モバイルバッテリーの発火で電車が止まった場合、持ち主に賠償責任は発生する?

鉄道、列車、駅

スマートフォンの普及とともに多くの人が持ち歩くようになったモバイルバッテリー。しかし、そのリチウムイオン電池が原因で発火事故が起き、公共交通機関に多大な影響を与える事例が発生しています。中でも注目されたのが、山手線でモバイルバッテリーが発火し、電車が緊急停止したケースです。

モバイルバッテリー発火が招く影響とリスク

モバイルバッテリーは過充電や衝撃、不良品などが原因で発火するリスクがあります。鉄道車両内で発火が起きると、火災防止や安全確認のため列車が停止され、ダイヤに大きな乱れが生じることになります。

実際に2024年にも、モバイルバッテリー発火で新幹線が緊急停止した例が報道されました。このような事故は、鉄道会社だけでなく乗客にも大きな不便を与えます。

発火事故で賠償責任は発生するのか?

結論から言えば、事故の原因が「故意」または「重過失」によるものであれば、民事上の損害賠償責任が発生する可能性があります。例えば、明らかに破損していたモバイルバッテリーを使用し続けていた場合や、禁止されている使い方をしていた場合などです。

ただし、一般的な使用状況で発火した場合(過失がない場合)には、賠償を求められることはほとんどありません。鉄道会社が「不可抗力」または「予見困難」として扱うことが多いためです。

民事・刑事の観点から見る法的責任

民事上は、不法行為責任(民法709条)に基づいて損害賠償を求められることがあります。刑事的には、過失による業務妨害が認定されると、軽犯罪法違反や鉄道営業法違反が問われる可能性もあります。

ただし、現時点では「不注意での発火」に対して鉄道会社が訴訟を起こしたという前例は少ないため、基本的には注意喚起や事後の安全確認で済むケースが多いのが現状です。

鉄道会社の対応と今後の動き

JR東日本をはじめとする鉄道各社は、発火事故が発生した場合の対応マニュアルを整備しています。また、ホームページや駅構内アナウンスでも、モバイルバッテリー使用に関する注意喚起を強化しています。

今後、発火事故が多発するようになれば、飛行機のように一部制限がかかる可能性も否定できません。特に安価な粗悪品の使用は避け、PSEマーク付き製品の使用が推奨されます。

利用者ができる事故防止の対策

  • 信頼できるメーカーの製品を選ぶ
  • PSEマークがついているか確認
  • 満充電で長時間放置しない
  • 外部の衝撃や水濡れに注意
  • カバンの中で圧迫しない

これらを徹底することで、発火リスクを大幅に低減できます。

まとめ:過失の有無が責任を分ける鍵

モバイルバッテリー発火で電車が止まった場合、過失がなければ賠償責任を問われることは基本的にありません。ただし、使用者に明らかな落ち度がある場合には、民事責任が生じる可能性もあります。

利用者としては、製品の選定と取り扱いに細心の注意を払い、公共交通機関利用時には安全性を確保する行動が求められます。

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