高松海上保安部で長年活躍してきた巡視船「いぶき(PM97)」が2026年7月に解役し、その一方で宇和島海上保安部から巡視艇「たかつき(PC129)」が高松へ配置替えとなりました。船に詳しい人ほど気になるのが、「いぶきの後継として中型以上の巡視船は来ないのか」「高松は今後、巡視艇だけの体制になるのか」という点でしょう。
結論を先に整理すると、2026年8月時点で第六管区海上保安本部が公表している高松海上保安部の所属船艇にはPM型巡視船は掲載されておらず、「たかつき」を含むPC・CL型の巡視艇と灯台見回り船による構成になっています。ただし、これは「今後ずっとPM型以上が高松に配備されない」と決定されたことを意味するものではありません。将来の配置は海上保安庁の船艇整備・配置計画などによって変わる可能性があります。
巡視船「いぶき」はどんな船だったのか
高松海上保安部に所属していた「いぶき」はPM97の番号を持つ巡視船で、1998年に就役した船です。当初は北海道の根室海上保安部で「くなしり」、その後は釧路海上保安部で「いしかり」として運用され、2017年に高松海上保安部へ配置替えされた際に「いぶき」と改名されました。
高松では警備、海難救助、訓練など幅広い任務を担っていましたが、就役から約28年が経過し、2026年7月末に老朽化を理由として解役しました。つまり今回の引退は、単純に高松から大型の船を減らすことだけを目的としたものというより、長期間使用された船艇の更新という側面があります。
「いぶき」は一般に350トン型として扱われてきたPM型巡視船です。PMは「Patrol Vessel Medium」に由来する区分で、PC(Patrol Craft)に分類される巡視艇よりも大きく、航続力や長時間の活動能力などで異なる性格を持っています。
現在の高松海上保安部には「たかつき」が配属されている
第六管区海上保安本部が公開している最新の船艇一覧では、高松海上保安部所属として「たかつき」「くりなみ」「ことなみ」「ひなぎく」「あきひかり」が掲載されています。[参照:第六管区海上保安本部「第六管区の船艇・航空機」]
「たかつき」は30メートル型巡視艇で、船型番号はPC129、総トン数100トン、全長32メートルです。それまで宇和島海上保安部に所属していましたが、2026年7月31日付で高松海上保安部へ配置替えとなりました。
したがって、時期的には「いぶき」の解役と「たかつき」の高松配属がほぼ同時に行われています。ただし、「たかつき」はPM型巡視船ではなくPC型巡視艇であり、船の規模や区分まで含めて「いぶき」と同等の後継船になったわけではありません。
「いぶき」と「たかつき」はどれくらい違う?
船名だけを見ると単純な入れ替えにも見えますが、両船は分類そのものが異なります。おおまかな違いを整理すると次のようになります。
| 項目 | いぶき | たかつき |
|---|---|---|
| 番号 | PM97 | PC129 |
| 分類 | 巡視船(PM型) | 巡視艇(PC型) |
| 船型 | 350トン型巡視船 | 30メートル型巡視艇 |
| 全長 | 約56メートル級 | 32.0メートル |
| 役割の特徴 | 比較的長時間・広範囲の活動にも対応 | 沿岸域での機動的な活動に適する |
PC型だから能力が低いという単純な話ではありません。小型の巡視艇には、沿岸部や島が多い海域で迅速に移動しやすいというメリットがあります。船艇配置では、単純な船の大きさだけではなく、その地域で発生する任務、航行する船舶の状況、港湾環境、他の海上保安部署との連携なども考慮されます。
特に高松海上保安部が管轄する香川県周辺には、備讃瀬戸東航路など船舶交通量の多い海域があります。高松海上保安部自身も、治安維持、海上交通の安全確保、海難救助、海上防災・海洋環境保全などを主要任務として説明しています。[参照:高松海上保安部「海上保安部の紹介」]
高松にはもうPM型以上の巡視船は来ないのか
ここが最も重要なポイントですが、2026年8月時点の公開情報だけから「今後、高松にはPM型以上の巡視船が二度と配備されない」と判断することはできません。確認できるのは、現時点の公式な所属船艇一覧にPM型巡視船がなく、「たかつき」をはじめとする巡視艇中心の構成になっているという事実までです。
船艇の配置は固定ではありません。「いぶき」自身も根室、釧路、高松と配置替えを経験していますし、「たかつき」も宇和島から高松へ移っています。このように海上保安庁では、新造船の就役だけでなく既存船の配置替えによって各地域の体制が変更されることがあります。
そのため、将来的に新造PM型などが高松へ配備される可能性も、別の巡視船が配置替えされる可能性も理論上はあります。一方、公式発表がない段階で「新しいPM型が来る」「○年に大型巡視船が配備される」と断定することもできません。
なぜ大型船の代わりに小型の巡視艇を配置することがあるのか
海上保安庁の船艇配置を考える際には、「大型船の後には必ず同じ大きさの船が来る」とは限らない点が重要です。海上保安庁全体で必要な警備・救難能力を考え、各管区や海上保安部へ船艇を配置するためです。
例えば、外洋で長期間活動する必要がある海域では大型巡視船の航続力が重要になります。一方、瀬戸内海のように陸地や島が近く、多数の船が航行する海域では、比較的小型で機動性の高いPC型巡視艇が活躍する場面も多くあります。
さらに、重大な海難や大規模事案では、一つの海上保安部に所属する船だけで対応するとは限りません。第六管区海上保安本部管内の別の巡視船艇や航空機などが連携することがあります。そのため、所属船艇一覧だけを見て、その地域全体の海上保安能力を判断するのは適切ではありません。
高松の現在の船艇構成から分かること
2026年8月時点の第六管区海上保安本部の公式情報では、高松海上保安部には30メートル型PC「たかつき」、35メートル型PC「くりなみ」、23メートル型PC「ことなみ」、20メートル型CL「ひなぎく」、灯台見回り船「あきひかり」が所属しています。
さらに、高松海上保安部の管轄下にある坂出海上保安署には「あやなみ」「みねぐも」「ことかぜ」、小豆島海上保安署には「きよづき」が配置されています。香川県全体で見ると、複数のPC・CL型巡視艇を各拠点へ配置する構成になっていることが分かります。
したがって、「いぶきがいなくなったため高松の海上保安機能そのものがなくなった」ということではありません。むしろ現在は、複数の巡視艇を使った沿岸警備・救難体制になっていると見るのが適切です。
今後PM型巡視船が配備されるか確認する方法
将来の船艇配置を追いかけたい場合、最も確実なのは海上保安庁と第六管区海上保安本部の公式発表を確認することです。特に新造船の就役、解役、配置替えが行われる際には、管区本部や各海上保安部から情報が公表される場合があります。
また、第六管区海上保安本部の「船艇・航空機」のページは、現在どの船がどの部署に所属しているかを確認する資料として有用です。SNSや船舶情報サイトには公式発表より早く配置情報が出ることもありますが、最終確認には海上保安庁の公式情報を利用するのが安全です。
特に「PM型が来るらしい」といった情報は、配置替え前の寄港、訓練参加、一時的な応援派遣などと正式配属が混同される場合があります。港にPM・PL型巡視船が停泊しているだけでは、その船が高松所属になったとは限らない点にも注意が必要です。
まとめ:現在は「たかつき」など巡視艇中心だが将来のPM型配備までは断定できない
高松海上保安部で長年活動したPM97「いぶき」は、約28年間の運用を経て2026年7月に解役しました。そして同時期に、宇和島海上保安部から30メートル型巡視艇PC129「たかつき」が高松へ配置替えされています。
2026年8月時点で公式に公表されている高松海上保安部の船艇は「たかつき」「くりなみ」「ことなみ」「ひなぎく」「あきひかり」で、PM型以上の巡視船は掲載されていません。その意味では、現時点の高松はPC・CL型巡視艇を中心とした船艇構成になっています。
ただし、それをもって「高松には今後永久にPM型以上が配置されない」と考えるのは早計です。海上保安庁では新造船の就役や既存船の配置替えによって体制が変更されるため、今後のPM・PL型配備については海上保安庁および第六管区海上保安本部からの正式発表を待つ必要があります。


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