2024年春、JR東日本が一部の新幹線で「特急券レス化」を発表したことで、新幹線の運賃制度が将来的にどう変わるのか注目が集まっています。もし仮に“特急券”という区分自体が廃止されたら、利用者や運営にはどのような影響があるのでしょうか?この記事ではその影響と背景を丁寧に解説します。
そもそも特急券とは?その役割と運賃構造
新幹線は「乗車券(基本運賃)」と「特急券(特別料金)」を組み合わせて乗車する形式が基本です。
特急券は、列車のスピードや設備(指定席・自由席・グリーン車等)に応じて設定されており、新幹線の高速・快適なサービスを維持するためのコストをカバーするものです。
特急券を廃止するとどうなる?
一体型運賃制度が導入されると、料金の計算がシンプルになり、利用者側には次のようなメリットとデメリットがあります。
- メリット:チケット購入が簡略化され、モバイル乗車やICチケットとの親和性が高まる。
- デメリット:乗車区間・列車タイプごとの柔軟な料金設定が難しくなり、全体として値上げに繋がる可能性がある。
実際、JR東日本の「えきねっと」では特急券レスで予約するモバイルSuica利用者向けサービスが導入されており、券種の簡素化が進んでいます。
実際の導入事例:JR東日本の「新幹線eチケット」
JR東日本では「モバイルSuica」と連携した「新幹線eチケット」により、チケットレスで乗車できる仕組みが普及しています。
このサービスでは、乗車券と特急券が一体化されたシンプルな価格設定が特徴で、紙の特急券を買う手間がなくなっています。
このように“特急券”を明示的に表示しない方式が段階的に進行しており、完全な特急券廃止も現実味を帯びてきています。
廃止による鉄道事業者への影響
運賃体系の簡素化は鉄道事業者にとっても利点があります。
- システム管理が容易になり、コスト削減が可能
- 海外観光客向けにシンプルな価格表示ができる
- 不正乗車の抑制とチェック精度の向上
一方で、繁忙期・閑散期による柔軟な価格戦略が難しくなる懸念もあります。
完全廃止の可能性と今後の展望
すぐに全国の新幹線で特急券が完全に廃止される可能性は低いものの、チケットレス化やダイナミックプライシングの拡大により、「形としての特急券」が今後減少していくのは確実でしょう。
今後は一体型IC運賃+ダイナミック価格での柔軟な運賃設定に移行し、特急券は“運賃の構成要素”として裏側で処理されるようになると予想されます。
まとめ
特急券の廃止は、乗客の利便性向上と運営側のコスト削減の両立を目指す取り組みの一環といえます。
券売機に並ばずスマホ1つで乗車できる未来はすでに始まっており、「特急券」の形式そのものは役目を終えつつあるのかもしれません。
変化に備え、チケットレス乗車やICサービスの活用に慣れておくのがおすすめです。


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