インドのガンジス川では、古くから多くの人々が宗教的な意味合いを持つ沐浴を行っています。その様子を見て「なぜインド人は病気にならないの?」と不思議に思う方も少なくありません。本記事では、インド人がガンジス川での沐浴によって病気になりにくいとされる背景を、免疫学や環境適応の観点から解説します。
ガンジス川の水質と衛生リスク
ガンジス川はインドでも最も神聖な川とされる一方、生活排水や火葬の灰などが流れ込むため、水質汚染が深刻な地域もあります。特に都市部の下流では、大腸菌やコレラ菌、A型肝炎ウイルスなどの病原体が高濃度で検出されています。
このような水での沐浴は、観光客や外国人が行えば高い確率で胃腸炎や感染症のリスクがあります。
免疫は「育つ」ものであるという事実
インド現地で育った人々は、幼少期からその地域の水や土壌、食物を通じてさまざまな病原体に自然にさらされてきた経験があります。その結果として、その土地の細菌やウイルスに対する免疫耐性を獲得しやすくなっているのです。
これは「衛生仮説」とも関係しており、清潔すぎる環境で育つよりも、適度に微生物に接することが免疫系の発達に寄与するという考え方に基づいています。
腸内フローラの違いが健康を左右する
長年インドで生活する人々の腸内細菌叢(腸内フローラ)は、現地の水や食物に適応しています。このバランスの取れた腸内環境が、病原体の侵入に対してもある程度の抵抗力を発揮します。
一方、外国人が急に現地の細菌にさらされると、腸内バランスが崩れやすく、下痢や嘔吐などを引き起こしやすいとされています。
医療や公衆衛生の知識も大きな要因
インドでも近年は医療の啓発が進み、ガンジス川での沐浴後には抗菌ジェルを使用する人や、飲み込まないよう注意する人もいます。また、沐浴を象徴的な行為とし、実際には体全体を浸けない人も多いです。
このように「沐浴をしているからといってすべての人が病気にかからないわけではない」という前提も必要です。
観光客は注意が必要!
旅行者や観光客がガンジス川で沐浴するのは、原則として推奨されていません。現地の環境に適応していないため、たとえ短時間であっても、体調不良を起こすリスクがあります。
現地の文化を尊重するのは大切ですが、見学や足を軽く水に浸す程度にとどめるのが無難です。
まとめ:免疫と環境適応の力
ガンジス川での沐浴に耐えうるのは、特別な「超人」だからではなく、長年その環境下で育ったことにより獲得された免疫や腸内環境の適応が理由です。旅行者は現地の人と同じような行動をしても、同じ結果になるとは限りません。宗教・文化的な価値を理解しつつ、自身の健康管理も忘れずに旅を楽しみましょう。


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