King Gnuの「飛行艇」は、常田大希さんの力強い低音域のボーカルと、井口理さんの透明感のある高音域のボーカルが組み合わさった楽曲です。サビでは複数の声の重なりを比較的聴き取りやすい一方、Aメロはボーカルと楽器が密接に重なっているため、「井口理さんがハモっているように聞こえるけれど、本当に歌っているのか」と迷いやすい部分があります。
特に注意したいのは、音源で聞こえる高い音をすべて井口さんのハモリと判断することです。「飛行艇」ではボーカルの多重録音やコーラス、楽器、エフェクトなどが一体となって厚みのあるサウンドを作っているため、メインボーカル以外の声を正確に聴き分けるには少しコツが必要です。
「飛行艇」は常田大希と井口理の声の対比が大きな特徴
「飛行艇」はKing Gnuが2019年に発表した楽曲で、ANAの国内版テレビCMにも起用されました。King Gnuの楽曲では常田さんと井口さんという声質の大きく異なる2人のボーカルが重要な役割を担っています。
常田さんは低音から中音域を中心とした太く存在感のある声、井口さんは高音域まで滑らかに伸びる声が特徴です。そのため2人が同時に歌うと、単純に同じ高さで声を重ねるだけでも音色の違いによって立体感が生まれます。
さらに、メインメロディーとは異なる音程をもう一人が歌えば、いわゆる「ハモリ」として認識しやすくなります。「飛行艇」を聴き取る際には、まず主旋律・ユニゾン・ハモリ・バックコーラスを分けて考えることがポイントです。
Aメロで聞こえる井口理の声はすべて「ハモリ」とは限らない
Aメロを注意深く聴くと、主となるボーカルの後ろや周囲に別の声の成分を感じる箇所があります。ただし、音源だけを根拠に「この音はすべて井口さんが別音程で歌ったハモリ」と断定するのは慎重であるべきです。
一般にハモリとは、主旋律に対して3度上・3度下など異なる音程の旋律を同時に歌い、和声を作るものを指します。一方、同じ旋律を複数人で歌うユニゾンや、同じ歌唱を重ねるダブリング、長く伸ばすバックコーラスなども、聴感上は「もう一人がハモっている」ように感じることがあります。
「飛行艇」のように音の層が厚い楽曲の場合、「井口さんらしい高い声が聞こえる」ことと「井口さんが主旋律に対して別音程のハモリを入れている」ことは分けて考える必要があります。
Aメロは前半より後半のボーカルの重なりに注目
Aメロのコーラスを探したい場合は、最初から一つひとつの音程を追うより、Aメロが進むにつれてボーカルの厚みがどのように変化するかを聴いてみると分かりやすくなります。主旋律だけを意識して聴いた場合と、高音側の声だけを意識した場合で印象が変わります。
ヘッドホンやイヤホンで再生し、まず常田さん側の主となる声を追います。2回目はその声を意識的に無視して、後方から聞こえる高めの声や長く残る声だけを探してみてください。井口さん側のボーカル成分を見つけやすくなります。
ただし、市販音源から歌唱者や録音トラックを100%特定することはできません。公式のパート別音源や制作資料が公開されていない箇所については、「聞こえ方による分析」と「公式に確認された事実」を区別しておくことが大切です。
サビと比較するとAメロの構造が分かりやすい
「飛行艇」のボーカルワークを理解したい場合、Aメロだけを繰り返すよりサビと比較する方法がおすすめです。サビでは声の重なりによるスケール感が大きくなり、複数のボーカルレイヤーを認識しやすくなります。
まずサビで「主旋律とは別に聞こえる声」を探し、その声質を覚えてからAメロへ戻ります。すると、それまで楽器の一部のように聞こえていた高音側の声がボーカルとして認識できることがあります。
これは音楽の聴き取りでよく使える方法です。一度特定した音色を脳が覚えると、同じミックスの中からその音を追いやすくなるためです。
ライブ映像だけでCD音源のパートを断定しない方がよい理由
誰がどこを歌っているか確認する際、ライブ映像は非常に参考になります。ただし、ライブでの歌唱パートとスタジオ音源の録音内容が完全に同じとは限りません。
スタジオ録音では、一人の歌声を複数回録音したり、複数のコーラスを重ねたりできます。反対にライブでは、実際に演奏できる人数や表現上の理由から、スタジオ版に存在する声を省略したり、別のメンバーが補ったりする場合があります。
したがって、「ライブで井口さんがここを歌っているから、CDでも同じトラックは必ず井口さん」という推測は必ずしも成立しません。ライブ映像はパートを推測するための有力な材料の一つとして見るのが適切です。
ハモリを耳コピするときは主旋律を先に覚える
実際に「飛行艇」のハモリを歌いたい場合には、先に主旋律を完全に覚えると効率的です。主旋律が曖昧なままコーラスを追うと、耳が強い方のメロディーへ引っ張られてしまいます。
主旋律を歌えるようになったら、音源を小さめの音量で流し、高音側の声だけを追います。ピアノやキーボードがあれば、聞こえた音を一音ずつ鍵盤で確認すると、主旋律と同じ音なのか別の音程なのかを判断しやすくなります。
例えば、主旋律と別の声が常に同じ間隔で動くとは限りません。ある部分では3度程度の関係になり、別の部分では同じ音に合流する、といった動きも一般的です。そのため「全部3度上」のように最初から決めつけず、一音ずつ確認するのが確実です。
イヤホンで左右を聴き分けても歌唱者を断定できるとは限らない
ステレオ音源では、楽器やコーラスが左右方向に配置されていることがあります。そのため片側のイヤホンを外したり、再生環境で左右のチャンネルを個別に確認したりすると、普段埋もれているコーラスが見つかる場合があります。
ただし、中央に配置された音が左右両方に入っていたり、リバーブなどのエフェクトだけが左右へ広がっていたりすることもあります。「右から聞こえるから井口さん」といった判断はできません。
ボーカルを聴き取る目的なら、左右の位置だけではなく、声質・音程・発音・主旋律との動きの違いを総合的に確認する方が精度は高くなります。
公式音源とライブを比較して楽しむのがおすすめ
King Gnuはライブになると楽曲の印象が変化することも魅力の一つです。「飛行艇」についても、スタジオ音源を聴いた後に公式ライブ映像などを確認すると、常田さんと井口さんの役割を視覚的にも追いやすくなります。
特に「今聞こえている高音は誰が歌っているのだろう」と感じた部分では、映像を見ながら同じフレーズを確認することで理解が深まります。一方で前述の通り、ライブアレンジとレコーディング版には違いがあり得る点には注意が必要です。
楽曲そのものについてはKing Gnuおよび所属レーベルの公式情報、公式に公開された音源・映像を一次情報として確認するのが確実です。
まとめ|「飛行艇」のAメロはハモリ・コーラス・音の重なりを分けて聴こう
King Gnu「飛行艇」のAメロは、主となるボーカルだけでなく周囲の声や楽器が重なった密度の高いサウンドになっています。そのため、井口理さんの声と思われる高音成分が聞こえる箇所についても、すべてを単純な「ハモリ」として捉えるより、ユニゾンやバックコーラスなどを含めて分析する方が楽曲の構造を理解しやすくなります。
聴き分けるときは、最初に主旋律を覚え、次に高音側の声だけを追い、最後にサビやライブ版と比較するという順番がおすすめです。主旋律と異なる音程で動いているのか、同じ旋律を重ねているのかを確認することが「ハモリ」を判別するポイントです。
なお、完成した市販音源だけから各ボーカルトラックの歌唱者を完全に特定することは難しいため、公式にパートが明示されていない部分は断定せず、音源上の聴き取りとライブ映像など複数の材料を組み合わせて楽しむのがよいでしょう。

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