国際航路を行き来する貨物船やコンテナ船の名前には、一定の法則やパターンが見られます。特にアジア圏では「社名+地名」形式のネーミングが目立ちますが、これは単なる偶然ではありません。本記事では、船の命名規則や背景にある実務的・マーケティング的な意味合いを解説します。
貨物船の名前の基本的な構成
商船(とくにコンテナ船)の船名は多くの場合、以下のような構成になっています。
- 会社名やブランド名
- 就航港や就航地域名
- 番号やアルファベット(必要に応じて)
例として、「DONGJIN NAGOYA」は、韓国の東進商船(DONGJIN Shipping)が運航し、日本の名古屋港に関連する航路に就航していることを示しています。「SONOKOR AKITA」も同様で、長錦商船(SONOKOR)が秋田港を含む航路に使っている船です。
なぜ社名と地名を組み合わせるのか
この命名方法には、いくつかの理由があります。第一に運航ルートや就航先を明示できること。たとえば「NAGOYA」「BUSAN」「QINGDAO」などの地名を含むことで、どの地域向けかが一目で分かります。
第二に、同一社内で複数船を運用する際の識別性が高まります。DONGJIN NAGOYA、DONGJIN BUSAN、DONGJIN OSAKAなどのように、港に応じたネーミングが可能です。
貨物船における国際的な命名ルール
船の名前には明確な国際的命名ルールがあるわけではありませんが、登録時には国際海事機関(IMO)による一意な番号(IMO番号)が付与されます。名前はオーナー企業の裁量で決めることができ、商標や既存の船名との重複がない限り比較的自由です。
ただし、社名を冠することでブランドイメージを強調する企業も多く見られます。これは特にアジアの海運会社で顕著です。
命名のバリエーションと例外
一方で、社名や地名をまったく使わないパターンも存在します。たとえば、日本郵船の「MOL Triumph」などは、MOLの船ながら「Triumph(勝利)」のような抽象的な名前が使われています。
また、オーナーと運航会社が異なる場合や、チャーター船の場合は、MarineTrafficのようなサイトで調べてみると、「名義貸し」的な名前になっていることもあります。
まとめ:社名+地名の船名には明確な意図がある
貨物船の名前は単なる装飾ではなく、運用効率・航路情報・ブランド戦略などの意図が反映された命名です。社名と就航地の地名を組み合わせることで、その船がどの会社に属し、どの地域に向かっているのかが分かりやすくなっています。
もし港で「○○ NAGOYA」や「○○ AKITA」といった名前を見かけたら、それはその会社のローカル航路で活躍する船かもしれません。


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