近年、日本人が観光目的で訪れる国の選択肢は広がっていますが、その中でも中国は比較的容易に渡航できる国として知られています。一方で、同じアジア圏に位置する北朝鮮（朝鮮民主主義人民共和国）については、観光のハードルが高いと感じる方が多いでしょう。本記事では、中国と北朝鮮の観光事情を比較しながら、その違いと背景をわかりやすく解説します。
ビザと入国のしやすさの違い
中国は日本と国交を持つ国であり、短期滞在（15日以内）であればビザが不要です。2024年時点では、期間限定のビザ免除措置も適用されており、観光や出張もスムーズです。
一方で北朝鮮に渡航するには、特別な観光ビザが必要であり、個人での手配はできません。訪問は政府認定の旅行代理店を通じて団体旅行形式でのみ許可されており、自由な行動は大きく制限されます。
政治体制と外交関係の影響
中国は国際社会において一定の交流を持つ社会主義国家ですが、市場経済が導入されて以降、ビジネス・観光ともに国際的な開放性が高まっています。
一方、北朝鮮は依然として厳格な共産主義体制を維持しており、外国人の流入を厳しく管理しています。さらに、日本との外交関係は正式に樹立されていないため、渡航に関する情報や支援体制も非常に限定的です。
情報統制と観光中の制限
北朝鮮では、観光中の写真撮影や行動が厳しく制限され、常にガイドの同行が義務付けられています。観光客は自由に街を歩いたり、地元の人々と交流したりすることができません。
対照的に中国では、一般的な観光客として行動の自由が大きく保証されており、インフラも整備されています。このような「観光体験の質」の差も、北朝鮮が観光先として選ばれにくい理由の一つです。
安全保障上の懸念と政府の渡航情報
外務省の「海外安全ホームページ」では、北朝鮮に対して渡航中止勧告（レベル3）が継続的に出されている場合があります（時期により変動）。このため、多くの日本人旅行者にとってはリスクを感じやすい渡航先となっています。
また、在外公館（大使館や領事館）が現地に存在しないこともあり、トラブル時のサポートを受けることが難しい点も不安要素です。
実際に北朝鮮を訪れる方法と条件
どうしても北朝鮮を訪れたいという場合は、中国やロシアを経由し、Koryo Toursなどの専門旅行会社を利用することになります。これらの会社は北朝鮮政府と提携しており、ガイド・ビザ・移動手段を一括で手配してくれます。
ただし、旅行中の自由度は極めて低く、事前の誓約書やガイドラインへの同意が必要です。観光と言うより「視察」に近い体験となることを理解しておく必要があります。
まとめ：容易さの差は制度と体制の違いに起因
中国への渡航が容易であるのは、外交関係・ビザ制度・インフラ整備・観光の自由度といった点で広く開放されているからです。一方、北朝鮮は政治体制や安全保障上の事情により、観光の受け入れ自体が限定的であり、制度的・心理的なハードルが高くなっています。
旅行先を選ぶ際には、こうした背景を理解し、自身の目的やリスク許容度に合った選択をすることが大切です。
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