ヨーロッパ旅行で気になる犯罪の一つがスリです。特に大都市の地下鉄、鉄道駅、観光名所などでは旅行者を狙ったスリや置き引きが問題になることがあります。そのため、できればスリの少ない国や都市を選んで旅行したいと考える人もいるでしょう。
ただし、ヨーロッパに「スリが絶対にいない」と保証できる国や都市はありません。比較的犯罪が少ないとされる国でも、空港、駅、繁華街、観光地などでは窃盗が発生します。
その前提で公的な渡航情報を見ると、アイスランドやノルウェーなどは比較的軽犯罪のリスクが低い地域として検討しやすい一方、フィンランドやスイスでもスリへの注意喚起があります。旅行先は国単位のイメージだけでなく、訪問する都市・場所・交通手段まで含めて選ぶことが大切です。
「スリがゼロの国」ではなく「遭遇する可能性が比較的低い場所」を探す
まず理解しておきたいのは、犯罪件数を国同士で単純比較して「ここならスリはいない」と判断するのは難しいことです。統計上の犯罪件数は人口、観光客数、警察への届け出率、犯罪の分類方法などにも左右されます。
また同じ国でも場所による差があります。地方都市では落ち着いていても、首都の中央駅や観光客が集中する場所ではスリのリスクが高くなることがあります。
したがって旅行先を選ぶ際は、「スリが存在するか」ではなく、「旅行者を狙ったスリが頻発する環境かどうか」という視点で考えるのが現実的です。
候補1:アイスランドは軽犯罪が比較的少ない
スリをできるだけ避けたいヨーロッパ旅行先として、まず候補にしやすいのがアイスランドです。英国政府の渡航情報では、アイスランドについて犯罪水準は低いとされています。[参照:英国政府 Iceland travel advice]
ただし犯罪がないわけではなく、レイキャビク中心部のバー周辺などでは軽微な窃盗や迷惑行為が発生する可能性があるとして、所持品を安全に管理するよう案内されています。
アイスランドは巨大都市の地下鉄を乗り継いで観光名所を巡るような旅行スタイルではないため、観光客が極端に密集した公共交通機関でスリに遭遇する場面を減らしやすいのも特徴です。一方でレンタカー利用時の事故や自然環境など、窃盗とは別の旅行リスクには注意が必要です。
候補2:ノルウェーも比較的選びやすい
ノルウェーも、スリを特に心配する旅行者には候補になります。英国政府の渡航情報では軽犯罪について「small risk」とされ、特にオスロ周辺の空港や鉄道駅で軽微な窃盗に注意するよう案内されています。[参照:英国政府 Norway travel advice]
重要なのは「ノルウェーなら何も警戒しなくてよい」という意味ではないことです。オスロ中央駅など、人が多く集まり旅行者が荷物を持って移動する場所では基本的な防犯対策が必要です。
一方、フィヨルド観光や地方都市、小規模な町を中心とした旅程なら、大都市の混雑した地下鉄を連日利用する旅行より、スリに遭遇する機会そのものを減らしやすいでしょう。
フィンランドやスイスも安全な印象だけで油断しない
北欧という括りでフィンランドも候補に挙がりますが、英国政府はフィンランドについて、観光シーズンの混雑した場所ではスリが旅行者を狙う場合があると明記しています。[参照:英国政府 Finland travel advice]
またスイスは重大犯罪の発生率が低いとされていますが、軽犯罪は別問題です。英国政府は大都市、ジュネーブ空港、ジュネーブ発着の列車などで軽犯罪の報告が増えているとして、空港・駅・混雑した場所でスリやひったくりへの注意を呼び掛けています。[参照:英国政府 Switzerland travel advice]
このように「治安が良い国」と「スリに遭わない国」は同義ではありません。暴力犯罪が少ない地域でも、旅行者の財布やスマートフォンを狙う機会犯罪は発生します。
国よりも「旅行スタイル」でスリのリスクは大きく変わる
スリ対策を最優先するなら、国選びだけでなく旅程の組み方が重要です。一般に旅行者が密集する場所では、犯人が人混みに紛れたり、接触を不自然に感じさせず財布を抜いたりしやすくなります。
そのため、巨大な観光都市の有名スポットを公共交通機関で次々に回る旅程より、比較的小規模な都市や地方をゆっくり巡る旅行のほうが、スリに遭遇する場面を減らしやすいと考えられます。
| 場面 | 注意度 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 混雑した地下鉄・バス | 高い | バッグを身体の前で管理する |
| 中央駅・空港 | 高い | 荷物から目を離さない |
| 有名観光スポット | 高い | スマホ・財布を不用意に出さない |
| レストラン・カフェ | 中程度 | 椅子の背やテーブル上に貴重品を放置しない |
| 地方の小規模な町 | 比較的低い傾向 | 基本的な所持品管理は続ける |
例えば「スリが心配だから北欧へ行く」と決めるだけでなく、首都の駅前ホテルに宿泊して毎日混雑した交通機関を利用するのか、地方を中心に移動するのかまで考えると、より実践的なリスク管理になります。
スリが少ない場所でも財布をズボンの後ろポケットに入れない
比較的安全な旅行先を選んでも、基本的な防犯対策は必要です。特に避けたいのが、財布やスマートフォンをズボンの後ろポケットへ入れることです。混雑した場所では取り出されても気付きにくくなります。
バッグはファスナーを閉め、混雑時には身体の前側で管理します。パスポート、現金、クレジットカードをすべて同じ財布へまとめるのも避けたほうが安心です。
例えばメインの財布にはその日使う少額の現金とカード1枚だけを入れ、予備カードや残りの現金は別の安全な場所へ分散します。財布を盗まれたとしても、旅行を継続できる状態を作っておくことが重要です。
「話しかけられた瞬間」も警戒する
スリは、単に後ろから財布を抜くだけとは限りません。道を尋ねる、署名を求める、身体へ何かを付着させる、複数人で囲むなどして注意を別方向へ向け、その間に別の人物が財布を盗む手口があります。
海外旅行中に知らない人から突然話しかけられたからといって、すべてを犯罪と考える必要はありません。しかし、不自然に距離を詰められたり、身体やバッグへ触れられたりした場合には、まず貴重品を確認し、その場から離れることが大切です。
特に駅の券売機、ATM、車内への乗降時など、自分の注意が別の作業へ向いている瞬間は警戒しましょう。
スリの少なさを最優先するなら大都市以外も候補にする
ヨーロッパ旅行というと有名な首都や世界的観光都市へ目が向きますが、スリへの不安が強い人は小規模な都市や地方滞在を組み合わせる方法もあります。
例えばアイスランドならレイキャビクだけでなく地方の自然観光、ノルウェーならオスロだけでなくフィヨルド地域や地方都市を旅程へ入れることで、人混み中心の旅行とは異なる楽しみ方ができます。
もちろん小さな町でも盗難がゼロになるわけではありません。しかし「大量の観光客」「混雑した公共交通機関」「大規模ターミナル」というスリが活動しやすい条件を避けることは、国名だけで旅行先を選ぶより実践的な対策になります。
まとめ:スリが絶対にいない場所はないが、アイスランドやノルウェーは候補になる
ヨーロッパ全体を見ても、「スリが絶対にいない」と言い切れる国・都市・街はありません。治安が良いとされる国でも、駅、空港、繁華街、観光地などでは窃盗が発生する可能性があります。
そのうえでスリへの不安をできるだけ減らしたいなら、公的な渡航情報で犯罪水準が低いとされるアイスランドや、軽犯罪のリスクが小さいと案内されているノルウェーなどは比較的検討しやすい旅行先です。ただしフィンランドやスイスを含め、ヨーロッパではどこでも最低限の所持品管理は必要です。
最も効果的なのは「安全そうな国を選べば安心」と考えるのではなく、混雑する駅や交通機関でバッグを前に持つ、現金・カードを分散する、スマートフォンを放置しないといった対策を徹底することです。さらに大都市だけでなく地方都市や小さな町を組み合わせれば、スリへの不安を抑えながらヨーロッパ旅行を楽しみやすくなるでしょう。


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