夜行新幹線「東海道ルミエールエクスプレス」は改悪?第2弾でA・C・E席販売になった理由と夜行バスとの違いを比較

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東海道新幹線で夜に出発し翌朝目的地へ到着する特別列車「東海道ルミエールエクスプレス」。2026年8月8日に第1弾が東京発・新大阪行きとして運行され、続いて9月22日には新大阪・京都・名古屋発の東京方面行きとなる第2弾が設定されました。

第1弾では普通車の窓側となるA席とE席を中心に販売したため、隣にほかの利用者が来にくいことが大きな特徴でした。一方、第2弾では普通車のA席・C席・E席が販売対象となり、3人掛けのA・B・C席ではA席とC席の両方に利用者が座る可能性があります。この変更を見て、「値段が上がったのに快適性が下がったのでは」と感じる人がいるのも不思議ではありません。

ただし、2026年8月28日時点のJR東海ツアーズ公式情報を確認すると、第2弾の新大阪発・東京方面行き普通車指定席は18,000円ではなく17,000円です。京都発は16,000円、名古屋発は13,500円となっています。[参照:JR東海ツアーズ]

第2弾が第1弾より座席密度の高い商品になったことは事実ですが、「第1弾が売れたので単純に値上げしてサービスを悪くした」と断定できる公式根拠はありません。JR東海は第2弾について、より多くの利用者が乗れるよう販売座席を増やす趣旨を示しており、実証的な特別列車として商品設計を変更しています。

東海道ルミエールエクスプレスとは?

東海道ルミエールエクスプレスは、通常の東海道新幹線とは異なり、夜に出発して途中駅で長時間停車し、翌朝目的地へ到着する特別列車です。寝台列車ではなく、通常の新幹線車両の座席で一夜を過ごします。

第1弾は2026年8月8日22時に東京駅を出発し、品川、新横浜から乗車した後、岐阜羽島駅で深夜帯に約6時間停車。翌朝6時44分に京都、6時59分に新大阪へ到着しました。

JR東海は第1弾について、旅行やレジャーで翌朝から目的地での時間を長く確保したい需要を想定した特別列車として発表しています。東京発・新大阪着の普通車指定席は大人15,000円でした。[参照:JR東海 第1弾発表資料]

列車そのものはJR東海が運行し、利用者はJR東海ツアーズが販売する専用旅行商品を購入して乗車する仕組みです。そのため、一般的な新幹線の指定席特急券を購入する列車とは商品設計が異なります。

第1弾はA席・E席中心で「隣席が空く」のが大きな魅力だった

第1弾が注目された理由の一つが、普通車の販売座席を絞ったことです。一般的な東海道新幹線普通車は、A・B・Cの3人掛けとD・Eの2人掛けで構成されています。

第1弾では普通車の窓側となるA席・E席のみを販売する形が採られました。A席の利用者から見るとB席とC席に通常の商品利用者が入らず、E席なら隣のD席も空くため、通常の指定席より周囲との距離を取りやすい商品でした。

第1弾の座席 販売状況
A席 販売
B席 原則販売しない
C席 原則販売しない
D席 原則販売しない
E席 販売

鉄道関連メディアでも第1弾について「窓側席のみ販売」が特徴として取り上げられており、販売開始後10分弱で完売したと報じられています。[参照:マイナビニュース]

ただし、A席を購入したことでA・B・Cの3席すべてを個人の寝台のように自由使用できる権利まで得られるわけではありません。あくまで購入している指定席は1席です。「横になれることが正式サービスとして保証された商品」と解釈しない点には注意が必要です。

第2弾はA・C・E席販売に変更された

2026年9月22日出発の第2弾では、普通車指定席の販売方法が変更されています。JR東海ツアーズ公式サイトには、3人掛けの窓側A席、通路側C席、2人掛けの窓側E席からシートマップで選択できると明記されています。[参照:JR東海ツアーズ]

座席 第1弾 第2弾
A席 販売 販売
B席 販売対象外 販売対象外
C席 販売対象外 販売
D席 販売対象外 販売対象外
E席 販売 販売

つまり3人掛けでは、A席-空席のB席-C席という配置になります。A席とC席の利用者が隣り合わせになるわけではなく、間にB席が1席空く設計です。

2人掛け側についてはD席を販売せずE席を販売するため、第1弾と同様、E席利用者の隣は空席になります。したがって、第2弾でも「全席が普通の新幹線と同じ密度になる」わけではありません。

第1弾と比べればA席の快適性は下がる可能性がある

一方、第1弾と比較したとき、特にA席利用者の専有感が下がるという指摘には理由があります。

第1弾のA席では、販売対象外のB・C席を挟んで通路という配置でした。第2弾ではC席にも利用者が座る可能性があるので、B席は空いていても同じ3人掛け座席に他人がいる状態になります。

例えば夜中に姿勢を変えたり荷物を扱ったりするとき、第1弾のほうが周囲を気にせず過ごしやすかったと感じる人はいるでしょう。「普通車でできるだけ他人との距離を確保して眠りたい」という目的なら、第1弾の座席設定のほうが明らかに有利です。

第2弾の普通車で快適性を優先するなら、A席よりも隣のD席が販売対象外となるE席を選ぶほうが、第1弾に近い環境を確保しやすいと考えられます。

「15,000円から18,000円へ2割値上げ」は正確ではない

価格については比較する区間をそろえる必要があります。第1弾は東京から新大阪への下り、第2弾は新大阪から東京方面への上りで、方向も乗車駅も逆になっています。

第1弾の東京発・新大阪着普通車指定席は15,000円でした。一方、2026年8月28日時点でJR東海ツアーズが案内している第2弾の新大阪発普通車指定席は17,000円です。

したがって同じ東京~新大阪相当で見ると、15,000円から17,000円への2,000円増、約13.3%の上昇です。18,000円への20%値上げという比較とは異なります。

商品 区間 普通車
第1弾 東京→新大阪 15,000円
第2弾 新大阪→東京方面 17,000円
第2弾 京都→東京方面 16,000円
第2弾 名古屋→東京方面 13,500円

第2弾のグリーン車は新大阪発23,000円、京都発21,500円、名古屋発19,000円です。価格や販売状況は公式ページで最新情報を確認するのが確実です。[参照:JR東海ツアーズ]

なぜC席まで売るようになったのか?

第1弾が短時間で完売したため、「人気だったので味をしめて席を増やしたのでは」と考えたくなるかもしれません。しかし、企業側の動機については推測と確認できる事実を分ける必要があります。

第2弾についてJR東海は、より多くの利用者が乗車できるよう販売座席を増やすなど商品内容を変更しています。また、上下両方向での運行実績を踏まえ、利用ニーズや運営上の課題を検証し、今後の商品・サービス検討に活用する方針が報じられています。

つまり、第1弾の売れ行きが第2弾につながった可能性は十分考えられるものの、「完売したから利益を増やすためにサービスを意図的に悪化させた」とまでは確認できません。

むしろ現在は、夜行新幹線という新しい商品について「どの程度の座席密度なら需要があるか」「いくらなら購入されるか」「夜間の車内でどんな課題が発生するか」を試している段階と見るほうが公式説明との整合性があります。

第2弾でもB席とD席を売らないのは重要なポイント

第2弾を単純に「普通の新幹線と同じになった」と評価するのも正確ではありません。

通常の普通車指定席なら、A・B・C席すべてに別々の利用者が座る可能性があります。第2弾ではB席を販売しないため、A席とC席の利用者の間には1席分の空間が残ります。

同様にD席も販売しないので、E席は隣席が空いた状態になります。この座席密度は通常の新幹線より低く、一定のパーソナルスペースは確保されています。

ただ、第1弾が非常にゆったりした販売方法だったため、その第1弾を基準にすると「改悪」と感じる人がいても不思議ではありません。評価が分かれるのは、通常列車を基準にするか、第1弾を基準にするかの違いともいえます。

夜行新幹線は「寝台新幹線」ではない

東海道ルミエールエクスプレスを評価するときに最も重要なのは、寝るために設計された寝台列車ではないという点です。

第2弾では24時ごろから翌朝6時ごろまで約6時間、新富士駅に停車します。しかし車内の座席は通常の新幹線用リクライニングシートで、ベッドにはなりません。

さらにJR東海ツアーズは、室内灯は常時点灯すると案内しています。新富士駅では夜間に線路や設備の保守作業が行われ、作業による音や振動が車内まで届く可能性もあります。[参照:JR東海ツアーズ]

その代わり、第2弾ではアイマスク、スリッパ、靴用脱臭乾燥剤が配布されます。とはいえ、睡眠環境だけを基準にすれば、個室型・独立型の高級夜行バスのほうが魅力的に感じる人は少なくないでしょう。

夜行バスの3列独立シートと比べるとどちらが快適?

東京~大阪間には、3列独立シートを採用した夜行バスが多数あります。2026年8月のバスタ新宿発・大阪梅田行きでも、全席カーテン付き3列独立シート、USB充電、トイレ付きなどの便が確認できます。

価格は日付や会社によって大きく変動しますが、例えば2026年8月26日の検索例では3列独立シートの便が5,900円、8月29日には8,000円程度の便が確認できます。繁忙日には1万円を超える場合もあります。

また、JRバスの「グランドリーム」のように3列独立シート、トイレ、充電設備、Wi-Fiなどを備える便もあります。日付によっては1万円前後になるため、夜行新幹線の17,000円よりかなり安く移動できる可能性があります。

したがって「とにかく眠りやすい座席とプライバシーを安く確保したい」という条件なら、3列独立型の夜行バスが有力です。

それでも夜行新幹線にメリットがある理由

一方、夜行バスより価格が高いからといって、夜行新幹線の商品価値がなくなるわけでもありません。乗り物としての性質がかなり違うためです。

新幹線は鉄道なので、バスに比べて走行中の左右方向の揺れや道路由来の振動が少なく、走行中にトイレへ移動するときも比較的歩きやすいという特徴があります。車内空間もバスより広く、天井の圧迫感も小さくなります。

また第2弾は新大阪・京都・名古屋を22時台に出発し、翌朝6時台に首都圏へ到着します。ホテルへ宿泊して翌朝新幹線へ乗る場合と比べ、前夜を最後まで関西で使いながら早朝に東京へ到着できる点は大きなメリットです。

夜行バスが苦手な人にとっては、「バスではない夜間移動」ということ自体が価値になります。逆にバスで問題なく眠れる人には、価格差を正当化しにくい商品になるでしょう。

夜行新幹線と3列独立夜行バスを比較

比較項目 ルミエールエクスプレス普通車 3列独立夜行バス
新大阪→東京方面の価格 17,000円 日付次第で数千円~1万円超
座席 通常の新幹線指定席 夜行向け独立シートが中心
隣席 B・D席は販売対象外 3列独立なら基本的に独立
カーテン 個席用カーテンなし 装備する便が多い
消灯 室内灯は常時点灯 夜間消灯する便が一般的
トイレ あり 便によってあり
走行中の車内移動 比較的しやすい 難しい
道路渋滞 影響なし 影響を受ける可能性あり
夜行としての珍しさ 非常に高い 通常の交通手段

純粋な睡眠設備と価格だけなら夜行バスに分があります。一方、鉄道の安定感、車内の広さ、早朝到着、夜行新幹線そのものの体験価値を重視するならルミエールエクスプレスにも魅力があります。

E席なら第2弾でも隣席なしで利用できる

第2弾を利用したいものの、同じ3人掛けに別の利用者がいるのが気になる場合は、座席選択が重要です。

普通車ではA・C・E席が販売されます。このうちE席の隣にあるD席は販売されないため、E席を確保できれば隣席は空席になる商品設計です。

A席の場合はB席を挟んでC席、C席の場合はB席を挟んでA席に別の利用者が座る可能性があります。それでも1席分離れているため、通常の満席新幹線よりは距離があります。

第1弾の「隣に人がいない」という特徴をできるだけ維持したいなら、第2弾ではE席を優先して選ぶのが合理的です。公式サイトによればシートマップから座席を選択できます。

「横に寝られる」と考えて購入するのは注意

第1弾ではA席だけ販売され、その隣のB・C席が販売されなかったことから、「3人掛けを一人で使って横になれる」と紹介されることがあります。

しかし、販売対象外の座席は購入者が追加料金なしで取得した指定席ではありません。空いているからといって、3席をベッドとして利用することが正式に保証された商品ではない点には注意が必要です。

また、走行中や停車中の安全確保、ほかの利用者や乗務員の通行、車内マナーなどの観点もあります。実際にどのような姿勢で過ごせるかは現場の案内に従う必要があります。

したがって、第1弾と第2弾を比較するときも、「第1弾は3席分の寝台が15,000円だった」という前提ではなく、第1弾は周囲の販売席数が非常に少なく、第2弾はその空間的余裕が一部縮小したと表現するほうが正確です。

第2弾が不人気になるとはまだ断定できない

第1弾は販売開始後10分弱で完売したと報じられています。しかし、第2弾がA・C・E席販売となったことで売れなくなるかどうかは、実際の販売結果を見るまで分かりません。

第2弾には第1弾とは異なる需要があります。第1弾は首都圏から関西への下り、第2弾は関西・名古屋から首都圏への上りです。シルバーウィーク中の移動という日程も異なるため、単純な売れ行き比較は難しいでしょう。

また「夜行新幹線に一度乗ってみたい」という体験需要もあります。通常では体験できない深夜帯の新幹線車内や、約6時間にわたる駅での停車自体をイベントとして楽しむ鉄道ファンもいます。

一方、実用的な移動手段として考える利用者にとっては、17,000円という価格と睡眠環境がネックになる可能性があります。今後継続するなら、この両者の需要をどう取り込むかがポイントになりそうです。

どんな人なら夜行新幹線を選ぶ価値がある?

ルミエールエクスプレスに向いているのは、単純に最安価格を求める人ではありません。夜行バスが苦手で、ホテル代も節約しつつ翌朝早く目的地へ到着したい人には選択肢になります。

例えば新大阪を22時台まで利用し、翌朝7時前に東京へ着きたいケースなら、ホテルに泊まって翌朝の始発新幹線に乗る方法とは異なる時間の使い方ができます。

また鉄道好きにとっては、普段は旅客列車で滞在できない深夜の新幹線を体験できること自体に料金を払う価値があります。

逆に「安く移動したい」「とにかく熟睡したい」「個人空間が欲しい」という人なら、3列独立型の夜行バスを比較したほうが満足できる可能性があります。

まとめ:第2弾は座席密度が上がったが「18,000円へ2割値上げ」は誤り

東海道ルミエールエクスプレス第2弾は、第1弾と比べて商品内容が変更されています。第1弾の普通車ではA席・E席を中心に販売していましたが、第2弾ではA席・C席・E席を販売します。そのため、3人掛け側ではA席とC席の両方に利用者が座る可能性があり、第1弾ほどの開放感は期待できません。

一方、B席は販売対象外なので、A席とC席が直接隣り合うわけではありません。またD席も販売されないため、E席を選べば隣席が空くというメリットは残っています。

価格についても、2026年8月28日時点の公式価格では、新大阪発・東京方面行き普通車は17,000円です。第1弾の東京→新大阪15,000円と比較すると2,000円、約13.3%の上昇であり、「15,000円から18,000円へ2割値上げ」という情報とは一致しません。[参照:JR東海ツアーズ公式]

第1弾を基準にすれば、普通車の空間的な余裕が減ったため「改悪」と感じる利用者がいるのは理解できます。しかし、JR東海側は販売座席を増やしてより多くの利用者が乗れる商品へ変更しており、単純なサービス低下だけではなく、実証運行の条件変更として見る必要があります。

そして睡眠環境と価格を最優先するなら、東京~大阪間で数千円から1万円前後でも見つかる3列独立型夜行バスは強力な競合です。一方、道路移動が苦手、新幹線の広い車内で過ごしたい、翌朝早く到着したい、夜行新幹線そのものを体験したいという人にはルミエールエクスプレスならではの価値があります。どちらが優れているかではなく、睡眠・価格を取るなら夜行バス、鉄道の快適性や体験価値を取るなら夜行新幹線という選び分けが現実的でしょう。

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