初めて飛行機に乗るときは、離陸時の浮遊感や揺れ、耳の痛み、乗り物酔いなど、経験したことのない感覚を想像して不安になることがあります。特に緊張すると呼吸が速くなりやすい人や、耳・鼻の調子を崩しやすい人にとっては、短時間の国内線でも心配になりやすいでしょう。
ただし、飛行機で感じやすい不快感にはそれぞれ原因があり、事前にできる対策もあります。大切なのは、無理に「怖くない」と思い込むことではなく、不安、耳の気圧変化、乗り物酔いを別々の問題として準備することです。この記事では、初めての飛行機をできるだけ落ち着いて利用するためのポイントを整理します。
初めての飛行機で不安になりやすいポイントを整理しよう
飛行機への不安は一つではありません。「飛行機そのものが怖い」という場合もあれば、閉鎖された機内からすぐに出られないことへの不安、離陸時の加速や浮遊感、気圧変化による耳の痛み、揺れによる乗り物酔いなどが組み合わさっている場合もあります。
そこで、まずは自分が特に苦手なものを分けて考えてみましょう。例えば「墜落が怖い」という不安と、「耳が痛くなるのが怖い」という不安では準備方法がまったく異なります。耳の問題であれば耳抜きなどを準備でき、酔いが心配なら座席や食事、必要に応じた酔い止めについて検討できます。
また、強い緊張によって動悸、息苦しさ、過呼吸、めまいなどが起こりやすい場合には、航空会社も事前相談を案内しています。ANAでは、パニック発作を起こしやすい人について、航空旅行が可能か、発作時にどう対処するかをあらかじめ主治医へ相談するよう案内しています。必要なお手伝いや座席について航空会社へ相談することも選択肢です。[参照]
飛行機で耳が痛くなる理由と離着陸時の対策
飛行機で耳が詰まったり痛くなったりする大きな理由は、上昇・下降に伴って機内の気圧が変化するためです。特に離陸後の上昇時と着陸前の下降時は、耳の内側と外側の圧力差を感じやすくなります。
一般的には、つばを飲み込む、あくびをする、飲み物を少しずつ飲む、ガムをかむといった動作によって耳管が開き、圧力を調整しやすくなります。耳抜きを行う方法もありますが、強くやり過ぎるのは避けましょう。
例えば着陸が始まってから耳が痛くなる人なら、痛みが強くなってから対処するのではなく、降下が始まった段階から意識して何度もつばを飲み込む方法があります。飲み物を用意しておき、少しずつ飲むのも実践しやすいでしょう。
風邪や鼻炎などで鼻が強く詰まっているときは注意が必要です。普段から気圧変化で強い耳痛が出る、耳鼻咽喉科の病気がある、飛行機に乗った後も耳痛や聞こえにくさが続いた経験があるといった場合には、搭乗前に耳鼻咽喉科へ相談しておくと安心です。
ノイズキャンセリングイヤホンで耳の気圧痛は防げる?
ノイズキャンセリングイヤホンは、エンジン音など機内の継続的な騒音を小さく感じさせるためには役立ちます。大きな音が苦手で、その音によって緊張が高まる人なら、心理的な負担を減らすアイテムとして利用価値があります。
一方、ノイズキャンセリング機能そのものが機内と中耳の気圧差を解消してくれるわけではありません。そのため、「ノイキャンを使えば耳抜きが不要になる」と考えるのは適切ではありません。耳の圧迫感には、つばを飲み込むなど気圧差への対策を別に考える必要があります。
音への不安が強い場合には、ノイズキャンセリングイヤホンで好きな音楽などを聞きつつ、着陸前には耳の状態にも意識を向けるという使い分けが現実的です。
離陸時の浮遊感が苦手な人が知っておきたいこと
初めて乗る人が驚きやすいのが離陸です。滑走路を加速して機体が地面から離れるため、体がシートに押される感覚や、ふわっとした感覚を覚えることがあります。ただし、ジェットコースターのような強い落下感が長時間続くわけではありません。
浮遊感が苦手なら、離陸時には背中と頭を背もたれにつけ、足を床につけて座ると体勢が安定しやすくなります。目を閉じた方が落ち着く人もいれば、外を見た方が自分の動きを把握できて安心する人もいるので、自分に合う方を選びましょう。
例えば「いつ浮くのか分からないのが怖い」という人なら、離陸の流れを知っておくだけでも違います。搭乗後、飛行機は滑走路まで移動し、滑走路に入ってから本格的に加速します。その後に離陸し、一定の高度まで上昇すると、水平飛行に近づいていきます。
国内線で飛行時間が1時間程度の場合、最初から最後まで離陸時のような感覚が続くわけではありません。離陸、上昇、巡航、降下、着陸というように状況が変化します。
飛行機酔いをできるだけ防ぐ方法
乗り物酔いは、目から入ってくる情報と内耳が感じ取る動きとのズレなどによって起こりやすくなります。また、寝不足、空腹、食べ過ぎ、不安や緊張などが重なると気分が悪くなることもあります。
搭乗前は睡眠を確保し、極端な空腹や満腹を避けることが基本です。機内ではスマートフォンの画面や本を長時間見続けるより、気分が悪くなりそうなら視線を遠くへ向けたり、目を閉じて休んだりする方が楽な場合があります。
座席を選べる場合には、一般に機体中央の主翼付近は機体前後の端に比べて揺れを感じにくい傾向があります。一方、閉塞感が不安なら通路側、外を確認できた方が安心するなら窓側という選び方もあります。酔いだけではなく自分の不安を軽減できる座席という視点で選ぶのがおすすめです。
酔い止めを使用したい場合は、市販薬にも眠気などの注意事項や使用できないケースがあります。持病や服用中の薬がある場合を含め、薬剤師や医師へ確認してください。
過呼吸や強い不安が心配な場合の準備
飛行機に乗る前から「途中で苦しくなったら逃げられない」と考え続けると、それ自体が不安を強くしてしまうことがあります。そのため、搭乗当日に初めて対策を考えるのではなく、事前に「不安が強くなったら何をするか」を決めておくと行動しやすくなります。
例えば、搭乗時に客室乗務員へ「初めての飛行機で、緊張すると気分が悪くなることがあります」と伝えておく方法があります。伝えること自体に抵抗を感じる必要はありません。航空会社では健康状態などに不安がある利用者向けの相談窓口を設けている場合があります。
呼吸が速くなってきたと感じた場合は、「大量に息を吸わなければ」と意識するより、ゆっくり息を吐くことを意識します。なお、過呼吸への対処として以前行われることがあった紙袋を口に当てて呼吸する方法は、酸素不足などの危険があるため自己判断では行わないでください。
強風時や乗り物など特定の状況で繰り返し息苦しさや過呼吸のような症状が起こる場合は、飛行機への搭乗だけの問題と決めつけず、事前に医療機関へ相談するのも重要です。ANAも、パニック発作を起こしやすい利用者には事前に主治医へ航空旅行の可否や発作時の対処方法を相談するよう案内しています。[参照]
初フライト当日におすすめの行動
初めての飛行機では、空港到着がギリギリになるだけでも緊張が増してしまいます。時間に余裕を持って空港へ行き、搭乗手続きや保安検査を早めに済ませると、気持ちを整える時間を確保できます。航空会社も混雑などを考慮して時間に余裕を持った来港を案内しています。[参照]
機内へ持っていくものとしては、飲み物、必要な薬、ティッシュ、イヤホンなど、自分が安心できるものを準備しておくとよいでしょう。医薬品については機内への持ち込みが可能なものがありますが、薬の種類や利用条件によって扱いが異なる場合があります。[参照]
また、「絶対に緊張してはいけない」と考える必要はありません。初めて経験する乗り物で緊張すること自体は珍しくありません。緊張した状態でも、座ってシートベルトを締め、必要なら乗務員に相談しながら目的地まで移動できれば十分です。
耳・鼻・喉に不安があるなら搭乗前に確認しておきたいこと
普段から新幹線や標高差のある場所で耳が詰まりやすい人、鼻炎や副鼻腔のトラブルがある人は、飛行機の気圧変化について心配になるでしょう。航空機内は地上とは環境が異なり、飛行中には気圧変化も生じるため、体調面で不安がある場合には事前に医師へ相談することが推奨されています。[参照]
特に搭乗直前に風邪をひいて鼻が完全に詰まった、耳に強い痛みや炎症があるといった場合には、「せっかく予約したから」と無理をせず、医師や利用する航空会社へ確認するのが安全です。
逆に体調に問題がなく、耳が詰まりやすい程度であれば、離着陸時に飲み物を飲むなど、自分でできる対策を準備しておくだけでも「何が起きるか分からない」という不安を減らせます。
まとめ|初めての飛行機は「怖さをゼロにする」より準備を増やそう
初めて飛行機に乗るときに、耳の痛み、気圧痛、酔い、浮遊感、過呼吸などを一度に考えると非常に怖く感じます。しかし、実際にはそれぞれ対策が異なります。耳には気圧変化への準備、酔いには体調管理や座席選び、不安には事前の相談や自分なりの対処手順を用意する、というように分けて考えることがポイントです。
ノイズキャンセリングイヤホンは騒音対策には役立ちますが、耳の気圧差そのものを解消するものではありません。離着陸時はつばを飲む、飲み物を飲むなどの対策も組み合わせましょう。また、強い不安や過呼吸のような症状を繰り返している場合や、耳・鼻に持病がある場合には、搭乗前に医師へ相談しておくと安心材料を増やせます。
1時間程度の国内線でも、不安を我慢し続ける必要はありません。搭乗前に航空会社へ相談したり、機内で客室乗務員へ不安があることを伝えたりすることもできます。「怖くなくなってから乗る」のではなく、怖くなった場合にどう対処するかを準備してから乗るという考え方が、初フライトの負担を小さくする助けになります。


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