日本ではしばしば「自分でガソリンを入れて、高速道路を走ると、鉄道料金より高くなる」と言われます。世界的に見ると珍しい現象ともいえるこの状況は、単なる偶然ではなく、いくつかの構造的要因によって起きています。この記事では、日本における自動車移動と鉄道利用のコスト構造を比較し、その背景を明らかにします。
日本の高速道路料金はなぜ高い?
日本の高速道路料金が高額である主な理由の一つは、建設費用の償還方式にあります。日本の高速道路は多くが有料であり、初期の建設費を利用者から回収する仕組みになっています。
さらに、民営化以降も料金体系は変わらず、距離に比例して課金される従量制であることがコスト増につながります。たとえば、東京〜名古屋間の高速料金は約8,000円前後(普通車)で、ガソリン代を加えると1万円を超えることもあります。
ガソリン代の高さも拍車をかける
日本ではガソリン価格に多くの税金が含まれています。ガソリン税・消費税・地球温暖化対策税などが価格に上乗せされており、2024年時点でレギュラーガソリンは全国平均で170円/L前後を推移しています。
自家用車の燃費が平均15km/Lとすると、500kmの走行には約34L=5,800円前後の燃料費が必要になります。これに高速料金が加わると、合計で鉄道運賃を上回るケースが多くなります。
鉄道運賃が相対的に安くなる理由
一方で、新幹線などの鉄道は高速道路と違い、国や地方自治体の補助が入りやすく、運行コストの一部が税金でカバーされています。また、定時性・安全性・大量輸送力という特性により、一人あたりの輸送効率が高いこともコスト低下につながります。
特にビジネス需要の多い都市間では、高速バスや航空機との競争もあり、割引運賃の導入などで価格競争力が維持されています。
海外との比較:欧米では逆の傾向も
例えばアメリカでは、高速道路の多くが無料(インターステート)であり、ガソリン価格も日本の半分程度。ドイツのアウトバーンも一部を除き無料です。
一方、鉄道網は必ずしも発達しておらず、自家用車の方が安くて便利というケースが一般的です。日本はその逆で、公共交通が非常に整備されているため、移動手段の選択肢が異なります。
交通インフラ政策の方向性が影響
日本では鉄道中心の国土形成が長年にわたり行われてきました。通勤・通学を鉄道に依存する都市構造であるため、車中心の社会設計になっていないことがコスト構造に影響しています。
今後の課題としては、高速道路料金の見直しや環境負荷に応じた料金体系の再設計などが挙げられます。
まとめ:異常ではなく構造的な問題
日本で「車で移動するより鉄道の方が安い」というのは、インフラ整備・料金制度・エネルギー政策が複雑に絡み合った結果です。
世界的に見て異常というより、日本の都市構造や政策の選択によって生まれた「合理的な価格差」とも言えるでしょう。今後、カーボンニュートラルや交通再編の動きの中で、再評価される可能性もあります。

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