「1978年前後に上野動物園の水族館でクジラを見た」という記憶を持つ人が散見されます。しかし、歴史的記録と学術資料から確認できる事実はかなり限定的で、「クジラ展示」はかなり疑わしい――本記事ではその根拠と、水族館の歴史を整理します。
上野動物園の“水族館”(観魚施設)の歴史
日本における最初の公立水族館は、1882年に上野動物園内に開設された「観魚室(うをのぞき)」だとされています。淡水魚を対象とした、小規模な展示施設でした。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
その後、1929年に「」が上野動物園内に開設され、1964年には「ニュー上野水族館」として、アクリル水槽などを整備して再整備されました。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
しかし“クジラ”飼育・展示の記録はない
しかしながら、公的な文献・学術資料および水族館の系譜を分析した研究では、上野水族館において大型鯨類(クジラ類)の飼育や展示が行われたという記録は確認されていません。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
実際、日本における水族館での鯨類の飼育展示は、1930年代以降も限られた施設でのみ行われており、上野水族館に関しては、そのような事例に含まれていないとのことです。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
水族館の閉館と展示の引き継ぎ
さらに、当時の上野水族館は1980年代初頭までには閉館し、その後新たに生まれた (およびその前身施設)が水族館事業を継承しています。:contentReference[oaicite:7]{index=7}
つまり、1978年前後には既に“水族館としての上野水族館”の将来に向けた整理が進んでいた可能性が高く、仮に“クジラ展示”のような大規模飼育を行うのであれば新設施設であったと考えられます。
なぜ「クジラを見た記憶」が生まれやすいのか──記憶の混同と錯覚
1970〜80年代は、都内や近県に水族館が多く誕生・更新された時期であり、記憶の混同が起こりやすかった可能性があります。
たとえば、1978年に開館した は、水族館として都心で注目を集めていました。実際に人々の訪問経験と記憶が、場所や施設の境界をまたいで混ざってしまう事例は多くあります。:contentReference[oaicite:9]{index=9}
研究論文から見た“クジラ飼育”の実態
ある研究では、日本国内の水族館で鯨類を飼育した記録について整理されていますが、上野水族館はそのリストに含まれていません。:contentReference[oaicite:10]{index=10}
このことから、「上野でクジラを見た」という体験談の多くは、誤認または記憶の混同である可能性が極めて高いと考えられます。
まとめ:記憶は貴重だが、史実としては“クジラ展示”の可能性は極めて低い
繰り返しますが、上野水族館が存続していた時期においても、大型鯨類(クジラ)の飼育・展示を行ったという信頼できる資料は存在しません。
したがって「1978年前後、上野動物園内でクジラを見た」という記憶は、異なる水族館での経験の記憶が錯綜したもの――例えばサンシャイン水族館など――である可能性が高いと言えます。
もちろん、人々の記憶は尊重されるべきですが、歴史的事実として整理すると「クジラ展示の記録なし」が現状です。


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