消費税法の「輸出免税」規定では、「船舶運航事業者等」が国外間の旅客や貨物輸送に用いる航空機や船舶も対象に含まれることがあります。そのため、「国内の船舶運航事業者(=海上輸送事業者)が国外便用の飛行機を所有することがあるのか?」という疑問がわくのも自然です。本記事では、その背景と具体的な業態、税法上の定義を整理しつつ疑問に答えます。
船舶運航事業者等とは何か?
消費税基本通達5‑6‑6では、「船舶運航事業を営む者」および「航空運送事業を営む者」が、国内外航路で使う船舶・航空機について、輸出目的で保税地域から引き取る場合、消費税免税の対象になるとしています【参照】。
つまり、船舶運航事業者は海上運送法、航空運送事業者は航空法の規定に基づくもので、どちらも国内外を問わず旅客・貨物輸送を行う事業者を指しています【参照】。
JALやANAは“船舶運航事業者”なのか?
JALやANAは明らかに「航空運送事業者」に該当しますが、「船舶運航事業者」ではありません。国内の海運会社(例:日本郵船、川崎汽船など)は海上の「外航船舶」として国外を行き来する船舶を運航しますが、航空機は保有していません【参照】。
一方、全日空グループと関係のある日本貨物航空(NCA)は国際貨物専用航空会社として実際に国外路線を飛行機で運航しています。このような事業者は「航空運送事業者」であり、消費税法上の対象にもなります【参照】。
「国外間運行」を行う船舶運航事業者の例はあるか?
船舶運航事業者の世界では、日本郵船や川崎汽船などが外航船舶を運営しており、これらは「国外間の貨客輸送用船舶」を使いますが、航空機は所有していません。また、国内の航空会社が船舶運航事業者として航空機を保有することもありません。
したがって、「国内の船舶運航事業者が国外便の飛行機を持つ」という事態は現実にはありません。
なぜ混同されやすいのか?消費税法の定義の広さ
消費税法令第17条やその通達では、「船舶運航事業」だけでなく「航空運送事業」も「船舶運航事業者等」と括るケースがあり、表現として同じ括りに入れられることがあります【参照】。
そのため、“(4) 国内・国外をまたぐ輸送に用いられる船舶や航空機が対象”と書かれている部分を読むと、「JALも船舶運航事業者では?」と誤解されることがあります。
まとめ:船舶事業者と航空事業者は別、混同注意
まとめると、国内の船舶運航事業者(海運会社)が国外間に用いる航空機を所有することはなく、JALやANAは航空運送事業者です。消費税法上で「船舶運航事業者等」に含まれるのは、旅客・貨物を国内外で運ぶ海運業者や航空運送業者のことですが、カテゴリは分かれています。
つまり、「(5)① 外航船舶等の譲渡・貸付けや修理で船舶運航事業者等に対するもの」とある場合、航空機のほうは「航空運送事業者」に該当し、船舶運航事業者とは別枠で扱われるという理解が正確です。


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