交直流電気機関車のパンタグラフ切替タイミングとは?|EH500・EF510の運用と切替ポイントを解説

鉄道、列車、駅

日本の鉄道では、地域によって電化方式が異なるため、交直流両対応の電気機関車が活躍しています。EH500やEF510などはその代表例ですが、これらが交直流を切り替える際、パンタグラフをどのように操作しているのか気になる方も多いでしょう。本記事では、交直セクションでのパンタグラフ操作の実際とその背後にある仕組みについて詳しく解説します。

交直流セクションとは?

日本では主に直流1500Vと交流20000V(50Hz/60Hz)の2種類の電化方式が使われています。その境界に位置する場所が「交直セクション」と呼ばれるエリアです。ここでは、列車が安全に電源方式を切り替えるための特殊な設備が整えられています。

代表的な交直セクションとしては、黒磯駅(東北本線)、塩尻駅(中央本線)、幡生信号場(山陽本線)などが挙げられます。

交直セクションでのパンタグラフ切替操作

EH500やEF510といった交直両用機関車では、直流区間では2基のパンタグラフを上げて給電しますが、交流区間では1基のみを使用します。その理由は、交流時の回路構成上、絶縁距離の確保が必要となるためです。

切替はセクション内に設けられた「デッドセクション」と呼ばれる無電区間で行われます。列車はこの区間に入る前に惰性走行し、無電源地帯ですべてのパンタグラフを一時的に下ろし、回路切替後に適したパンタグラフを上げる、という流れで行います。

実際にどこで停車・切替しているのか?

走行中にパンタグラフを操作することは安全上問題があるため、交直切替設備がある場所で一時停止または惰性走行しながら実施されます。

たとえば、東北本線の黒磯駅では、ホーム手前で機関車の切り替えやパンタ操作が行われる光景が見られます。また、幡生信号場では、操車場内で機関車の再始動やパンタ切替が行われており、特に貨物列車では明確な停車が伴う場合も多いです。

自動切替と運転士の操作

近年の機関車では、パンタグラフの上下や電源切替は自動化されており、運転士は制御盤の操作のみで実行できます。シーケンス通りに操作すれば、パンタの上昇や下げ、ブレーカの開閉などが安全に進行します。

とはいえ、セクションでの作業は非常に重要であり、信号設備や位置情報に基づく慎重な制御が求められます。

機関車の違いによる切替方式の差

EH500は貨物専用の交直両用機関車で、2車体連結構造のため、切替時には特定のパンタを選択する構造になっています。一方、EF510は寝台特急や貨物を牽引する兼用機関車で、設計により直流区間では前後パンタを両方使用するなど、機種ごとに微妙な違いがあります。

これらの仕様は、メーカーやJR貨物などの運用方針によっても異なるため、JR貨物の公式情報などを確認することで最新の知見を得ることが可能です。

まとめ:交直切替は鉄道技術の結晶

交直流電化の切り替えは、日本の鉄道運行における重要な技術の一つです。走行中の切替ではなく、専用のデッドセクションや信号場で安全に処理されているため、安心して運行が維持されています。

パンタグラフの上下も見どころの一つであり、鉄道ファンにとっては現地で観察する楽しみのポイントにもなります。次にEH500やEF510を見かけた際は、ぜひパンタグラフの挙動に注目してみてください。

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