東南アジアは赤道直下に位置しており「一年中暑い」イメージがあります。しかし実際には、日本の関東や近畿地方が真夏に記録する最高気温のほうが、赤道付近の都市よりも高い日が多くあります。この現象の背景には、気候帯の違いや湿度、都市化の影響などが関係しています。
赤道直下と日本の夏:気温の違いを比べてみよう
たとえば、インドネシア・ジャカルタやマレーシア・クアラルンプールの8月の最高気温は平均して31℃〜33℃程度。一方で、東京や大阪では同時期に35℃を超える日も多く、40℃近くまで上がる年もあります。
このように、「赤道に近いから暑い」という直感に反して、日本の夏のほうが体感的にも気温的にも厳しいことが多いのです。
赤道付近の気候は「高温安定型」、日本は「高温ピーク型」
赤道付近の東南アジアは「熱帯雨林気候」や「熱帯モンスーン気候」に分類され、1年を通して高温多湿でありながら、日較差が小さいのが特徴です。
一方で日本は「温帯湿潤気候」であり、夏のピークに高温になる「季節変動型」。特に近年の日本では、ヒートアイランド現象やフェーン現象の影響で、極端に高温になる日が増加しています。
湿度も違う?体感温度が上がる要因とは
湿度が高いと、汗が蒸発しにくくなり、体が熱を逃がせなくなるため「不快指数」が上がります。日本の夏は、気温だけでなく湿度も非常に高く、体感温度が40℃を超えることもあります。
たとえば、東京で35℃・湿度70%の環境では体感温度が約45℃相当とされます。一方、ジャカルタは32℃でも湿度が同程度でも体感的にはややマイルドで、建物や交通機関の冷房が発達しているため過ごしやすい面もあります。
都市化とアスファルト:日本の都市が熱をため込む構造
日本の都市部では、コンクリートやアスファルトの蓄熱、エアコンの排熱、建物の密集などにより、気温が周辺地域より高くなります。これが「ヒートアイランド現象」です。
たとえば、東京都心では周辺の郊外より2〜3℃高くなることがあり、夜になっても気温が下がらない「熱帯夜」が続くのもその影響です。
実際に訪れた人の声:東南アジアの方が涼しい?
旅行者や現地在住の日本人からも、「バンコクやホーチミンの方が東京より過ごしやすかった」という声が多くあります。特に「直射日光の強さは日本の方が痛い」という意見も見られます。
また、赤道直下の国々では建物の構造が風通し重視だったり、休憩文化が根づいていたりと、暑さを無理せず避ける工夫がされています。
まとめ:赤道直下より日本が暑く感じるのは本当
関東や近畿などの都市は、真夏には赤道付近の主要都市よりも気温が高くなることが事実としてあります。特に都市化によるヒートアイランド現象や高い湿度、日射の強さが要因となり、日本の夏は非常に過酷なものになっています。
「赤道に近い国の方が暑い」という先入観はありますが、現代の日本の夏は、気温の高さ・湿度・都市構造の影響が合わさって、世界有数の「過酷な夏」になっていると言っても過言ではありません。


コメント