かつて日本全国を走っていたボンネットバス。現在ではその姿を見かけることはほとんどなく、一部観光用途を除いて事実上絶滅しました。一方で海外の一部地域では今も現役で活躍する国もあります。なぜ日本では姿を消してしまったのか、その背景を探ります。
ボンネットバスとは?基本構造と特徴
ボンネットバスとは、エンジンが運転席の前に突き出たボンネット型のバスを指します。日本では1950年代から1960年代にかけて主流の車両スタイルでした。
この形式はトラックのシャシーをベースに製造されることが多く、地方の山間部や未舗装路での走行に向いていたため、過酷な路線で多く使われていました。
日本でボンネットバスが廃れた理由
主な理由は「利便性」と「経済性」です。エンジンを車体前部に持つ構造では、乗降口と客室スペースが狭くなり、都市部や人口の多い地域では非効率になりました。
また、高度経済成長期には都市化が進み、乗客数が増加。前中扉の大型ワンマンバスや、リアエンジンバスの方が多人数の乗客に対応しやすくなったことも理由の一つです。
技術の進歩と安全基準の変化も影響
車両構造の進化により、フロントエンジン構造のバスでは車体の剛性や安全性の面で劣るという評価もされるようになりました。特に衝突時の安全性では、ボンネットバスは不利でした。
また、新しい排ガス規制や衝突安全基準への対応が難しくなり、旧型のボンネットバスは徐々に淘汰されていきました。
海外では今もボンネットバスが使われる理由
一方で、開発途上国やインフラの未整備な地域では今もトラックベースのボンネットバスが使われています。理由は「耐久性」と「整備のしやすさ」です。
舗装のない道路や山岳地帯での耐久性を重視する運用では、ボンネット型の構造が有利に働くため、こうした地域では現役で活用されているのです。
現在の日本に残るボンネットバスの活用例
観光地やイベント用として、クラシックバスを復元・保存し、観光客向けに走らせる例は存在します。代表的なのは長野県・小諸市や岩手県・遠野市などです。
また、バス愛好家による保存活動も行われており、イベントや展示会では貴重な走行シーンを見ることができます。
まとめ:日本と海外で異なる「バス文化」
日本でボンネットバスが消えた背景には、都市化・大量輸送ニーズ・安全基準の変化といった複合的要因がありました。
一方で、地域によっては今なお現役のボンネットバスが活躍しており、道路事情や整備環境の違いが車両選定に大きく影響していることがわかります。
昭和の記憶を色濃く残すボンネットバスは、時代を象徴する存在として今も多くの人に愛され続けています。


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