飛行機でモバイルバッテリーは機内棚NGなのに、ハンディーファンはOKな理由とは？

飛行機を利用する際、モバイルバッテリーは棚にしまってはいけないのに、同じリチウムイオン電池を使っているハンディーファンは許可されているのはなぜ？と疑問に思ったことはありませんか？今回はその違いと安全性の観点から詳しく解説します。

モバイルバッテリーが棚に入れてはいけない理由

モバイルバッテリーは「単体で高出力が可能なエネルギー供給源」であり、過熱・発煙・発火といった事故のリスクが国際的にも指摘されています。航空機内では、これが頭上の棚に入れられると、万が一発火した際にすぐ発見・対処ができないという理由から、座席下での携行が義務付けられています。

さらに、多くの航空会社では「160Wh以下で、個数制限あり」「機内預け不可・手荷物のみ可」と定められています。これは国際民間航空機関（ICAO）や国土交通省の指針に基づいています。

一方、ハンディーファン（携帯扇風機）は、リチウムイオン電池を使っているとはいえバッテリー容量が極めて小さく、エネルギー供給機能が限定的です。仮に異常が起こってもエネルギー量が小さいため、爆発的なリスクは非常に低く、通常の電子機器（スマホやデジカメなど）と同等の扱いとなります。

多くの航空会社が「機内持ち込みOK」「預け荷物NG」とする中で、棚への収納が禁止されているわけではないため、状況に応じて荷物棚にも収納可能です。ただし、バッテリーが取り外し式である場合は注意が必要です。

使用時の風音や風向きで周囲の人に迷惑をかけないよう注意しましょう。また、飛行中の揺れや気圧変化で内部に負担がかかる可能性もあるため、使用しないときはスイッチが押されないよう工夫（カバーで保護など）することも重要です。

特に中国製など格安製品には過電圧保護が甘いものもあるため、安全性が確認された製品（PSEマークなどがあるもの）を使用するのが理想です。

2017年、中国東方航空では、頭上棚に入れたモバイルバッテリーが発火し、客室内で煙が充満するという事件が起きました。このような背景から、安全対策が世界的に強化されています。

一方で、携帯扇風機による類似の事故例は現在までのところ報告されておらず、安全管理の判断基準にも影響しています。

モバイルバッテリーは高エネルギー密度の機器であり、そのままでは発熱・火災リスクが高いため棚収納NG。一方で、ハンディーファンはあくまで「小型家電」として扱われ、リスクが低いため比較的自由に持ち込み可能です。

機内持ち込みのルールは安全のためのもの。正しい知識を持って安心・快適な空の旅を楽しみましょう。