現在、小田急ロマンスカー「ふじさん」として運行されている列車は、かつて「あさぎり」という愛称で親しまれていました。鉄道ファンの間では、JR御殿場線へ乗り入れる珍しいロマンスカーとして有名です。
一方で、「昔は急行だったのに、いつ特急になったの?」「りょうもう号も昔は急行だった」といった疑問を持つ人も少なくありません。
この記事では、小田急「あさぎり」が急行から特急へ変わった時期や背景、さらに東武「りょうもう号」との共通点なども交えながら、私鉄優等列車の歴史をわかりやすく解説します。
「あさぎり」はどんな列車だったのか
「あさぎり」は、小田急電鉄と国鉄(後のJR東海)が相互直通運転を行う列車として1955年に運行を開始しました。
新宿から御殿場線経由で沼津方面まで直通する観光・行楽列車として人気を集めました。
当初は準急列車としてスタートし、その後「連絡急行」や「急行」として運行される時代が長く続きました。
現在ではロマンスカー=特急のイメージですが、昔の私鉄では“急行”でも十分に花形列車だった時代があります。
「あさぎり」が特急化されたのは1991年
「あさぎり」が正式に特急へ格上げされたのは1991年(平成3年)です。
このタイミングで、小田急の30000形「SE車」などに続く新型特急車両「20000形RSE」が投入されました。
それまでの急行「あさぎり」は、JR東海の371系や小田急車両を使用しながら運転されていましたが、特急化によって座席指定制が本格化し、サービスも大きく向上しました。
| 年代 | 列車種別 |
|---|---|
| 1955年 | 準急として運転開始 |
| その後 | 急行列車化 |
| 1991年 | 特急「あさぎり」へ変更 |
| 2018年 | 「ふじさん」へ改称 |
特急化によって、「ロマンスカーらしい快適列車」へ進化したとも言えます。
なぜ急行から特急へ変更されたのか
1980年代後半から1990年代にかけて、私鉄各社では優等列車の“特急ブランド化”が進みました。
背景には以下のような理由があります。
- 高速道路網の発達
- マイカー利用増加
- 新幹線との競争
- 観光列車の高級化需要
- 座席指定サービス強化
小田急もロマンスカーのブランド価値を高めるため、「あさぎり」を特急へ格上げしたと考えられています。
特急化は単なる名称変更ではなく、“観光列車としての魅力向上”という意味合いが強かったのです。
「ふじさん」への改称はいつ?
現在の名称「ふじさん」に変更されたのは2018年です。
これは訪日外国人観光客の増加や、“富士山”ブランドをよりわかりやすく打ち出す目的がありました。
「あさぎり」という名称は長い歴史を持っていましたが、全国的な知名度では「富士山」の方が圧倒的に強かったためです。
現在では、小田急60000形MSEなどが使用され、新宿〜御殿場間を中心に運行されています。
「りょうもう号」も昔は急行だった
質問にもある通り、東武鉄道の「りょうもう号」も、長らく急行列車として運転されていました。
現在では「特急りょうもう」として定着していますが、特急化されたのは1991年です。
これは「あさぎり」とほぼ同時期であり、当時の私鉄業界全体で“急行から特急へ”という流れが強まっていたことがわかります。
1980〜1990年代は、私鉄が競争力向上のために優等列車サービスを一気に強化した時代でもありました。
昔の「急行」は今の特急に近かった?
現在では「急行=一般列車寄り」「特急=有料列車」というイメージがあります。
しかし昭和中期の私鉄では、急行列車が看板列車として扱われるケースも珍しくありませんでした。
特に観光地へ向かう長距離急行は、クロスシートや専用車両を使うなど、実質的には現在の特急に近いサービスを提供していたこともあります。
その後、全国的に有料着席サービスが広がる中で、“急行から特急へ昇格”する列車が増えていきました。
鉄道史から見る「あさぎり」の面白さ
「あさぎり」は、小田急と国鉄・JRが直通運転を行う珍しい存在として、鉄道史的にも非常に興味深い列車です。
特に御殿場線経由で沼津方面へ向かうルートは、かつての東海道本線の歴史とも深く関わっています。
さらに、小田急ロマンスカーがJR線へ乗り入れるというスタイルは、今見ても独特な存在感があります。
現在の「ふじさん」は、こうした長い歴史を受け継ぎながら運行されている列車と言えるでしょう。
まとめ
小田急「あさぎり」は、1955年に準急として登場し、その後長く急行列車として親しまれてきました。
そして1991年に正式に特急化され、ロマンスカーとしてのサービス強化が行われました。
また、東武「りょうもう号」も同時期に急行から特急へ変更されており、1990年代は私鉄優等列車の“特急化時代”だったとも言えます。
現在の「ふじさん」は、そんな長い歴史を持つ列車の進化系として、今も多くの鉄道ファンや観光客に親しまれています。


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