近年、高速道路での逆走事故が相次ぎ、ニュースでも頻繁に取り上げられています。事故の映像には、当事者の車両が映ることが多いですが、多くの場合ナンバープレートはぼかされており、それに疑問を抱く視聴者も少なくありません。今回は、なぜ報道でナンバープレートを隠すのか、そこにある法的・倫理的な理由を解説します。
ナンバープレートが個人情報に該当する理由
車のナンバープレートは、特定の車両およびその使用者を識別可能にする情報です。自動車登録番号と車検証の照合により、所有者の氏名や住所を特定できるため、個人情報保護の観点から、報道機関やメディアはこれを公開する際に慎重になる必要があります。
仮に無断でナンバープレートを公開した場合、プライバシーの侵害として問題視される可能性があり、報道機関は訴訟リスクを避けるためにも自主的にモザイク処理を施しています。
報道倫理と「無罪推定の原則」
逆走事故のようなケースでは、事件性が疑われる段階でも容疑者はまだ「被疑者」です。この時点で本人を特定できる情報(ナンバーや顔など)を公開することは、無罪推定の原則に反する可能性があるため、慎重な対応が求められます。
たとえば、誤って逆走した高齢者が事故を起こした場合、単なる操作ミスの可能性も否定できません。そのような事例でナンバーをさらした結果、無実だったと判明した場合、本人の名誉や社会生活に大きな影響を与えることになります。
捜査協力と報道の役割の違い
視聴者の中には、「ナンバーを晒せば誰かが通報して早く捕まるのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、捜査は警察の権限と責任に基づいて行われるべきであり、報道の目的は社会に必要な情報を伝えることにあります。
警察が公開捜査に踏み切る場合は、氏名や顔写真、ナンバーなどを公表することがありますが、それはあくまでも法的手続きを経て判断されたものです。報道機関が独断で晒すことはできません。
ナンバー公開が許される例外的ケース
例外として、公開捜査が発表された事件、すでに起訴され被告人として報じられている事件では、ナンバープレートや容疑者の顔写真などが報道されることもあります。これは公益性が極めて高いと判断された場合に限られます。
たとえば、通り魔事件や誘拐事件など、緊急的に被疑者を見つけ出す必要があるケースでは、一般市民からの情報提供を目的に公開されることもあります。
まとめ:ナンバーを隠すことは「逃がすため」ではない
ナンバープレートをぼかして報道することには、個人情報の保護、報道倫理、法的リスクの回避といった正当な理由があります。「隠すことで犯人を助けている」と感じるかもしれませんが、それは誤解です。むしろ、社会全体の公平性と正確な報道を守るための配慮といえるでしょう。
今後、報道を見る際はこうした背景を理解しながら受け取ることで、より冷静で正確な情報判断が可能になります。


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