日本と韓国の両方の国籍を持つ子どもが韓国へ旅行するとき、迷いやすいのが「日本と韓国、どちらのパスポートを使えばよいのか」という点です。日本で生活していて普段は日本のパスポートしか使わない場合でも、韓国では韓国国籍を持っていることが重要になります。
特に注意したいのは、一般的な日本人観光客の入国ルールをそのまま日韓の複数国籍者に当てはめないことです。韓国の国籍法上、複数国籍者は韓国国内で原則として韓国国民として扱われます。そのため、観光目的の短期旅行であっても、有効な日本・韓国双方のパスポートを持参するのが安全です。
日韓二重国籍者は韓国では韓国国民として扱われる
韓国の国籍法第11条の2では、韓国国籍と外国国籍を併せ持つ複数国籍者について、韓国の法令を適用する際には韓国国民として扱うことが定められています。つまり、日本国籍も持っているからといって、韓国国内で自由に「日本人として扱ってもらう」ことを選べるわけではありません。
この点は旅行時のパスポートにも関係します。韓国政府の在外公館では、複数国籍者について韓国への出入国時には原則として有効な韓国旅券を提示するよう案内しています。韓国国籍が現在も有効なのであれば、韓国の入国審査・出国審査では韓国パスポートを使用するのが基本と考えておくと分かりやすいでしょう。
したがって、「日本在住だから日本のパスポートだけでよい」「今回は単なる観光だから日本人として入国すればよい」と単純に判断するのは避けた方が無難です。国籍の扱いと居住国は別の問題だからです。韓国の国籍法については韓国の国家法令情報センターで確認できます。[参照]
日本から韓国へ旅行するときは2冊持って行くのが基本
日韓双方の有効なパスポートを持っている子どもであれば、旅行時には日本のパスポートと韓国のパスポートを両方持参する方法が最もトラブルを避けやすいでしょう。
考え方としては、日本側では日本国民として日本旅券、韓国側では韓国国民として韓国旅券を使用するという整理です。航空会社のチェックインでは渡航先への入国資格を確認する必要があるため、状況によって双方のパスポートを提示できるようにしておくと安心です。
| 場面 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 日本から出国 | 日本パスポート |
| 韓国へ入国 | 韓国パスポート |
| 韓国から出国 | 韓国パスポート |
| 日本へ入国 | 日本パスポート |
| 航空会社のチェックイン | 必要に応じて両方を提示できるようにする |
たとえば日本の空港でチェックインするとき、予約情報と旅券情報の確認などでスタッフからもう一方のパスポートについて尋ねられる可能性があります。2冊とも手元にあれば、その場で事情を説明しやすくなります。
韓国パスポートを持たず日本パスポートだけで入国するとどうなる?
韓国の複数国籍者については、韓国政府の案内でも韓国出入国では韓国旅券を使用することが原則とされています。そのため、有効な韓国パスポートを所有しているのであれば、あえて自宅に置いて日本パスポートだけで渡航するメリットはほとんどありません。
外国旅券による入国が認められる例外的な取扱いが存在する場合はありますが、国籍選択や外国国籍不行使誓約の有無、滞在期間などによって扱いが異なります。「外国旅券でも入れた人がいる」という体験談だけを根拠に判断しないことが重要です。
さらに、入国時に韓国国籍者であることが確認されれば、韓国旅券について確認を受ける可能性も考えられます。韓国政府の在外公館も、複数国籍者について原則として韓国出入国時には有効な韓国旅券を提示するよう案内しています。[参照]
入国と出国では同じ国のパスポートを使うことが大切
もう一つ注意したいのが、韓国へ入国するときと韓国から出国するときで使用するパスポートを不用意に変えないことです。入国記録と出国記録は旅券情報と結び付いているためです。
韓国籍を含む複数国籍者で韓国パスポートを使って韓国へ入国したのであれば、韓国から出国するときも韓国パスポートを使用するのが基本です。日本へ戻る際には、日本側の入国手続きで日本パスポートを使用します。
航空会社側でも複数国籍者について注意事項を設けていることがあります。たとえば大韓航空は、複数国籍者が韓国旅券で韓国に入国した例について、韓国からの出国にも同じ韓国旅券を使用するよう案内しています。[参照]
K-ETAなど「外国人向け手続き」をそのまま適用しない
日本人が観光で韓国へ渡航する場合には、時期によってK-ETAなど外国人向けの入国制度が話題になります。しかし韓国国籍を持つ子どもは、韓国にとって単純な外国人旅行者ではありません。
そのため、「日本パスポートを使うなら日本人観光客と同じ手続きをすればいい」と考えるより、まず韓国国籍者としての出入国方法を確認することが重要です。制度変更もあり得るため、旅行直前には韓国大使館・総領事館や韓国の出入国当局の最新情報を確認すると確実です。
また、日韓複数国籍者については年齢や国籍選択の状況によって別の問題が生じる場合があります。日本の在韓公館も重国籍者の国籍選択について案内しており、韓国側の国籍離脱手続きについては韓国法務部への確認を案内しています。[参照]
子どもの韓国パスポートの有効期限も事前に確認する
久しぶりの韓国旅行では、韓国パスポートを何年も使っておらず、有効期限が切れているケースにも注意が必要です。旅行直前になって気付くと、旅券の再発給が間に合わない可能性があります。
日韓複数国籍者について、駐日本大韓民国大使館では韓国旅券申請時に必要となる書類を案内しています。日本のパスポートや戸籍関係書類などが必要になる場合もあるため、期限切れが近い場合には早めに管轄の韓国大使館・総領事館へ確認しておくとよいでしょう。[参照]
特に未成年の場合は、本人だけでなく親の国籍や家族関係を確認する書類が必要になることがあります。出発日から逆算し、航空券を取る段階で2冊の旅券の有効期限をチェックしておくと安心です。
まとめ:日韓両方のパスポートを持って韓国へ行くのが安心
日韓双方の国籍を持つ子どもが韓国へ旅行する場合、重要なのは韓国では韓国国籍者として扱われることです。韓国の複数国籍者は韓国への出入国時に韓国パスポートを使用することが原則とされているため、日本のパスポートだけを持って旅行するより、双方の有効なパスポートを携帯する方が安全です。
基本的には、日本の出入国では日本パスポート、韓国の出入国では韓国パスポートという使い分けを意識すると整理しやすくなります。航空会社で確認を求められる場合にも備え、2冊ともすぐ提示できるようにしておくとよいでしょう。
なお、複数国籍者の扱いは国籍選択の状況、年齢、韓国側での届出状況などによって異なる可能性があります。個別事情がある場合や韓国旅券が失効している場合には、渡航前に駐日本大韓民国大使館・管轄総領事館または韓国法務部の出入国外国人政策本部へ確認することが確実です。


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