動物園で見られる大型の鳥といえば、ダチョウやエミューが代表的ですが、同じ走鳥類であるレアやヒクイドリは国内ではあまり見かけません。この記事では、これらの鳥たちの飼育事情の違いについて、理由を掘り下げて解説します。
日本の動物園でよく見られる走鳥類とは？
日本国内の多くの動物園で飼育されている代表的な走鳥類は、ダチョウとエミューです。特にダチョウは大型で見た目のインパクトもあり、展示動物として人気があります。
エミューは比較的おとなしい性格で飼育もしやすく、草食である点や繁殖のしやすさから、ふれあい体験にも利用されることがあります。
レアの飼育が少ない理由
レア（アメリカレア）は、南米原産の走鳥類で、ダチョウやエミューに比べて日本の動物園ではあまり見かけません。これは主に以下の理由によります。
- 輸入ルートの確保が難しい：南米からの輸入は法的・物流的に制限が多く、コストがかかる。
- 飼育施設の対応が必要：レアは警戒心が強く、狭いスペースだとストレスを感じやすいため、飼育施設に工夫が必要です。
- 展示としてのインパクトがやや弱い：来園者にとってダチョウほどの迫力がなく、導入の優先度が低くなる傾向があります。
つまり、決して飼育が不可能というわけではなく、コストと需要のバランスの問題であることが多いのです。
ヒクイドリの飼育が少ない主な理由
ヒクイドリはオーストラリアやニューギニアに生息する、色鮮やかで独特な見た目の走鳥類です。しかし、国内での飼育は極めて稀です。その理由は明確です。
- 極めて攻撃的な性格：蹴りや爪による攻撃で人間に大けがを負わせる可能性があるため、飼育スタッフにもリスクがあります。
- 絶滅危惧種である：ワシントン条約により輸入が制限されており、許可と管理が非常に厳重です。
- 逃走・事故リスク：その危険性から、逃走時の管理責任も重くなります。
ヒクイドリの導入には、高度な安全対策と特別な飼育技術が必要であり、多くの園が導入を見送っています。
日本でレアやヒクイドリが見られる動物園
全国でも数は少ないですが、レアやヒクイドリを飼育している動物園も存在します。
- 神戸市立王子動物園：レアを飼育していた記録があります。
- 千葉県・鴨川シーワールド動物ふれあい広場：以前ヒクイドリを飼育していた例もあります。
ただし、展示の有無は年度によって変更があるため、訪問前に事前に公式サイトで確認するのが良いでしょう。
今後の飼育拡大の可能性は？
動物園の多様化と教育的価値の向上により、珍しい種の導入に意欲を見せる園も増えてきました。レアについては今後徐々に導入が進む可能性がありますが、ヒクイドリに関しては現時点では導入障壁が高く、特別な施設や体制がない限り難しいと考えられます。
まとめ：飼育されにくい背景には明確な理由がある
走鳥類の中でも、ダチョウやエミューは展示・飼育のしやすさや来園者の人気から広く採用されています。一方で、レアやヒクイドリは生態や輸入事情、安全管理の観点から慎重な対応が求められ、結果的に飼育園が少ないという現状があります。
それぞれの鳥の背景や特性を知ることで、動物園での展示のあり方にも深い理解が得られるでしょう。
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