JR東日本が都市近郊路線で進めるワンマン運転(ドライバー・オンリー・オペレーション)は、輸送混雑や設備要件が厳しい東海道線・中央線などのグリーン車連結編成でも実現するのでしょうか。本記事では現状の技術動向と課題、12両・15両長編成ならではのハードルを整理し、将来的な導入シナリオを読み解きます。
ワンマン運転とは何か
ワンマン運転は運転士がドア開閉や車内監視まで行う運行方式で、地方ローカル線や地下鉄の短編成で広く採用済みです。大都市近郊の長編成で導入するには、安全確保の自動化と旅客サービス維持のバランスが不可欠となります。
近郊型電車の現状:E233系・E235系の開発動向
中央線用E233系にはホーム監視用モニター・赤外線センサーが装備されましたが、現在も車掌を乗務させています。一方、横須賀・総武快速線のE235-1000系ではCBTC(無線式列車制御)とATOに対応できる車上機器を搭載し、将来の自動運転・ワンマン化を見据えた仕様になっています。
ただし東海道線や宇都宮線のE233/E231系15両編成は、車内放送・グリーンアテンダント業務などを車掌が担っており、代替手段の検証が進行中です。
グリーン車連結編成でのハードル
- ドア数と車両長が多いため、乗降確認用カメラの増設とモニター配置が複雑
- グリーン車2階建構造により車内視認性が低く、アテンダントによる検札・安全確認をどう代替するかが課題
- ホームドア未整備駅が多数残存し、遠隔監視のみで戸挟み検知を完結しづらい
- 12・15両は編成中央が運転士から死角になるため、AI画像解析やセンサー冗長化が必須
導入への技術的アプローチ
JR東日本は2028年度めどに首都圏主要駅へフルスクリーンホームドアを拡大し、5G回線とAI画像解析でドア閉扉判定を自動化する計画を公表しています。さらに、グリーン料金をIC改札連動で自動照合するシステムを実証中で、アテンダントの巡回頻度を減らす狙いがあります。
こうした要素が揃えば、段階的に運転士+遠隔支援センター方式へ移行し、最終的なワンマン化も理論上は可能です。ただし当面は10両以下の編成で実績を積み、長編成は2030年代以降に判断される公算が高いと見られます。
まとめ:長編成ワンマン化は「技術・規制・サービス」の三位一体で進む
12両・15両のグリーン車付き近郊型がワンマン化するには、ホームドア整備率向上、AIによる全扉監視、高機能グリーン車自動課金など複数の条件が必要です。現時点ではフル規模導入は中長期的課題ですが、E235系などの新型車両が備える拡張性と、JR東のDX戦略を考え合わせれば、将来的な実現可能性は十分にあります。


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