北陸3県では県をまたいで通勤・通学する?富山・石川・福井の越県通勤を国勢調査で解説

鉄道、列車、駅

富山県・石川県・福井県の北陸3県では、県境を越えて通勤・通学する人が実際にいます。特に富山県と石川県、石川県と福井県の間では日常的な越県通勤・通学が確認されており、国勢調査にも数千人規模の移動として表れています。

一方、「富山市に住んで福井市の学校へ毎日通う」といった富山県と福井県を直接またぐ移動も不可能ではありませんが、石川県を挟むため距離が長くなります。北陸3県の越県通勤・通学は均等に行われているわけではなく、富山⇔石川、福井⇔石川が現実的な生活圏として結び付きやすく、富山⇔福井は少数派と考えると実態を理解しやすいでしょう。

なお、2026年8月時点では2025年国勢調査の従業地・通学地に関する詳細結果はまだ公表されていないため、県境を越える人数を確認できる最新の詳細な公的データとして、主に2020年国勢調査を使用します。[参照] 総務省統計局「令和7年国勢調査 調査の結果」

北陸3県では県外への通勤・通学が実際に行われている

総務省の国勢調査では、住んでいる都道府県とは別の都道府県へ通勤・通学している人を集計しています。そのため「北陸で県境を越えて毎日学校や会社へ行く人が本当にいるのか」は統計から確認できます。

例えば2020年国勢調査では、富山県から県外へ通勤していた人が7,037人、県外へ通学していた人が2,758人いました。合わせると9,795人です。そのうち石川県への通勤は5,266人、通学は1,861人で、計7,127人でした。[参照] 富山県「令和2年国勢調査 従業地・通学地による人口・就業状態等集計結果」

つまり、富山県に住みながら石川県へ通勤・通学する人だけで7,000人以上確認されています。「県をまたいで毎日移動する」という生活スタイルそのものは、北陸では珍しいものではありません。

富山県から石川県への通勤・通学は特に多い

北陸3県の中でも結び付きが強いのが富山県と石川県です。2020年の富山県の県外流出人口9,795人のうち、石川県へ向かう人は7,127人で72.8%を占めました。

内訳を見ると、富山県から石川県への通勤が5,266人、通学が1,861人です。逆方向も多く、石川県から富山県へ通勤する人は5,039人、通学する人は429人で、合計5,468人でした。

例えば富山県西部の高岡市、小矢部市などから石川県内へ移動する場合、県境は比較的近くなります。金沢方面へ通うケースも考えられ、県境付近では「県外」という言葉から想像するほど遠距離ではない場合があります。

石川県と福井県の間にも多数の通勤・通学者がいる

福井県と石川県の県境でも人の移動は活発です。福井県が公表した2020年国勢調査結果では、福井県へ他県から通勤する7,103人のうち31.2%が石川県からでした。

逆に福井県から他県へ通勤する4,947人のうち、48.8%が石川県へ向かっていました。単純計算すると約2,400人です。また福井県から県外へ通学する1,767人についても、26.1%が石川県でした。[参照] 福井県「令和2年国勢調査」

したがって、福井県に住んで石川県の学校・職場へ通う人も、石川県から福井県へ通う人も実際に存在します。特に福井県北部のあわら市・坂井市と、石川県南部の加賀市・小松市周辺は県境を越えた生活圏を形成しやすい地域です。

福井県から石川県の学校へ通うのは十分あり得る

通学だけに絞っても県境を越える移動は確認できます。福井県の2020年国勢調査では、他県へ通学する1,767人のうち石川県が26.1%で最多クラスとなっています。

例えば福井県北部から石川県加賀市・小松市方面の高校、大学、専門学校へ通うケースであれば、居住地と学校の位置によっては十分現実的です。反対に石川県南部から福井県内へ通学する人もいます。

また現在は、ハピラインふくいとIRいしかわ鉄道をまたいで福井―金沢間を走る普通列車も設定されています。2026年8月にIRいしかわ鉄道が公表した運行情報にも「福井駅発 金沢行」「金沢駅発 福井行」の普通列車が掲載されており、県境を越える日常利用を想定した鉄道ネットワークが存在することが分かります。[参照] IRいしかわ鉄道「時刻表」

富山県から福井県へ毎日通学することも可能だが少数派

富山県から福井県への通勤・通学も統計上存在します。ただし富山と福井は直接県境を接しておらず、間に石川県があります。そのため、富山⇔石川や福井⇔石川より距離が長くなります。

福井県の2020年資料では、福井県から富山県へ通勤する人は160人とされています。石川県への通勤が約半数を占めるのと比較するとかなり少なく、富山県と福井県を毎日往復する人は存在するものの、一般的な越県通勤ルートとは言いにくいことが分かります。

通学の場合も同様です。例えば富山駅周辺から福井駅周辺なら北陸新幹線を利用する方法があり、時間的には通学可能な範囲にできます。しかし毎日の新幹線代や駅までの移動を考えると、一般的な高校通学より大学・専門学校・勤務先など特別な理由があるケースのほうが現実的でしょう。

県境付近なら「県外通勤」でも隣の県のほうが近いことがある

都道府県単位だけで考えると、県外へ通うことは長距離移動のように感じます。しかし実際には、自宅と学校・会社の位置関係のほうが重要です。

例えば富山県小矢部市から石川県方面へ向かう場合、富山市中心部へ通うより石川県側の勤務地が便利になる場合があります。同様に福井県あわら市付近からなら、福井県南部へ向かうより石川県加賀市方面のほうが近いケースもあります。

そのため北陸では「県境を越えているから特殊」というより、県境近くの住民にとって隣県が普通の通勤・通学圏になっていると考えたほうが実情に近いでしょう。

鉄道では富山・金沢間の移動もしやすい

富山県と石川県の間では、あいの風とやま鉄道とIRいしかわ鉄道がつながっており、富山―金沢を直通する普通列車も運転されています。2026年のあいの風とやま鉄道の案内でも、金沢発・富山行や富山発・金沢方面の列車が確認できます。[参照] あいの風とやま鉄道

さらに北陸新幹線も富山・金沢・小松・加賀温泉・芦原温泉・福井などを結んでいます。料金は普通列車より高くなりますが、勤務先が通勤費を負担する会社員や、時間を優先する学生にとって選択肢になります。

ただし毎日の通勤・通学では、所要時間だけではなく定期券代、乗り換え回数、自宅から駅までの距離を含めて考える必要があります。

車通勤なら県境を越えるケースはさらに考えやすい

北陸は自動車利用の割合が高い地域です。鉄道駅から離れた工場、事業所、郊外型店舗などへの通勤では、自家用車を使って県境を越えるケースもあります。

例えば石川県加賀市と福井県あわら市・坂井市、石川県西部と富山県小矢部市・高岡市などは道路でも結ばれています。勤務先が県境近くなら、県内の遠い市へ通勤するより短時間になることもあります。

一方で北陸では冬季の積雪・凍結が重要です。夏なら無理なく通える距離でも、大雪の日には高速道路や一般道、鉄道が遅延・運休する場合があります。長距離の越県通勤・通学を考える場合は、通常時だけでなく冬の代替交通手段も確認しておく必要があります。

北陸3県で通勤・通学時間が極端に長いわけではない

総務省統計局が令和3年社会生活基本調査をもとに示している「1日当たりの通勤・通学時間」では、全国平均が1時間19分です。

北陸3県では富山県が1時間4分、福井県が1時間2分、石川県が1時間0分となっています。いずれも全国平均より短くなっています。[参照] 総務省統計局「1日当たりの通勤・通学時間」

したがって、北陸で県外通勤者が存在するからといって、多くの住民が毎日何時間もかけて県境を越えているわけではありません。県境付近の比較的短い移動も「県外通勤・通学」として集計されることがポイントです。

県をまたぐ通学で現実的なのはどの組み合わせ?

北陸3県の地理と2020年国勢調査の実績から整理すると、おおむね次のように考えることができます。

通勤・通学区間 実態 現実性
富山県⇔石川県 数千人規模の移動あり 非常に現実的
石川県⇔福井県 数千人規模の通勤と通学あり 非常に現実的
富山県⇔福井県 実際に移動者はいるが少ない 可能だが長距離になりやすい

特に県境付近では、富山・石川、石川・福井の組み合わせは普通の生活圏として成立しています。一方、富山県東部から福井県南部のように両端が離れるほど、毎日の移動は現実的ではなくなります。

同じ「富山から福井」でも、富山市から福井市なのか、高岡市から福井市なのかによって負担は大きく変わるため、県名だけではなく具体的な市町村で判断する必要があります。

高校・大学では通学条件にも注意

大学や専門学校の場合は、県外在住者が通学すること自体は一般的で、入学条件を満たしていれば富山・石川・福井の県境を越えて通うことに特別な問題は通常ありません。

一方、公立高校では都道府県ごとに通学区域や県外募集の制度があります。「電車で通える距離だから自由に受験できる」とは限らないため、希望する高校の募集要項を確認する必要があります。

例えば県境近くに住んでいて隣県の高校のほうが近くても、出願資格は交通距離ではなく各教育委員会や学校の規定で決まります。高校進学を前提に越県通学を考える場合には、必ずその年度の入試要項を確認しましょう。

2024年の北陸新幹線敦賀延伸で移動環境も変化

北陸3県間の交通環境は、2024年3月の北陸新幹線金沢―敦賀間開業によって大きく変わりました。富山、金沢、小松、加賀温泉、芦原温泉、福井、越前たけふ、敦賀が新幹線で結ばれています。

一方、従来のJR北陸本線の普通列車区間は、石川県ではIRいしかわ鉄道、福井県ではハピラインふくいへ移管されました。現在も会社をまたぐ直通列車が設定されている区間があるため、地域輸送そのものが分断されたわけではありません。

2020年国勢調査は新幹線敦賀延伸前のデータなので、2026年現在の交通環境とは完全には一致しません。今後公表される2025年国勢調査の従業地・通学地集計では、延伸後の人の流れがより正確に分かるようになります。

まとめ|北陸では隣県への通勤・通学は珍しくない

富山県・石川県・福井県では、県境を越えて通勤・通学する人が実際に多数います。特に富山県⇔石川県、石川県⇔福井県の移動は国勢調査でも明確に確認されています。

2020年国勢調査では、富山県から石川県へ通勤・通学する人だけで7,127人いました。また福井県でも、県外への通勤者の約半数が石川県へ向かっており、県外通学者についても石川県が主要な行き先となっています。

したがって「福井県に住んで石川県の学校へ通う」「石川県に住んで富山県へ通勤する」といった生活は十分実在します。県境に近い地域では、県内の遠い都市へ行くより隣県へ出るほうが便利なことさえあります。

一方、富山県と福井県は石川県を挟んでいるため、両県を直接毎日往復する人は隣接県同士と比べて少数です。新幹線を使えば富山市と福井市のような長距離通勤・通学も可能ですが、交通費や駅までの時間を含めると一般的とは言いにくいでしょう。

北陸の通勤・通学事情を理解するときは、「県外か県内か」よりも自宅と勤務先・学校の実際の距離、鉄道の接続、車での所要時間を見ることが重要です。行政上は県境を越えていても、生活圏としては隣町へ移動する感覚に近いケースが北陸には数多くあります。

※本記事は2026年8月30日時点で確認できる総務省統計局、富山県、福井県、IRいしかわ鉄道、あいの風とやま鉄道などの公式情報をもとに作成しています。2025年国勢調査の従業地・通学地に関する詳細結果は記事作成時点では未公表のため、越県通勤・通学人数には2020年国勢調査の確定値を使用しています。

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