フェリーには進行方向を眺められるスペースとして「フォワードサロン(前方展望室)」が設けられていることがありますが、これが一般的な客室ではなく共有ラウンジとして運用されている理由には、設計・安全・コストなど複数の事情があります。本記事ではフォワードサロンの特徴と、なぜ通常の客室にしないのかについて解説します。
フォワードサロンとは何か
フェリーのフォワードサロンとは船首側に設けられた前方展望スペースのことで、大きな窓から航行中の海や風景を楽しむことができます。船内の共有スペースとして設けられ、誰でも利用できるくつろぎのエリアです。[参照新日本海フェリーフォワードサロン]
このフォワードサロンは、客室とは異なりラウンジ的な用途であり、座席やソファが並び、旅客同士の交流や読書など自由な時間を過ごす場所として利用されています。[参照フォワードサロンとは]
客室ではなく共有スペースにする理由
フォワード部分をすべて客室にして個室を増やすことは一見魅力的ですが、船舶の設計上いくつかの制約があります。まず船首前方は波の影響を受けやすく、ピッチング(上下動)が大きいため、長時間寝泊まりする客室には向かないとも言われています。
また、客室として利用するためにはプライバシー確保、安全基準(避難経路や構造基準など)を満たす必要があり、窓や前方の大きな開口部がある空間を客室にするにはコスト・設備面での課題もあります。
共有スペースとしてのメリット
フォワードサロンはラウンジや展望エリアとして活用することで、乗客に船旅の醍醐味である景色を楽しむ場所を提供します。誰でも自由に使える共有スペースとして設けることで、乗客同士の交流や休憩スポットとしての役割も果たしています。
共用スペースにするメリットの一つとして、客室とは異なり装備の簡素化が可能な点や、客室のベッドや電源、専用設備(バス・トイレ等)を設ける必要がないため、設備投資を抑えつつ旅客サービスの満足度を高められる点が挙げられます。客室にしてしまうと価格が高騰し、特定の需要に偏った収益構造になる可能性もあります。
実際の運用例と乗客の視点
実際、新日本海フェリーのフォワードサロンは誰でも入れる共有スペースとして運用されていて、船内で静かに過ごしたり、前方の景色を眺めながらくつろいだりする用途で人気があります。利用者からは「読書や海の眺めを楽しむのにちょうど良い」という声も多いです。[参照らべんだあのフォワードサロン乗船記]
一方で、客室として前方を利用できる船舶も存在しますが、これらは特別客室の設定やより高い設備レベルが必要であり、全船・全航路で設けられるものではありません。フェリー会社は旅のクオリティと運用コストを勘案して、フォワードサロンを共有スペースとして提供しています。
まとめ:フォワードサロンの役割と客室設置の難しさ
フォワードサロンは、船旅の醍醐味である海の景色を楽しむ共有スペースとして設計されており、乗客にリラックスできる場を提供しています。客室化が進まない理由は、設計・安全・コスト面での制約や、共有スペースとしてのメリットを踏まえた結果です。
旅客船の設計や運用の背景を理解することで、「なぜ客室にしないのか」という疑問にも納得感が得られるでしょう。各フェリー会社の設備やプランを比較し、自分に合った船旅の楽しみ方を見つけることが大切です。

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