要時間をおよそ1分短縮するという施策に対して、「本当に急行と言えるのか?」「停車駅を間引いただけでは?」といった声も上がっています。本記事ではこの急行運転の背景や意図、都市交通の課題などを多角的に掘り下げてみます。
なぜ1号線に急行便を導入するのか
広島市の中心部を通る1号線は、朝夕のラッシュ時には混雑が慢性化しています。短距離移動が多い利用者に対し、終点の広島港や広電西広島方面まで向かう長距離利用者にとっては、各駅停車が逆にストレスになることも。急行運転はそうしたニーズへの応答として考案された対策です。
区間は広島駅~紙屋町東と短いものの、通勤時間帯の混雑緩和や輸送効率向上に向けた試験的取り組みであり、運行データや乗客反応を元に将来的な改良が見込まれます。
停車駅を「間引く」だけの急行?
今回の急行便では、稲荷町・銀山町・胡町といった主要ではない停留所を通過することで、通常より約1分短縮されます。「たった1分」と思われるかもしれませんが、交通渋滞や乗降による信号待ちの影響を考慮すると、この1分短縮の意義は無視できません。
とはいえ「間引き便」という印象を受ける方も少なくないでしょう。特に停車駅が減っても信号で停まる場面があれば、「何のための急行か」という疑問が生じるのも無理はありません。
信号と急行運転の相性
広島電鉄のように路面電車と一般車両が混在する市街地では、信号待ちの影響は避けられません。特に通過駅の付近で信号に捕まると、時間短縮効果が帳消しになってしまうこともあります。
このため急行便に対しては、信号優先制御の導入が期待されています。信号と連動し、急行便が通過する際には青信号を長めに保つなどの対策が取られれば、よりスムーズな運行が実現可能です。
他都市の事例から学ぶ
札幌市電や豊橋鉄道などでも、信号と連携したスムーズな運行制御の取り組みが行われています。特に豊橋市では、路面電車の定時性向上を目的に信号調整を積極的に実施しており、急行と通常便の住み分けがうまく機能しています。
広島でも今後、運行データを分析し、急行便に対する優先制御が取り入れられることで、「形だけの急行」という印象を払拭できる可能性があります。
名称の印象と利用者の心理
「間引き便」や「通過運転」という名称よりも「急行便」とした方が、乗客の利便性向上や選択肢の幅を感じさせるメリットがあります。公共交通において名称はサービスのイメージを左右する重要な要素です。
鉄道や路面電車の利便性は、運行本数だけでなく「快適さ」や「目的に合った移動」がカギとなります。今後は急行便の本数や区間延長も検討されることで、利用者の選択肢が広がる可能性も。
まとめ:急行運転の意義は小さな変化の積み重ね
広電1号線の急行運転は、目に見える大きな変化ではないかもしれませんが、混雑緩和や輸送効率の向上を目的とした第一歩です。信号制御の工夫や運行分析を通じて、より実効性ある「急行」に進化する余地があります。
「間引き」と揶揄されるのではなく、「選べる移動手段のひとつ」として市民に定着するには、今後の改善と情報発信が重要になるでしょう。


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