かつて日本の街を駆け抜けた「小型タクシー」。その車両サイズには明確な基準が存在し、日産スカイライン1500やトヨペット・コロナ、ブルーバードなどが「小型枠」として活躍していました。この記事では、当時の規定や背景を掘り下げて解説します。
タクシー車両の「小型枠」とは何だったのか?
1960年代から1970年代にかけて、タクシー業界では運賃や使用許可に関する車両区分が制度として明確に存在していました。「小型車枠」とは、主に全長4,000mm以下・全幅1,500mm以下の乗用車に適用されていた区分で、運賃や認可台数の調整に活用されていました。
この基準は運輸省(現・国土交通省)の通達に基づき、営業用タクシー事業に関する運行管理や設備基準にも準じたものでした。
スカイライン1500やブルーバードは「小型」代表格
日産・スカイライン1500(S50型)やブルーバード410/510系、トヨタ・コロナRT40などは、当時の小型枠にジャストフィットする設計で、コスト・燃費・維持費のバランスに優れ、法人利用にも向いていたことから全国のタクシー会社に採用されました。
たとえば、ブルーバード510型(1967年登場)は全長3,995mm×全幅1,490mmで、正に基準内。これらの車種が「小型タクシー」の象徴的存在であったのです。
なぜサイズ制限が重視されたのか?
当時は道路幅が現在より狭く、都市部では駐車・走行に制約が多かったため、コンパクトなボディが必須でした。また、小型枠に該当することで、営業許可が得やすく、運賃制度上のメリットもあったのです。
このため、国内メーカーも「タクシー仕様車」として、法人向けに装備簡素化や後席重視のパッケージを展開していました。
法的な背景:運輸省の許認可と構造要件
車両の大きさと運賃・営業枠は、当時の道路運送法・自動車運送事業法による規定のもとで定められていました。小型タクシーに該当する車両は、構造要件に基づき地方運輸局に申請して営業許可を得る仕組みです。
これにより、排気量が1,500cc級・全長4m未満といった条件を満たすモデルが主に選ばれていたのです。
現在との違いは?小型区分の変化
近年では、ミニバンやセダンも大型化が進み、小型タクシーの定義自体が形骸化しています。現在では燃費基準・安全基準・運行管理基準が重視され、車両サイズによる運賃差は少なくなりました。
ただし、現在も「小型・中型・大型・特定大型タクシー」などの区分が地方自治体ごとに残っているケースもあり、名残を見ることができます。
まとめ:小型枠の背景と名車たちの功績
昔のタクシー業界では、国の規定に基づきサイズ制限が営業に直結していたため、スカイラインやブルーバードといったコンパクトセダンが重宝されていました。当時の基準は今と違い、営業戦略と法制度が車両選定に深く関与していたことを理解すると、タクシー文化の変遷も見えてきます。
今もレトロカーイベントなどでこれらの旧型タクシーを見ると、その背景にあった時代の要請が感じられるのではないでしょうか。


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