ニュースで事件が報じられた際、「逮捕されたのに不起訴になった」という話を目にすることがあります。不法入国や長期間の不法滞在など、一見すると重大に感じられる事件でも不起訴処分となる場合があり、「なぜ起訴されないのか」と疑問を持つ方も少なくありません。
しかし、不起訴処分は「何も悪くなかった」という意味ではなく、刑事手続きの中で検察官がさまざまな事情を考慮して判断する処分です。この記事では、不起訴になる理由や起訴の基準、外国人事件を含む刑事手続きの流れについて解説します。
不起訴処分とは刑事裁判を行わない決定のこと
不起訴処分とは、検察官が事件を裁判にかけないと判断することです。日本の刑事手続きでは、警察が捜査して逮捕や書類送検を行った後、最終的に起訴するかどうかを検察官が判断します。
逮捕されたことや犯罪の疑いを持たれたことだけで、必ず裁判になるわけではありません。検察官は証拠の内容や犯罪の成立状況、本人の事情などを総合的に判断します。
そのため、犯罪の疑いがあるとして捜査された事件でも、不起訴になるケースは一定数存在します。
不起訴になる主な理由
不起訴にはいくつかの種類があります。代表的なものとして「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」があります。
嫌疑なしとは、捜査の結果、犯罪を行ったとは認められない場合です。
一方、嫌疑不十分は犯罪の可能性はあるものの、裁判で有罪を証明できる十分な証拠がない場合を指します。
起訴猶予は犯罪の成立や本人の関与が認められる場合でも、年齢、反省状況、被害の程度、再犯の可能性などを考慮して起訴しない判断です。
重大そうに見える事件でも不起訴になることがある理由
一般の人から見ると「犯罪をしたのだから裁判にするべきではないか」と感じる事件でも、刑事裁判では有罪にできるだけの証拠が必要になります。
日本の刑事裁判では、検察官が犯罪を合理的な疑いなく証明する必要があります。そのため、世間的な印象だけで起訴することはできません。
また、長期間が経過している事件では、証拠の確保が難しくなったり、本人の生活状況や健康状態などが判断材料になる場合もあります。
外国人による不法入国や不法滞在事件の扱い
外国人による不法入国や在留資格に関する問題も、日本の法律に基づいて処理されます。入管法違反が疑われる場合、警察や入国管理当局による調査が行われ、状況に応じて刑事手続きや行政上の対応が進められます。
例えば、過去に不正な方法で入国した事実があったとしても、事件発覚時の状況、証拠、本人の生活状況などによって検察官の判断は変わります。
不起訴になった場合でも、必ずしも行為自体が認められなかったという意味ではなく、刑事裁判として処理するかどうかの判断が行われた結果です。
「何をしたら起訴されるのか」という疑問について
起訴されるかどうかは、犯罪の種類や被害の大きさだけで決まるものではありません。重要なのは、犯罪の成立を証明できる証拠があり、裁判によって処罰する必要性があるかどうかです。
殺人など重大犯罪では通常、証拠が十分であれば起訴される可能性は高くなります。しかし、どの事件でも個別の事情があり、法律上は検察官に起訴するかどうかの裁量が認められています。
そのため、「何人殺害したら起訴される」といった単純な基準があるわけではなく、それぞれの事件ごとに判断されます。
まとめ
不起訴処分は、犯罪を疑われた人を必ず裁判にかけるのではなく、検察官が証拠や事情を総合的に判断した結果として行われるものです。
不法入国や不法滞在などの事件でも、事件の内容や証拠、本人の状況によって不起訴になる場合があります。不起訴という結果だけを見るのではなく、刑事手続きの仕組みを理解することが大切です。
ニュースで報じられる事件について疑問を感じた場合は、「逮捕=有罪」「不起訴=無罪」という単純な図式ではなく、日本の刑事制度における検察判断の仕組みを踏まえて見る必要があります。


コメント