子どものアメリカパスポートの緊急連絡先は親?祖父母?DS-11の書き方と「一緒に旅行しない人」の考え方

パスポート

子どものアメリカ合衆国パスポートを申請するとき、Form DS-11にある「Emergency Contact(緊急連絡先)」へ誰を書くべきか迷うことがあります。特に、親子で海外旅行することが多い家庭では、親自身を書くべきなのか、それとも日本に残る祖父母などを書くほうがよいのか判断しにくいところです。

米国国務省の現行Form DS-11では、緊急連絡先について「緊急時に連絡するための、申請者と一緒に旅行しない人の情報を記入する」よう明記されています。そのため、親が子どもと一緒に旅行する予定なら、原則としてその親よりも、祖父母など旅行に同行しない信頼できる人を記載するほうがフォームの趣旨に合っています。

一方、住所が子どもと同じ人を緊急連絡先にすること自体を禁止する記載はありません。重要なのは住所が同じかどうかではなく、実際の緊急時に申請者と一緒に行動していない可能性が高く、確実に連絡を取れる人物かという点です。

この記事では、米国パスポート申請書DS-11の公式記載をもとに、子どもの緊急連絡先として親・祖父母のどちらを選ぶべきか、親子旅行と単身留学の場合の考え方、未成年者のパスポート申請で間違えやすい点を整理します。

DS-11には「一緒に旅行しない人」を緊急連絡先にすると明記されている

米国国務省が公開しているForm DS-11の20番には「Your Emergency Contact」という欄があります。

その説明では、緊急時に連絡するための「a person not traveling with you」、つまり申請者と一緒に旅行していない人物の情報を記載するよう求められています。

記載する情報は氏名、住所、電話番号、申請者との関係です。したがって、単に「最も近い家族」を書く欄というより、本人に緊急事態が起きた際に別の場所から連絡を受けられる人物を登録する欄と考えると分かりやすいでしょう。

[参照] U.S. Department of State Form DS-11

親子で一緒に海外旅行するなら祖父母などが自然

子どもと親が一緒に海外旅行することが多いのであれば、同伴する親を緊急連絡先にすると、事故や災害などの際に親子双方へ同時に連絡できない可能性があります。

例えば親子で海外を旅行中に事故に巻き込まれた場合、子どもの緊急連絡先として同じ旅行に参加している親だけが登録されていると、その親自身にも連絡が取れないケースが考えられます。

そのため、祖父母、成人した兄弟姉妹、叔父・叔母など、旅行には同行せず、電話連絡がつきやすく、家族関係を理解している人物を緊急連絡先にするのが実用的です。

住所が子どもと同じ親でも、常に不適切という意味ではない

DS-11では緊急連絡先の住所について、「申請者と違う住所でなければならない」という条件は示されていません。

したがって、例えば子どもが単身で留学・研修・旅行する予定で、親は日本の自宅に残るのであれば、同じ住所に住む親を緊急連絡先として記載することには合理性があります。

この場合、渡航中の子どもと親は別行動なので、DS-11の「一緒に旅行しない人」という趣旨にも合います。

つまり判断基準は「同居しているか」ではなく、子どもが海外へ行く際にその人物も同行するのかです。

親子旅行が多い家庭なら祖父母を登録しておくと使いやすい

パスポート申請時点で今後の旅行パターンが一つに決まっていない家庭も多いでしょう。ある旅行では親子一緒、別の機会には子どもだけ留学するといったケースがあります。

このような場合、「最も典型的な海外旅行時に同行しない人」を選んでおくと実用的です。普段は親子旅行が多いなら、祖父母などを選ぶ方法が分かりやすいでしょう。

例えば父母と子どもが一緒に海外へ行くことが多く、祖父母は日本に残るのであれば、祖父母を緊急連絡先にしておけば、家族全員が海外にいるときにも第三者へ連絡できます。

子どもが単身留学するなら親は非常に適した緊急連絡先になる

反対に、子どもが単身で米国や別の国へ留学する場合、親は緊急連絡先として非常に自然な選択肢です。

留学中にパスポート紛失、事故、入院などが起きたとき、保護者である親へ連絡できることには大きな意味があります。

ただしパスポート申請時の緊急連絡先だけですべての留学時緊急対応が完結するわけではありません。学校、留学会社、航空会社、海外旅行保険などにも別途緊急連絡先を登録することがあります。

そのため「パスポートでは祖父母、留学先の学校では親」というように、用途によって緊急連絡先が異なっていても不自然ではありません。

「誰を普通は書く?」よりフォームの目的から決める

米国パスポートの緊急連絡先について、「普通は母親」「普通は祖父母」という一律の正解があるわけではありません。

家庭によって旅行するメンバーや連絡の取りやすさが異なるからです。

旅行パターン 緊急連絡先として考えやすい人
母親と子どもが一緒に旅行 日本に残る父親・祖父母など
両親と子どもが一緒に旅行 祖父母・成人した親族など
子どもだけで留学 父親または母親
片方の親と子どもが旅行 同行しないもう一方の親
祖父母と子どもが旅行 同行しない父母

このように「緊急時に本人と一緒にいない可能性が高い人」という基準で選べば判断しやすくなります。

祖父母を書くなら本人の同意を取っておく

祖父母などを緊急連絡先として記入するときは、事前に本人へ伝えておくことをおすすめします。

突然海外から英語で連絡が来た場合、事情を知らなければ詐欺電話だと思って切ってしまう可能性があります。

「子どものアメリカのパスポート申請で緊急連絡先に登録した」と伝え、氏名や電話番号、住所が正しいか確認しておくと安心です。

英語が得意でなくても、それだけで緊急連絡先として不適格になるわけではありませんが、連絡を受けた際に家族へ取り次げる人物を選ぶほうが実用的です。

電話番号は実際につながる番号を記載する

緊急連絡先では、関係性だけでなく「実際に連絡が取れるか」が重要です。

例えば高齢の祖父母が固定電話しか使わず日中ほとんど外出しているのであれば、常に携帯電話を持っている別の親族のほうが適している場合があります。

反対に祖父母がほぼ自宅にいて固定電話にもすぐ出られるのであれば、有力な選択肢になります。

申請書にはRelationship欄もあるため、「Grandmother」「Grandfather」「Mother」「Father」など本人との関係を正確に記入します。

子どもが16歳未満なら緊急連絡先とは別に両親の同意が重要

子どもの米国パスポート申請では、緊急連絡先と親権者の同意手続きを混同しないことが重要です。

米国国務省によると、16歳未満の子どもがパスポートを申請するときは、原則として子ども本人と両方の親・法定後見人が申請時に出頭し、発給に同意する必要があります。

一方の親が出頭できない場合には、条件に応じてForm DS-3053などの同意書やその他の証明が必要になります。

つまり、母親や父親を緊急連絡先に書いたからといって、未成年者のパスポート発給に必要な親の同意手続きが省略されるわけではありません。

[参照] U.S. Department of State「Apply for a Child’s Passport」

16〜17歳の場合は親を緊急連絡先にすることが別の意味を持つ場合がある

申請者が16歳または17歳の場合には、16歳未満とは少しルールが異なります。米国国務省は、この年齢の申請者について、少なくとも一人の親または法定後見人がパスポート申請を認識していることを示す必要があると案内しています。

その確認方法の一つとして、親・後見人を申請書の緊急連絡先へ記載する方法が公式に示されています。

したがって16〜17歳では、親を緊急連絡先として記載することが「親が申請を認識していること」の確認にも利用される場合があります。

一方、16歳未満の子どもの申請では、前述のとおり別途親権者の同意ルールが適用されるため、この仕組みとは区別して考える必要があります。

[参照] U.S. Department of State「Apply for Your Passport as a 16-17 Year Old」

アメリカと日本の二重国籍でも緊急連絡先の考え方は同じ

子どもが日本とアメリカの両方の国籍を持っている場合でも、米国パスポートを申請する際は米国国務省のパスポート申請ルールに従います。

緊急連絡先についても、二重国籍だから特別に親を記入しなければならないというルールはDS-11にはありません。

したがって「米国籍の親でなければならない」「米国内に住んでいる人でなければならない」という理由だけで人物を選ぶ必要はありません。フォーム上で求められている情報を正確に記入し、緊急時に実際に連絡できる人物を選ぶことが基本です。

日本在住の祖父母でも候補になる

DS-11の緊急連絡先欄では住所と電話番号、本人との関係を記入します。米国在住の人物だけを緊急連絡先にしなければならないという趣旨ではありません。

したがって、日本で暮らしている子どもの米国パスポートで、日本在住の祖父母を緊急連絡先として考えることもできます。

特に家族全員で海外旅行する機会が多い家庭では、日本に残る祖父母は理にかなった候補です。

ただし申請場所が在日米国大使館・領事館の場合など、住所・電話番号の具体的な入力形式について不明点があれば、申請先の最新案内に従ってください。

緊急連絡先は「パスポートに印刷される家族連絡先」とは考えない

緊急連絡先欄を、旅行のたびに誰へ連絡するかを指定するための旅行計画欄のように考える必要はありません。

パスポート申請では申請時点で現在の連絡先情報を提供します。一方、将来のすべての旅行について同じ人物が必ず最適な緊急連絡先になるとは限りません。

子どもが成長すれば、旅行形態も変化します。幼少期には両親と旅行し、高校・大学では一人で留学する可能性もあります。

そのため「将来どんな旅行にも完璧な一人」を選ぼうとするより、申請時に合理的で、通常の家族旅行時にも役立つ連絡先を記入すればよいでしょう。

海外旅行時にはパスポート以外にも緊急連絡先を持たせる

特に未成年者が単身留学やホームステイをする場合、パスポート申請書に緊急連絡先を記載しただけで安心とはいえません。

子ども本人のスマートフォンや紙のメモにも、両親の電話番号、留学先の連絡先、保険会社、学校、日本大使館・総領事館など必要な連絡先を保存しておくと安心です。

スマートフォンを紛失・故障する可能性もあるため、重要な番号だけを書いた紙を財布や荷物へ分散して入れておく方法も有効です。

また米国国務省には海外旅行者向けのSmart Traveler Enrollment Program(STEP)などもあり、米国市民が海外へ旅行・居住するときの安全情報入手に利用できます。

親と祖父母のどちらを選ぶか迷ったときの判断表

判断項目 親 祖父母など
子どもと一緒に旅行する 緊急連絡先には不向き 同行しないなら適している
子どもが単身留学する 非常に適している 補助的候補
両親と子どもが旅行することが多い 同時に連絡不能になる可能性 有力な候補
日中の連絡の取りやすさ つながりやすければ適する つながりやすさを確認
住所が子どもと同じ それ自体は問題の本質ではない 別住所でも可

このように考えると、「親か祖父母か」という続柄だけではなく、実際の旅行時にその人がどこにいるかが最も大切だと分かります。

まとめ|親子旅行が多いなら祖父母、子どもの単身渡航なら親が自然

米国国務省のForm DS-11では、緊急連絡先について申請者と一緒に旅行していない人物の情報を記載するよう明記されています。

したがって、子どもと母親または父親が普段一緒に海外旅行するのであれば、その同行する親ではなく、日本に残る祖父母やもう一方の親などを緊急連絡先にするほうがフォームの趣旨に沿っています。

一方、子どもが単身で留学する場合には、日本に残る親は非常に適した緊急連絡先です。同居していて住所が同じこと自体が問題なのではなく、緊急時に子どもと別の場所にいて、確実に連絡を受けられるかどうかが重要です。

両親と子どもが一緒に旅行する機会が多い家庭なら、祖父母など第三者の家族を登録しておくと実用性が高いでしょう。片方の親だけが同行することが多ければ、同行しないもう一方の親も自然な選択肢です。

また子どもが16歳未満の場合、緊急連絡先はパスポート発給に必要な親権者の同意とは別の項目です。原則として両親・法定後見人の同意が必要であり、親を緊急連絡先として書くだけでは代替できません。16〜17歳の場合には、親を緊急連絡先にすることが親の申請認識を示す方法の一つとして扱われる場合があります。

迷った場合には、「子どもに海外で緊急事態が起きたとき、本人と同行者の双方に連絡が取れなかったとしても、米国側から確実に連絡を受けて家族へ対応をつなげられるのは誰か」と考えると選びやすくなります。

[参照] U.S. Department of State Form DS-11

[参照] U.S. Department of State「Child Passport」

[参照] U.S. Department of State「16-17 Year Old Passport」

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