かつて炭鉱のような雰囲気と硫黄の香りに包まれた小原温泉「しんゆ」は、その独特な佇まいから多くの温泉ファンに愛されてきました。現在の様子をネットで確認すると、施設や駐車場が大きくリニューアルされ、近代的な印象に変わったことに気づく方も多いでしょう。今回は「しんゆ」の変遷と、かつてのような“レトロ感”を味わえる温泉をご紹介します。
現在の小原温泉「しんゆ」はリニューアル済み
2020年以降、「しんゆ」は老朽化対策の一環として大規模改修が行われ、建物も駐車場も刷新されました。以前のような“ガスの香りに包まれたレトロな空間”というより、清潔で明るい観光施設として再生されています。
こうしたリニューアルは、安全性や利便性向上のために必要ですが、昭和的で“雑然とした良さ”を求めていたファンには少し物足りないと感じられるかもしれません。
“綺麗じゃない”けど味わい深い温泉を求めて
昔の「しんゆ」のようなレトロ感や、良い意味で整いすぎていない温泉を求める方には、以下のような温泉地が特におすすめです。
- 秋田県・玉川温泉:地熱と硫黄ガスが立ち込める独特な雰囲気。がん患者の湯治場としても有名。
- 群馬県・法師温泉 長寿館:明治期からの木造建築が残る、まさに時が止まった空間。
- 福島県・飯坂温泉 鯖湖湯:超熱い湯で有名な共同浴場。昭和の銭湯スタイルが楽しめる。
- 山形県・肘折温泉:山間にある湯治場。古い木造旅館が密集し、昭和の雰囲気が色濃く残る。
これらの温泉地は“整っていない良さ”があり、旅情と郷愁を感じさせてくれます。
雰囲気を求めるなら“共同浴場”や“鄙び系”が狙い目
旅館ではなく、あえて町営や地元運営の共同浴場を狙うと、生活感や地元の人々の空気感が感じられる独特な体験ができます。
また、「鄙び系温泉」と呼ばれる、山奥の静かな一軒宿も雰囲気重視派にはおすすめです。水蒸気が立ち込め、設備も必要最低限の環境が、まさにかつての「しんゆ」的情緒を再現してくれるはずです。
炭鉱のような空気感を求めるなら“鉱山跡温泉”もあり
「ガスがかかった感じ」「犬の檻があったような記憶」に近い体験をしたいなら、かつての鉱山跡にできた温泉も注目です。例えば。
- 北海道・登別カルルス温泉:硫黄の匂いと白濁の湯が特徴。周辺はかつての火山地帯。
- 熊本県・地獄温泉 青風荘:地獄谷のような地形に温泉宿が点在。
これらの温泉地は観光地化が進みすぎておらず、自然の荒々しさや地熱を身近に感じられる環境が魅力です。
まとめ:今の「しんゆ」は進化形、昔の良さを求めるなら他の“レトロ系温泉”へ
小原温泉「しんゆ」は近年のリニューアルにより、現代的で快適な施設へと生まれ変わっています。しかし、かつてのような荒々しい自然感や鄙びた雰囲気を求めるなら、全国にはまだまだ“昭和のまま”な温泉地が残っています。
温泉旅は、自分が求める空気感や趣を大切にしながら、時には地図に載っていないような小さな一湯を探してみるのも楽しみのひとつです。


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