新幹線や在来線でよく目にする「上越線」。この名称に含まれる「上越」は、「上越地方(新潟県南西部)」とは異なる意味を持ちます。この記事では、鉄道の「上越線」の語源と、混同しやすい他の地名との違いを歴史的にわかりやすく解説します。
「上越線」の「上越」は上毛と越後を結ぶ路線
「上越線(じょうえつせん)」の「上越」は、「上毛(じょうもう/群馬県)」と「越後(えちご/新潟県)」をつなぐことを意味しています。したがって、「上越地方(上越市など)」の『上越』とは由来が異なります。
鉄道の路線名における「上越線」は、群馬県の高崎駅と新潟県の宮内駅を結ぶJR東日本の路線で、1920年代に開業しました。
「上毛」は群馬県の古名、「越後」は新潟県の旧国名
「上毛」は群馬県の古称である「上野国(こうずけのくに)」の別名です。また「越後」は新潟県の旧称です。つまり、「上越線」とは「群馬と新潟を結ぶ線」という意味なのです。
これは、同様に「信越本線」が「信濃(長野)」と「越後(新潟)」を結ぶ、「東北本線」が「東京と奥州(東北)」を結ぶ、といった命名と同様の命名法に基づいています。
なぜ「上越市」と紛らわしい名称になったのか
新潟県の「上越市」は「上杉謙信の上」と「越後国の越」を合わせて名付けられたとされています。これは1971年の直江津市と高田市の合併によって誕生した比較的新しい市名です。
一方、上越線の命名はそれよりも前の昭和初期にさかのぼるため、両者の「上越」は偶然一致したに過ぎないのです。
「上越新幹線」も同じ由来
「上越新幹線」も「上毛」と「越後」を結ぶという意味で名付けられています。実際、上越新幹線は高崎(群馬)~新潟(越後)間を結びます。
このため、上越新幹線が「上越市」を通っていないにも関わらず、名前に「上越」が入っていることに戸惑う人も多いのです。
混乱を避けるための覚え方
- 「上越線」や「上越新幹線」の「上越」は「上毛(群馬)」+「越後(新潟)」
- 「上越市」の「上越」は「上杉」+「越後」から来ている
- いずれも地理的な接点はあるが、意味は異なる
まとめ:路線名の「上越」は地域名とは別物
上越線の「上越」は、「上毛」と「越後」という旧国名を基にしたものであり、現在の「上越地方」「上越市」とは直接関係がありません。同じ漢字を使っていても意味や由来が異なる場合があるという、地名と鉄道路線名の面白い一例といえるでしょう。


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