地方都市の実力を測る際、「どちらが都会か」という議論はときに盛り上がるテーマです。今回は群馬県の中核都市・高崎市と、兵庫県の都市・尼崎市を比較し、それぞれの都市としての魅力や発展性について多角的に検証します。規模や人口だけでは測れない“都会度”を、交通・教育・商業・経済の面から見てみましょう。
都市規模と機能性:中心都市か、衛星都市か
高崎市は前橋市とともに「前橋・高崎都市圏」を形成しており、群馬県の中枢機能を持つ都市です。県内の行政・経済・交通の中心地であり、新幹線停車駅としての役割も大きいです。
一方、尼崎市は大阪市と神戸市の間に位置する“ベッドタウン”としての色が強く、近年は再開発も進んでいるものの、都心からの近さに頼る面が多く、都市の独立性という点ではやや控えめです。
大学・教育機関の充実度
高崎市には高崎経済大学(国公立)をはじめ、高崎健康福祉大学、高崎商科大学、群馬パース大学、育英大学、上武大学と、複数の大学があります。短期大学や大学附属高校もあり、教育都市としての特色がはっきりしています。
対して、尼崎市内の大学は関西国際大学のみ。進学や研究の中心としては周辺都市(大阪・神戸)に依存している面があります。
交通アクセスと広域性
高崎駅は上越・北陸新幹線が停車し、在来線も東京・熱海・長野原草津口・小山など広範囲に直通運転されています。乗り換えなしで新潟・金沢・敦賀まで行けるアクセスの強さは大きな魅力です。
尼崎駅(JR)は大阪方面や姫路、福知山方面など関西圏へのアクセスに優れますが、東海地方や関東方面へは乗り換え必須。また、新幹線は停車しないため長距離移動には制約があります。
商業施設の規模と質
高崎市はイオンモール高崎、OPA、高島屋、スズラン百貨店、イーサイト高崎、APITAなど大型商業施設が集中。郊外型・中心市街地型の両方でバランスよく展開されており、都市圏人口に対して商業密度が高い点も特徴です。
尼崎市にもキューズモールやつかしんなどの商業施設がありますが、大阪市との重複エリアということもあり、市内だけで完結する買い物環境という点ではやや弱めです。
経済・金融機関の拠点性
高崎市にはみずほ銀行支店や地方銀行本店(群馬銀行)に加え、複数の信用金庫本店があります。これは県内中心都市としての機能が集中していることの現れです。
尼崎市にも主要銀行の支店はありますが、本店機能や地方拠点としての役割は限定的です。金融機能の分布は、大都市圏郊外都市と中心都市の違いが表れやすい分野です。
まとめ|“都会”の定義次第で印象は変わるが…
高崎市は独立した都市圏を構築しており、教育・商業・交通・行政機能が市内に集中しています。いわば“自立した中枢都市”であるのに対し、尼崎市は“大都市圏に属する衛星都市”という構造が色濃く出ています。
都会らしさの定義が「高層ビルの多さ」や「人口密度」であれば尼崎に軍配が上がるかもしれません。しかし「都市としての機能性」「中心性」「独立性」といった観点では、高崎市の方が“都会”と感じられる要素は確かに多く存在します。


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