ヘリコプターに冷房がないって本当?操縦士や乗客の熱中症リスクとその対策

飛行機、空港

夏場の空を飛ぶヘリコプター。密閉された機体内に冷房がないと聞くと、「操縦士や乗客は大丈夫なの?」と心配になる方も多いでしょう。実際、ヘリコプターの多くは冷房設備が簡素、または非搭載のものもありますが、それでも熱中症などの問題を防ぐ工夫がなされています。

ヘリコプターに冷房がない理由とは?

一部のヘリコプター、とくに小型機では、冷房(エアコン)を搭載していない機体が多いのが現実です。その理由のひとつは機体の重量制限。エアコンを搭載すると数十キロの重量が加わり、燃費や飛行性能に影響を及ぼすため、特に軽量化が求められる機体では省かれることがあります。

また、エンジンや回転系にエネルギーを優先的に割くため、補助的な装備である冷房は優先度が低くなることも理由のひとつです。特に軍用機や訓練機などでは、冷房設備よりも機動力や視界確保の方が重要視されます。

高温環境での操縦士の熱中症対策

冷房がないとはいえ、操縦士や乗員の安全は当然ながら確保されています。代表的な対策には以下のようなものがあります。

  • 換気性能の高い窓や送風システムによる空気循環
  • フライトスーツやヘルメット内部の通気設計
  • フライト前の十分な水分補給や塩分摂取
  • 短時間飛行と交代制の運用

例えば、ドクターヘリでは夏場でもパイロットや医師が1フライトごとに水分補給し、汗のかきやすいインナーウェアで熱をこもらせないよう工夫している事例があります。

民間機では冷房搭載モデルも増加中

最近では観光用やVIP輸送を目的とした民間ヘリコプターにおいて、冷房が標準装備される機体も増えています。たとえば、ユーロコプターEC135やベル429などは、機内にエアコンユニットを備え、快適性を重視した設計がなされています。

観光や遊覧飛行などで利用する際には、「冷房の有無」を予約時に確認することも可能です。

高高度では気温が下がるため冷房不要な場合も

意外かもしれませんが、上空数百メートルに上がると気温は地上よりも低くなります。気象庁の情報によれば、標準気温減率は100m上昇ごとに約0.6℃の低下とされており、例えば500mで約3℃下がります。

このため、上昇後は機内温度が適温に落ち着くケースも多く、「冷房がなくても苦にならなかった」という操縦士の声もあります。

それでも暑さが心配な人のために

一般の方が搭乗する遊覧飛行やチャーター便では、事前に「冷房ありの機体希望」を伝えることも可能です。加えて、夏場に搭乗する際には以下のような工夫をすることで、快適に過ごすことができます。

  • 汗を吸収しやすい速乾性の服を着る
  • 搭乗前に十分な水分と塩分を摂る
  • サングラスや冷却タオルを用意しておく

まとめ:冷房がなくても工夫次第で安全に

ヘリコプターには冷房がない機体も多いですが、それは安全性を無視しているからではありません。適切な設計と対策、そして搭乗者自身の準備があれば、夏場のフライトも安全かつ快適に楽しめます。

乗る前に不安があれば、国土交通省の航空機安全ガイドラインや、利用する航空会社の設備仕様を確認することをおすすめします。

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