ガソリン・ガス・電気を熱源とした蒸気機関車は存在したのか?異色の蒸気動力を探る

鉄道、列車、駅

蒸気機関車といえば石炭を燃やしてボイラーの水を沸騰させ、その蒸気圧で動くイメージが一般的ですが、歴史上には石炭以外の熱源を使った“異色の蒸気機関車”も存在していました。今回は、ガソリン・ガス・電気といった代替熱源を利用した蒸気機関車について解説します。

石炭以外の熱源を使った蒸気機関車の存在

蒸気機関車の基本構造は、「燃料で水を沸騰させ、蒸気圧でピストンを動かす」仕組みに基づいています。この構造さえ維持されていれば、理論的には石炭以外でも水を沸かせば動力が得られます。実際に、20世紀前半から中盤にかけて、さまざまな理由から代替熱源を用いた蒸気機関車が試作・実用化されてきました。

ガソリン加熱式の蒸気機関車

1920〜30年代には、石炭に比べて取り扱いが容易なガソリンや灯油を使った加熱方式の蒸気機関車が一部で導入されました。アメリカのバルディー・ドレフス社が製造した「セントラル・アメリカン・スピリット」はその一例で、灯油バーナーを使用してボイラーを加熱していました。

これらの機関車は、小型でメンテナンス性に優れ、工場内や小規模な鉱山などで実用されるケースもありましたが、燃焼制御が難しいことやコスト面から広くは普及しませんでした。

ガス燃料による蒸気機関車

都市ガスやプロパンガスを使用した蒸気機関車も実験的に存在していました。特に戦時中や戦後直後の資源難の時代には、代替燃料としてガスを活用する試みが行われています。

例えば、イギリスやフランスでは都市ガスを用いて加熱するボイラーを搭載した機関車が試験運転されました。ただし、移動体に可燃性ガスを積む危険性や補給のインフラが問題となり、実用化は一部に限られました。

電気加熱による蒸気機関車

電気を使って水を加熱し蒸気を発生させる「電気ボイラー式蒸気機関車」も、構想・試作段階まで存在しました。これらは電熱ヒーターなどを用いてボイラー内の水を沸騰させるもので、石炭や火炎を使わない「クリーンな蒸気機関車」として注目された時期もあります。

代表的な例としては、1950年代にドイツで構想された「エレクトロスチームロコモーティブ」があります。しかし、発電効率や電源供給の制約から、結果的には直流電動機で車輪を回す電気機関車の方が合理的とされ、量産には至りませんでした。

ハイブリッド型蒸気機関車の登場

近年では、環境対策や保存運転のためにハイブリッド技術を取り入れた蒸気機関車も登場しています。例えば、JR北海道のSL「C11-207」号は、ディーゼル発電機と蓄電池を用いてボイラー内の加熱を補助する仕組みを採用しており、現代的なアプローチで蒸気機関の魅力を継承しています。

まとめ

蒸気機関車=石炭というイメージが強い中で、ガソリン・ガス・電気といった多様な熱源を使った蒸気機関車も、実験や実用の場面で存在してきました。これらの機関車は、時代背景や目的に応じて多様な技術が試されてきた証であり、鉄道技術の発展の過程を知るうえで興味深い存在といえるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました