1990年代の渋谷・スペイン坂周辺は、東京カルチャーの発信地として若者たちに愛された場所でした。中でもスペイン坂を登りきったPARCO前には、独自の世界観を持つカフェや雑貨屋が立ち並び、感性豊かな若者たちの憩いの空間となっていました。今回は、その中でも「ナチュラルな雑貨と洋服、カフェを併設した店」として語り継がれるスポットの記憶を辿ります。
スペイン坂カルチャーの中心地:90年代渋谷の風景
90年代の渋谷は、原宿と並ぶファッションとカルチャーの発信拠点でした。スペイン坂と呼ばれるこの小道は、わずか100メートルほどの坂道に個性的なショップが連なり、まるで異国の裏路地のような雰囲気が漂っていました。
特に坂の上、PARCO PART1前後には、ナチュラルテイストの洋服やハンドメイド雑貨を扱う小規模なブティックが点在し、当時流行していた“エスニック”や“ボヘミアン”“ナチュラル系”の女子に人気を博していました。
「キャシディ」「ヴィレッジヴァンガード」「Afternoon Tea」などの記憶
当時の渋谷PARCO付近には、「キャシディ」「Afternoon Tea」「ヴィレッジヴァンガード」など感度の高いショップが集まっていました。中でも“ナチュラル系カフェ&雑貨店”として記憶に残っている可能性が高いのが、以下のような店舗です。
- キャシディ・セカンド:セレクト服と家具・雑貨、カフェ要素も一部あった。
- パパスカフェ:ナチュラル志向で、インテリア・雑貨にもこだわり。
- CIBONE(旧名:IDÉEショップ):生活雑貨と家具、当時は渋谷の裏通りに店舗があり、カフェ併設だった時期も。
また、「ナディッフ」や「ラ・ブランシュ」など、アートやナチュラルインテリアに寄った空間を提供するショップも散見されており、正確な名称は記憶に埋もれていても、空間全体が“ライフスタイルを売る”というコンセプトに統一されていました。
“名前を忘れても記憶に残る”店が多かった理由
当時のナチュラル系ショップは「看板や名前よりも雰囲気勝負」で、おしゃれな木製看板や植物に囲まれたエントランス、ウッドデッキのカフェ席など、記憶に残る空間づくりが特徴でした。
さらに1990年代後半はライフスタイル型のショップがブームになり、「モノを売るだけでなく、居場所を提供する」という考えが浸透し始めた時代。そうした空気の中で、ショップ名は強く印象に残らなくても、「なんとなく好きだった空間」として記憶に刻まれているのです。
同時代のカフェ文化:スペースの中に“暮らし”があった
同時期には「カフェ・アプレミディ」や「サンクアール」など、内装や音楽にこだわったカフェが次々と登場し、渋谷・原宿エリアに“ライフスタイルと空間の一体化”という価値観が広まりました。
服と雑貨、そしてコーヒー。すべてが一体となった空間は、まさに1990年代ならではの文化体験であり、その中に“ナチュラルなカフェ&ショップ”も溶け込んでいたのです。
まとめ:スペイン坂の記憶は名前より“感覚”として残っている
90年代の渋谷スペイン坂にあったナチュラル系の雑貨と洋服、カフェが一体となった店は、確かに存在していました。しかし、その多くは短命で、記録にも残らず、看板よりも“雰囲気”で愛された店舗だったため、店名を特定するのが難しいこともあります。
それでも、その空間の記憶は今も多くの人の中に生き続けています。もしかしたら、あなたの記憶にあるあの店も、同じように“居心地”や“香り”“音楽”と共に、心の中に残っているのかもしれません。
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