なぜETCは高速道路で推奨・普及されているのか？その背景と今後の展望

日本全国の高速道路では、ETC（電子料金収受システム）の導入が進められています。中には「年に1回しか使わないのに、なぜETCを付けなきゃいけないのか？」という疑問を持つ方もいるでしょう。本記事では、ETCの導入が進む理由やその背景、そして利用頻度が少ない人にとっての選択肢について詳しく解説します。

ETC導入の主な目的とは？

ETCの導入は料金所の渋滞緩和と運営コストの削減が大きな目的です。車が止まらずに通過できることでスムーズな交通の流れを維持でき、料金収受員の人件費も削減されます。

実際、NEXCO東日本などの発表によると、ETC導入以降は一部の料金所で最大30％以上の通過時間短縮が報告されています。

日本政府はキャッシュレス社会への移行を進めており、ETCはその一環でもあります。現金決済に比べて、ETCは取引データの可視化が容易で、経理や帳簿処理もシンプルになるメリットがあります。

個人利用者にもポイント付与などのインセンティブがあり、クレジット機能との連動で利用が促進されています。

確かに、年に1度の旅行や帰省だけで高速を使うようなユーザーにとっては、ETC車載器の導入コスト（5,000〜15,000円程度）やカード発行手続きは手間に感じられるかもしれません。

しかし、ETC車載器を中古で安価に入手する方法や、カーシェア・レンタカーでETC対応車を選ぶといった選択肢もあります。

2020年代以降、一部の新設IC（インターチェンジ）ではETC専用レーンのみという例も出てきています。ただし、全国すべてが即座にそうなるわけではなく、過渡期として現金レーンは一定数残ると見られています。

また、高齢者や障がい者などへの配慮から、ETC未対応者への支援策や代替手段も検討されています。

今後は、スマホアプリを利用した簡易ETCや、ETCカード不要の「ナンバープレート連動課金」など、新しい仕組みの導入も見込まれています。

頻度が少ない利用者でも負担が軽減される仕組みが整備されつつあるため、導入のハードルは今後下がっていく可能性があります。

ETCの普及は、よりスムーズで効率的な高速道路運用を目指すための政策です。年に1回の利用でもETCを導入する価値はあり、今後はさらに柔軟な運用も期待されます。

強制ではないものの、現金利用が制限される場所が増える中、選択肢としてETCを検討するタイミングが来ていると言えるでしょう。