飛行機に乗る際、「もしもの時のためにパラシュートがあれば…」と思ったことがある人もいるかもしれません。特に大型旅客機には、なぜパラシュートなどの脱出装備が搭載されていないのか、不思議に感じる方もいるでしょう。この記事では、その理由と航空安全の仕組みについて詳しく解説します。
パラシュートが旅客機に向かない理由
まず結論から言うと、パラシュートは旅客機での非常脱出に現実的ではありません。理由は複数ありますが、最大の問題は「高度」「速度」「乗客数」です。
例えば旅客機は高度10,000メートル以上を時速900km以上で飛行しています。この速度と高度では、一般の人がパラシュートで安全に飛び降りることはまず不可能です。
脱出に適した条件とは
パラシュート脱出が現実的に可能なのは、比較的低高度・低速で飛行する軍用機や小型機です。それらはパイロットが訓練を受け、脱出用の座席(射出座席)などの装備が整っている場合に限られます。
一方で旅客機の座席数は200〜500席以上もあり、それぞれにパラシュートを搭載するだけで重量やコストが膨大になります。また、緊急時に適切に装着・脱出を行える乗客はほぼいないでしょう。
安全性は「予防」が基本
航空機の安全対策は「事故が起こった後」ではなく、「事故を起こさない」ための設計が徹底されています。例えば以下のような仕組みが整っています。
- 機体の多重構造による冗長性
- 機長と副操縦士の二人体制
- 高度なエンジン監視システム
- 厳格なメンテナンスと訓練
つまり、緊急脱出の必要がそもそも発生しないような飛行設計が航空業界の原則なのです。
実際の緊急時の対応方法
非常時には、酸素マスクの使用や非常口からの脱出、スライド型の脱出シューターなど、地上での緊急避難の仕組みが整えられています。着陸できる状況での安全な脱出が基本であり、飛行中に機外へ出ることは想定されていません。
また、空中でのエンジントラブルや機体故障にも対応できるよう、グライダーのように滑空して着陸可能な設計になっている機種もあります。
一部の小型機にはパラシュートが存在する
例外として、セスナ機や「サーキュラスSR22」など一部の小型機には「機体全体にパラシュートが付いている」モデルも存在します。これは操縦不能に陥った際に機体ごとゆっくり降下させるための装備で、実際に救命事例もあります。
ただし、これらは乗客2〜5人の小型機であり、大型旅客機には適用できません。
まとめ
パラシュートはロマンがありますが、大型旅客機には適しておらず、現在の航空機安全対策では搭載の必要性も現実性もありません。航空機はそもそも事故を未然に防ぐ高い設計思想と運用管理によって安全を維持しており、私たちはそれを信頼して空の旅を楽しむべきなのです。


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