昭和時代に路線を支えていた旧型のボンネットバスには、現在のバスと比べて「ハンドルが重い」「切れ味が鈍い」といった感覚を覚える人が多く、「重ステ(重ステアリング)」と呼ばれる現象も語られています。本記事では、そんな“重ステ”の背景や構造的な要因、実際の運転体感までを、具体例を交えて解説します。
ボンネットバスとは何か?
まず、そもそも「ボンネットバス」とは、エンジンが前方に出っ張った“ボンネット”形状を持つバス車両のことを指します。日本国内では1950〜70年代に多数導入され、レトロバスとして今もイベント等で走る車両もあります。([参照](https://autoc-one.jp/workcar/5006824/))
その特徴として、前輪・前エンジン配置、リーフスプリングや板バネを用いたサスペンション、油圧ではなく機械的・油圧併用のステアリング機構などが挙げられます。
「重ステ」が起きる仕組み—構造的な観点から
旧型バスで「重ステ」と言われる原因は、主に以下のような構造的要因にあります。
- パワーステアリング未装備または補助装置が小規模 → ドライバーの操作力がそのままハンドルに反映されやすい。
- 前輪・前エンジン車で、前重心・前輪荷重が大きい → ハンドルに伝わる抵抗が増加。
- サスペンションやタイヤのアソビ(遊び)・切れ角設計が現代車よりも大きめ → ハンドル操作量・ハンドル切り返し回数が増え、結果として“重さ”を感じやすい。
たとえば、ある現役ボンネットバスの運転者からは「ステアリングは直進時も常に修正舵が必要なくらいのアソビがあり、カーブでは重ステかつロックtoロックが大きくて操作はとにかく忙しい」という体験談があります。([参照](https://autoc-one.jp/workcar/5006824/))
実例で観る“重ステ”の体感
四国・徳島県のある旧型いすゞ「BXD30」車(1966年製)を用いた定期観光バス運行では、“大型車でありながら重ステとのこと”という運転者の言及があります。([参照](https://blog.goo.ne.jp/takerun_2006/e/b15327bbbed14b4e2919f9a8479727be))
具体的には、低速で切り返しを行う場面で「ハンドルを最初に切る時の抵抗感」「切り始めてから反応するまでのタイムラグ」「戻す時の戻り始めまでの遊び」が、現代車と比べて明確に大きく、「腕が疲れやすい」「身体で操作を支える場面が多い」といった感覚を伴います。
なぜ現代バスは“重ステ感”が減ったのか?
ここで、なぜ今のバスでは“重ステ”をあまり感じなくなったかを整理します。
- パワーステアリング(電動/油圧式)を標準装備し、ハンドル操作を補助する機構が普及。
- 前輪荷重の最適化、車両重量軽減、前後重心のバランス設計など、車体設計の進歩。
- サスペンション・ステアリング系の遊び・切れ角・旋回性能などが高まり、運転者が少ない力で操作できるようになった。
つまり、かつての“重くて手応えある”ハンドル操作は、時代とともに快適な操作性へと進化してきたと言えます。
まとめ
結論として、「昔のボンネットバスは実際に“重ステ”と言われる状態で運転されていた」ことが、数々の実例から確認できます。構造的な設計、操舵補助機構の未整備、運転者の操作負荷といった要因が重なり、現在のバスとは明らかに運転感覚が異なっていました。
もし昭和期のボンネットバスに乗車機会があれば、「ハンドルの重さ」「切れ味」「戻り始めの反応」などに注目すると、当時の設計・技術がどう影響していたかを体感できるでしょう。


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