アメリカへの入国は、ビザや渡航目的、過去の滞在履歴などによって審査基準が大きく変わります。特に、フィアンセビザ(K-1ビザ)を申請中にESTA(電子渡航認証システム)を利用して再入国を試みる場合、入国審査官の判断に左右される重要なポイントがいくつか存在します。本記事では、フィアンセビザ申請中のESTA渡航について詳しく解説します。
ESTAとフィアンセビザは相反する制度
ESTAは観光や短期商用目的での渡米を対象とした制度であり、原則「非移民」を前提としています。一方、フィアンセビザは移民を前提とした滞在です。このため、ビザ申請中にESTAで渡航を試みる場合、移民の意図(移住の意思)があると判断されるリスクがあります。
例えば、K-1ビザ申請中の状態で入国審査官に「アメリカ人パートナーと婚約していて滞在予定」と説明すれば、その場で入国拒否されることもあります。移民の意図があるとみなされれば、ESTAの条件違反とされるためです。
過去の滞在履歴が影響するケース
前回の渡米で「2~3週間の滞在予定」と説明して入国し、実際には約3か月滞在していた場合、その記録はCBP(米国税関・国境警備局)に残っており、再入国時の審査で参照される可能性があります。
たとえ合法的な90日以内の滞在であっても、予定より大幅に長く滞在していると「実際の渡航目的に偽りがあった」と疑われ、次回以降の入国に支障をきたすこともあります。
フィアンセビザ申請中の滞在リスク
K-1ビザ申請中の段階では、アメリカ移民局(USCIS)に提出したI-129Fフォームなどで、すでに移住の意思が公的に示されている状態です。このため、ESTAで再入国する場合、審査官に「本当は移住しようとしているのでは?」と疑われるリスクが極めて高いといえます。
仮に1か月以上の滞在を予定していたり、米国内の婚約者宅に滞在することが明らかになると、入国拒否となる可能性が高くなります。ESTAの本来の趣旨から外れる行動と見なされるからです。
ESTAでの再入国を希望する場合の注意点
どうしてもESTAで渡航したい場合は、以下の点を守る必要があります。
- 滞在目的は「観光」であり、短期間の滞在であることを明確に説明する
- 往復の航空券を所持している
- 滞在中の宿泊先が明示でき、帰国後の予定(職場復帰や学校など)を示せる
- K-1ビザ申請中であることを尋ねられたら正直に答えつつも、今回の滞在が短期の観光目的であることを強調する
ただし、最終判断は入国審査官に委ねられるため、上記の対策を取ってもリスクはゼロではありません。
実際の事例から見る入国拒否の可能性
インターネット上の掲示板や体験談では、K-1ビザ申請中にESTAで渡米しようとしたものの、審査官に目的を問われて入国拒否されたという例も見られます。一方で、「観光目的で1週間滞在する」と明確に説明し、無事に入国できたケースも存在します。
このように、渡航者の話し方や提出書類、審査官の判断によって結果が大きく左右されるため、綿密な準備が重要です。
まとめ:フィアンセビザ申請中は慎重な行動を
フィアンセビザ申請中にESTAでアメリカに渡航することは可能ではあるものの、高いリスクを伴います。過去の滞在記録や現在のビザ申請状況を考慮し、入国審査で誤解を招かないよう事前準備を万全に整えましょう。確実な方法を選ぶなら、ビザ取得後の渡航が最も安全です。


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