アメリカへの就労移住を目指す中で、比較的現実的とされるのが「EB-3ビザ(Employment-Based Third Preference Category)」の中の「Skilled Workers, Professionals」枠、通称『学士号保持者向けEB-3ビザ』です。この記事では、どのような学士号保有者がこのビザを取得できる可能性があるのか、要件や注意点を交えて詳しく解説します。
EB-3ビザとは?基本概要を押さえよう
EB-3ビザはアメリカの雇用ベース永住権の一種で、以下の3つのサブカテゴリーに分かれています。
- 熟練労働者(Skilled Workers):最低2年以上の職務経験または訓練が必要
- 専門職(Professionals):米国または相当する外国の学士号(Bachelor’s degree)を要する職種
- 非熟練労働者(Other Workers):2年未満の経験や訓練でできる職種
このうち「Professionals」に該当するのが、大学卒業レベルの人材です。
どんな「大卒」がEB-3ビザの対象になるのか
EB-3の「学士号保持者」枠において重要なのは、単に学士号を持っているだけでなく、それが申請職種に直接関連し、その職種がアメリカで学士号を要するポジションであることです。
たとえば以下のようなケースが該当します。
- コンピューターサイエンス学位を持ち、IT企業でソフトウェアエンジニアとしてオファーを受けた人
- ビジネス学位を活かし、米系企業でアナリスト職に採用された人
- 教育学部卒で、アメリカの学校で教員免許取得を前提に教師として雇われる人
一方で、学士号が職務と関係ない場合はビザ取得が困難になります。
「学士号」だけでは不十分?必要なその他の条件
EB-3ビザ取得には以下のプロセスが必要です。
- アメリカ雇用主のスポンサー(Job Offer):雇用主が移民申請を支援する必要があります
- 労働認定(PERM):米国内に同等の人材がいないことを証明
- I-140移民申請書の提出
- ビザの空き(Priority Date)を待つ必要あり
これらは個人の資格というより、雇用主の協力が大前提であり、ビザ取得のハードルを上げています。
学歴・職歴以外のEB-1・EB-2との違い
EB-3とよく比較されるのが、より上位のEB-1やEB-2ビザです。
- EB-1:卓越した能力(例:ノーベル賞受賞者、著名な科学者、アスリート)
- EB-2:修士号以上の学歴または特別な専門性を持つ者
EB-3はそれに比べてハードルが低く、一般的な大卒でも対象となり得る点が特徴です。ただし審査待ち期間(Visa Bulletin)が長くなる傾向があります。
実際にEB-3で渡米した事例
以下は実際の申請成功例の一部です。
- 日本の理系大学卒で、アメリカの製造業にてQAエンジニアとして採用 → EB-3取得
- 地方国立大学卒の介護士が、全米に施設を持つ医療法人と契約 → EB-3取得
- 経済学部卒で英語が堪能な人が、日系企業のアメリカ現地法人に経理職で内定 → EB-3ルートで申請中
いずれも共通するのは、学歴と職種の整合性と雇用主の強力な協力です。
まとめ:EB-3ビザは「大卒者+雇用主支援」がカギ
EB-3ビザは、ノーベル賞や国際的な表彰が必要なEB-1とは異なり、一般的な学士号保持者でも取得可能な就労ベースの永住権ルートです。ただし、申請にはアメリカの雇用主によるサポートが不可欠で、また職務と学歴の整合性が求められます。
アメリカ移住を目指す方は、自身の専攻・職歴にマッチする企業と出会い、ビザスポンサーを得る戦略が極めて重要です。
EB-3ビザの詳細や最新のビザ待ち状況については、米国国務省のVisa Bulletinを定期的に確認してください。


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