高速バスの利用において「隣を空けたいから2席分を予約して片方をキャンセルする」という“隣席ブロック”の話題が最近取りざたされています。この記事では、実際にこのような行為が法律上どう評価されるか、また利用者として何を知っておくべきかを整理します。
「相席ブロック」とは何か?利用実態と背景
「相席ブロック」とは、1人が2席を予約し、そのうち1席を直前にキャンセルすることで、隣に人が座らないようにする行為を指します。([参照](https://www.n-daiichi-law.gr.jp/contents/information/12473))
この行為が注目される背景には、キャンセル料が非常に低額である高速バスの予約制度や、乗車直前の取消が比較的容易である仕組みがあります。([参照](https://www.n-daiichi-law.gr.jp/contents/information/12473))
法律的なリスク:刑事・民事の両面から考える
弁護士の見解によると、隣席ブロックのような行為が「最初から隣席を使うつもりがなかった」などの故意が明らかであれば、事業者の予約販売機会を奪うものとして偽計業務妨害罪(刑法233条)に問われる可能性があります。([参照](https://hicbc.com/magazine/article/?id=radichubu-60744))
また、そもそも予約・契約の実態と異なる利用目的だった場合には、民法上の不法行為(民法709条)として損害賠償請求の対象となる可能性もあります。([参照](https://www.ukiyo-journal.com/article/kousoku-bus-aishiki-block-cancel-2025-09-02?lang=ja))
「2席分を予約してキャンセルしない」場合の解釈と実務的対応
一方、利用者が最初から2席分を予約し、2席分の運賃を支払い、キャンセルせずに2席を利用した場合は、法律的には「予約・支払い済みの席を使用している」という観点から、直ちに犯罪になるとは言えないという見解があります。([参照](https://www.otonanswer.jp/post/296000/))
つまり、重要なのは「予約した席を使うつもりがあったか」「本当に2席分使用する意思と支払いがあったか」という点であり、利用目的・行為の背景によって法的評価が異なります。
実例で見る“グレーゾーン”と注意点
例えば、ある高速バス会社では“1人利用なのに4〜5便分を予約して実際に1便しか乗らない”という事例が報じられています。([参照](https://newsdig.tbs.co.jp/articles/nbc/2275577?page=2))
このような予約行為が頻繁に繰り返され、事業者に明確な損害や販売機会の喪失があると判断されれば、法的責任が問われる可能性がより高まります。([参照](https://www.ukiyo-journal.com/article/kousoku-bus-aishiki-block-cancel-2025-09-02?lang=ja))
利用者として知っておくべきガイドライン
バス会社各社では、隣席確保のニーズに対応する有料オプションや、直前のキャンセル料引き上げ、予約システムの厳格化など対策が進んでいます。([参照](https://www.n-daiichi-law.gr.jp/contents/information/12473))
利用者としては、次のような姿勢が望ましいでしょう:
- 「隣席を空けたい」場合には、バス会社が提供する隣席確保プランを検討する
- 2席分予約するなら、実際に2席を使用する意思と支払いがあるかを自分自身で確認する
- 直前のキャンセルが頻繁で“予約だけして使用しない”ような行動は事業者・他の利用者への影響を考慮する
まとめ
「高速バスで2席を予約し隣を空ける」という行為自体が即犯罪というわけではありませんが、その背景・目的・頻度・使用実態によっては、民事・刑事いずれの法的責任が問われ得ることは明らかです。
特に「予約した席を使うつもりがなかった」「使用しない席を放置してキャンセルだけを利用する」「繰り返し同様の予約を行う」といった行為は、モラルの観点だけでなく法的なリスクという観点でも注意が必要です。快適な移動を実現するために、公正・適切な利用を心がけましょう。

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