かつて多くの鉄道ファンや旅行者に愛された夜行快速列車「ムーンライト」シリーズ。新宿〜新潟を結んだ「ムーンライトえちご」をはじめとして、全国各地に存在したこの夜行快速列車群は、“格安で旅情あふれる移動手段”として一世を風靡しました。この記事では、そのムーンライト系統の種類とその魅力、なぜ姿を消していったのかについて詳しく掘り下げていきます。
ムーンライトの“元祖”とは?
多くの鉄道ファンの間で“元祖”とされているのが「ムーンライトえちご」です。新宿駅〜新潟駅間を走っていた夜行快速列車で、運行開始は1986年。18きっぷ利用者を中心に、関東と北陸・上越を格安で結ぶ人気路線でした。
ムーンライトえちごは車両に183系・485系などを使用していた時期もあり、指定席のみで運行されていたのも特徴の一つでした。
主なムーンライト系統の種類一覧
- ムーンライトながら:東京〜大垣。最も利用者が多く、青春18きっぷユーザーにとって“伝説”の列車。
- ムーンライトえちご:新宿〜新潟。北陸方面の旅行に便利。
- ムーンライト信州:新宿〜白馬・松本方面。登山客にも人気。
- ムーンライトながら91・92号:ながらの増発便。繁忙期限定で運行。
- ムーンライト高知/松山:岡山〜高知・松山。四国エリアへのアクセス手段として重宝された。
- ムーンライト九州:新大阪〜博多。1990年代には運行されていた貴重な関西発の夜行快速。
このように、かつては全国各地に展開していた“ムーンライト”シリーズ。最大で6〜7系統が並行して走っていた時期もありました。
なぜムーンライトは次々に廃止されたのか
かつてのような利用者の多さに対し、近年は以下の理由により次々と廃止されていきました。
- 夜行バスやLCCの台頭による利用者減少
- 車両の老朽化と代替車両不足
- 保守・運行コストの増加
- 定期運行に対する需要の低下
たとえば「ムーンライトながら」は2020年春以降、コロナ禍に伴う運休を経て、ついに定期運行から完全撤退しました。ファンからは惜しむ声が多く上がっています。
ムーンライト列車の思い出と旅情
夜行列車というと「昭和の遺産」として語られがちですが、ムーンライトシリーズは平成の時代に青春18きっぷとセットで“貧乏旅行の王道”として活躍していました。駅弁を片手に乗る人、窓の外の夜景に見惚れる人、車内で寝袋を敷く人など、さまざまな旅の形がありました。
今ではその大半が廃止され、特別な存在となったムーンライト列車。それでも、鉄道ファンの記憶の中で今もなお、走り続けています。
まとめ:ムーンライト列車が教えてくれた旅の原点
ムーンライト列車は、単なる移動手段ではなく、旅そのものの魅力を教えてくれる存在でした。移動の途中に味わう静寂や高揚感、一期一会の出会いは、今も多くの人の記憶に残っています。現代ではなかなか体験できない夜行旅の魅力を、こうした歴史を知ることで、少しでも思い出していただければ幸いです。

コメント