阪急電車900系がうるさかった理由とは?昭和の名車両のモーター音に迫る

鉄道、列車、駅

阪急電車の900系といえば、昭和の名車両として鉄道ファンからも根強い人気を誇っています。その独特の「うるささ」を記憶している人も多いのではないでしょうか。この記事では、その原因を技術的・時代的背景からひも解いていきます。

900系とはどんな電車だったのか?

阪急900系は1950年代後半に登場した通勤形電車で、当時としては斬新な設計と高性能な走行装置を備えていました。京都線や宝塚線などを中心に活躍し、独特のエンジン音(正確にはモーター音)で乗客の印象に強く残った車両です。

外観は重厚感のあるデザインで、阪急マルーンと呼ばれる深いえんじ色の塗装が特徴でした。座席配置も快適さを意識したロングシートやクロスシートが導入されており、昭和の「上質な通勤電車」として位置づけられていました。

モーター音が大きかった理由

阪急900系に搭載されていた主電動機は、直流直巻式モーター(MT40系など)で、モーターの構造上「唸るような音」が出やすい設計でした。加速時には「ヴィーン」「ゴォー」といった特徴的な音を響かせていました。

この音の原因は、主にモーターの回転による電磁音と、台車(車輪や車軸部分)の振動による共鳴です。さらに、当時は遮音性や防音材の導入が十分でなかったことも、車内外で音が響く要因でした。

MT車比率と加速度の関係

900系はMT比(モーター付き車両の比率)が高く、加速性能を重視した設計でした。つまり「動力車」が多かったことで、走行時のモーター音がより大きく感じられたのです。

実際、戦後の通勤電車は「高密度運転・加速重視」が求められたため、多少の騒音はやむを得なかったという事情があります。現代の車両のように静粛性が重視される風潮とは異なっていた時代背景が見えてきます。

他の昭和電車との比較

900系だけがうるさかったわけではありません。たとえば国鉄の103系や京急旧1000形なども「爆音電車」として有名でした。当時の技術水準では「騒音よりパワー」が優先された設計が主流だったのです。

ただし阪急900系は、その「うなるようなモーター音」が阪急線の駅構内などで反響しやすく、特に印象に残ったという声が多くあります。「ホームに入ってくるだけで空気が震える感じがあった」といった証言もあります。

懐かしさと技術進化のギャップ

現在の阪急電車は最新鋭のVVVFインバーター制御を採用し、非常に静かでスムーズな走行が特徴です。昔の車両との比較をすると、技術進化が騒音対策に大きく寄与してきたことがよくわかります。

一方で、昔の900系の「うるささ」が逆に懐かしいと感じる鉄道ファンも多く、「あのモーター音が好きだった」「あれで阪急ってわかった」と言われることもあります。

まとめ

阪急900系が「うるさかった」理由は、当時のモーター設計・防音技術の限界と、高加速を重視した構造にありました。時代の要請によって生まれたその「音」は、今では懐かしさを感じさせる昭和の鉄道文化のひとつとして語り継がれています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました