パスポートを紛失した場合や未取得での一時的な渡航手段として「渡航書」は大使館等で発行されます。アメリカを出国する際、この渡航書でスムーズに手続きが可能かどうか、顔認証との関係やセキュリティチェックの実情について不安に思う人も少なくありません。本記事では実際の空港手続きの流れを解説しながら、安心して帰国できる情報を提供します。
渡航書とは?正式な出入国用書類としての効力
渡航書(Travel Document)は、在外公館が発行する一時的な渡航用身分証明書です。日本国籍者に限り発行され、目的地が「日本に帰国すること」のみに限られているため、アメリカ国内の搭乗・出国審査においても正式な書類として認識されます。
米国運輸保安庁(TSA)および税関・国境警備局(CBP)では、渡航書の存在を把握しており、トラブルが発生することは稀です。必要なのは、係員に「This is an official Japanese travel document for return to Japan.」と伝える準備です。
顔認証との関係と注意点
米国の多くの空港では顔認証を利用した出国手続きが導入されていますが、これは基本的に顔写真付きのパスポート情報に基づく認証を目的としています。渡航書にも顔写真があるため、多くの場合は問題なく認識されます。
ただし、自動ゲートが対応していない場合、係員対応となるケースもあります。その際は、渡航書の説明と日本への帰国フライトである旨を明示しましょう。
チェックインカウンターでの対応例
航空会社のチェックインカウンターでは、スタッフが渡航書の形式に不慣れな場合があります。そのため、日本大使館からの発行であること、また帰国限定の書類であることを説明する資料や大使館で発行された補足文書を携帯しておくとスムーズです。
例として、ユナイテッド航空やANAでは過去に渡航書による搭乗実績があり、航空会社スタッフが状況を理解していれば問題ありません。
セキュリティチェック(TSA)での流れ
空港セキュリティ(TSA)のチェックポイントでは、身分証明書の確認が行われます。渡航書の提示で通過可能ですが、身元確認の補足として搭乗券や別の身分証(学生証、運転免許証など)が求められる場合もあります。
TSA職員が文書に慣れていない場合には、少し時間がかかることがありますが、必要以上に心配する必要はありません。
出国審査時の対応と渡航書提示のコツ
出国審査(CBP)では、通常パスポートのICチップをスキャンすることが多いですが、渡航書は手動対応となります。係員に書類の正式性と帰国目的である旨を丁寧に伝えましょう。
英語が不安な場合は、紙に「This document was issued by the Japanese Embassy for return to Japan only.」と書いて見せるだけでも十分に伝わります。
事前に準備しておくと安心な対策
- 日本大使館の連絡先と発行証明書のコピーを携帯
- 航空会社に事前に渡航書での搭乗可否を問い合わせ
- チェックイン時に時間に余裕を持つ
- 英語での説明文をメモやスマホに保存
これらの準備をしておくことで、空港での予期せぬトラブルを大幅に減らすことができます。
まとめ
渡航書は正式な日本政府発行の帰国用身分証明書であり、アメリカの空港での出国手続きでも問題なく使用できます。顔認証に不安があっても、係員対応に切り替えることで対応可能です。重要なのは、事前の準備と冷静な対応です。
空港スタッフがこの書類に不慣れであっても、渡航書自体の正当性が問われることは基本的にありません。安心して帰国の手続きに臨みましょう。


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