ANAのスーパーフライヤーズカード(SFC)制度変更をきっかけに、今後はJALを利用しようと考える人もいるでしょう。羽田空港を基準にすると、ANA国内線は主に第2ターミナル、JAL国内線は第1ターミナルを利用するため、航空会社を変えるだけで空港での景色や動線、ラウンジ、店舗、利用者層の雰囲気までかなり違って感じる可能性があります。
ただし、2026年8月30日時点で重要なのは、話題になったSFC制度改定がそのまま確定しているわけではないことです。ANAは当初、年間のANAカード・ANA Pay決済額300万円以上を「SFC PLUS」、300万円未満を「SFC LITE」とし、LITEではANAラウンジを利用できずスター アライアンス・シルバーになる制度案を公表しましたが、その後「多くのお客様よりご意見をいただいている」として内容の見直しを検討し、2026年9月末までに改めて詳細を案内すると公式発表しています。[参照] ANA「スーパーフライヤーズカードの制度変更」
そのため「SFCが改悪されたのでJALへ移ればすべて解決」と単純化するより、ANAとJALではターミナルだけでなく、上級会員制度を獲得・維持する仕組みそのものが違う、と理解することが重要です。
- 羽田ではANAとJALで国内線ターミナルそのものが違う
- 「違った世界線」は主観だが、空港体験が変わるのは事実
- SFCを持っていてもJALに乗ればJGC待遇になるわけではない
- JAL側のSFCに近い存在がJALグローバルクラブ(JGC)
- JGCになれば羽田第1ターミナルで体験が大きく変わる
- 羽田のJALラウンジは2026年にリニューアル中
- JGCがなくてもサクララウンジを試す方法はある
- ANAとJALは路線によって便利さが変わる
- SFCとJGCは「維持の考え方」も同じではない
- 「SFC改悪でJALへ大量移住」は現時点では確認できない
- ANAユーザーが初めてJALへ乗ると感じやすい違い
- まとめ|JAL第1ターミナルは確かに別世界に見えるが、乗り換え前に制度比較が必要
羽田ではANAとJALで国内線ターミナルそのものが違う
羽田空港の国内線では、ANA便を中心とする利用者にとって馴染み深いのが第2ターミナルです。一方、JAL国内線は第1ターミナルを使用します。JAL公式サイトでも羽田の国内線ターミナルを「第1ターミナル」と案内しています。[参照] JAL「東京国際空港(羽田)」
そのためANAを長く利用してきた人がJALへ切り替えると、最初に感じる違いは航空会社のサービス以前に「いつもの羽田なのに景色が違う」という点でしょう。京急や東京モノレールを降りる場所、チェックインカウンター、保安検査場、飲食店、搭乗口へ向かう方向などを一から覚え直すことになります。
例えば何年もANAだけに乗っていた人なら、第2ターミナル内の最短動線を身体で覚えていることがあります。JALへ変えると同じ羽田でも第1ターミナルへ向かうため、最初の数回は文字通り「別の空港へ来たような感覚」になることは十分考えられます。
「違った世界線」は主観だが、空港体験が変わるのは事実
第1ターミナルへ来たからといって、ANA側よりJAL側のほうが豪華、逆に地味、と客観的に決められるわけではありません。「別世界」という表現はあくまで利用者の感想です。
しかし航空会社ごとにブランドカラー、案内表示、ラウンジ名称、カウンター、搭乗方法などが統一されているため、特定の会社を長年利用した人ほど違いを強く感じます。ANAで当たり前だった「ANA PREMIUM CHECK-IN」「ANA LOUNGE」「SFC」という言葉が、JAL側では「JALグローバルクラブ」「サクララウンジ」などに置き換わります。
つまり、飛行機そのものをANAからJALへ変えるだけではなく、空港で利用してきたサービス体系を丸ごと別の航空会社のエコシステムへ移す感覚に近いと考えると分かりやすいでしょう。
SFCを持っていてもJALに乗ればJGC待遇になるわけではない
ここは乗り換えを考える際に最も重要です。ANAのSFCを保有していても、それだけでJAL国内線のサクララウンジやJALグローバルクラブ専用サービスを利用できるわけではありません。
ANAとJALでは所属する航空連合も異なります。ANAはスター アライアンス、JALはワンワールドです。そのためANA側でスター アライアンス・ゴールド相当の資格を持っていても、JALへ乗り換えただけでワンワールドの上級会員資格へ移行する仕組みではありません。
したがってSFC利用者が初めてJALの一般席へ乗る場合、JAL側では基本的にその航空券やJAL側のステータスに応じたサービスになります。「ANAでは毎回ラウンジへ入っていたのに、JALへ来たら最初は入れない」ということも普通にあり得ます。
JAL側のSFCに近い存在がJALグローバルクラブ(JGC)
JALには、長期的な上級会員サービスとしてJALグローバルクラブ(JGC)があります。ただし2024年以降のJGC入会制度は以前と変わっており、現在はJAL Life Statusプログラムを基準にしています。
2026年8月現在、日本在住者がJGCへ入会するには、原則として1,500 Life Statusポイント以上を獲得し、対象となるJALカードを保有するなどの条件を満たす必要があります。[参照] JAL「JALグローバルクラブ ご入会にあたって」
Life Statusポイントは搭乗だけでなくJALカード利用など対象サービスでも積み上がる生涯実績型のポイントで、有効期限がありません。[参照] JAL「JAL Life Statusプログラム」 そのため、昔のように単純に「1年間たくさん飛んでサファイアになればJGC」という発想だけでは説明できない制度になっています。
JGCになれば羽田第1ターミナルで体験が大きく変わる
JALグローバルクラブ会員になると、羽田空港ではJGC向けサービスを利用できるようになります。JALは第1ターミナルにJALグローバルクラブ専用カウンターや専用保安検査場を設けています。
さらにJGC会員は、搭乗条件を満たせば国内線サクララウンジを利用できます。羽田のサクララウンジにはソフトドリンク、アルコール、おつまみ、Wi-Fi、トイレ、シャワーなどが用意されており、会員本人に加えて同行者1名も利用対象となります。[参照] JAL「羽田空港 サクララウンジ」
この段階まで来ると、元SFC利用者にとっては「ANAで使っていた優先サービスのJAL版」が徐々に見えてきます。ただし細かな利用条件やサービス内容はANAと同一ではないため、単純な名称の置き換えではありません。
羽田のJALラウンジは2026年にリニューアル中
2026年にJALへ乗り換えた人が羽田第1ターミナルを利用する場合、通常時とは少し事情が異なります。JALは2026年1月から国内線ラウンジ、ファーストクラス・JGC専用カウンター、保安検査場の大規模リニューアルを順次進めています。
北ウイングではJGC専用カウンターが2026年7月24日に再オープンしました。一方、専用保安検査場については2026年10月のオープン予定とされており、南ウイングのダイヤモンド・プレミアラウンジとサクララウンジは2026年10月から2027年5月まで閉鎖し、2027年6月の再オープンを予定しています。[参照] JAL「羽田空港国内線ラウンジなどのリニューアルに伴うサービスのご案内」
つまり2026年現在のJAL羽田体験だけを見て「ANAとはこう違う」と固定的に判断すると、翌年には設備や動線が変わっている可能性があります。特にラウンジを比較したい場合は、改修完了後に評価が変わることを考慮したほうがよいでしょう。
JGCがなくてもサクララウンジを試す方法はある
「JALへ本格的に移行する前に、JAL側の空港体験を試してみたい」という場合、必ずしもJGCになるまでラウンジへ入れないわけではありません。JALは羽田など一部空港で国内線サクララウンジの有料利用サービスを提供しています。
2026年8月現在、羽田のサクララウンジは利用資格を持たない対象旅客でも、1人3,000円で利用できます。羽田では搭乗日当日にラウンジ受付で現金を支払う方式です。混雑時には利用できないことがあります。[参照] JAL「国内線サクララウンジお申し込み(有料)」
例えばSFCを持っているもののJALにはほとんど乗ったことがない人なら、一度JAL便を予約して第1ターミナルを利用し、有料サクララウンジも体験してみれば、自分にとって「別世界」が魅力的なのかを実際に比較できます。
ANAとJALは路線によって便利さが変わる
上級会員制度だけで航空会社を決めると見落としやすいのが、普段利用する路線です。羽田発着でもANAとJALでは便数や時間帯、就航地が完全に同じではありません。
例えば自宅から羽田第1ターミナルと第2ターミナルのどちらへ行きやすいか、出張先でANA系とJAL系のどちらの便が便利か、最終便が何時かなどによって、実用上の価値は大きく変わります。
年間数十回飛行機へ乗る人なら、ラウンジが少し好みという理由よりも、「よく利用する路線に希望時間帯の便がある」という違いのほうが年間では大きな差になることもあります。
SFCとJGCは「維持の考え方」も同じではない
SFCからJGCへの乗り換えを検討するときは、空港ラウンジの比較だけでなく資格制度を確認する必要があります。2026年にANAが発表したSFC新制度案では、年間決済額300万円という継続的な利用条件をサービス区分の判定材料にする内容が示されました。
これに対してJGCへの新規入会は、現在1,500 Life Statusポイントという生涯実績型の条件が中心です。ただしJGCも対象のJALカードを保有する必要があるため、完全にコストなしで永久資格が維持される制度という意味ではありません。
またANAは2026年8月現在、SFC制度変更案の見直しを進めています。したがって、最終条件が発表される前に「今後はJGCのほうが絶対に有利」と断定するのは早い段階です。
「SFC改悪でJALへ大量移住」は現時点では確認できない
SNSや航空系コミュニティでは、SFC制度変更を受けて「JALへ移る」「もうANAにこだわらない」といった意見が出ることがあります。しかし、それをもって実際に多数のSFC会員がJALへ移行したと判断することはできません。
ANAやJALは「SFC制度変更を理由として何人がANAからJALへ移ったか」という統計を公表していません。またANA自身が制度案の再検討を発表している段階なので、利用者の最終判断も今後変わる可能性があります。
そのため「SFC民がJALターミナルへ大量流入して驚いている」というような描写は、ネット上の比喩や話題として楽しむ範囲ならともかく、事実として扱わないほうが正確です。
ANAユーザーが初めてJALへ乗ると感じやすい違い
長年ANA中心だった人がJALを利用した場合、実際に感じやすい違いを整理すると次のようになります。
| 項目 | ANA中心の利用 | JAL中心の利用 |
|---|---|---|
| 羽田国内線 | 主に第2ターミナル | 第1ターミナル |
| 長期会員制度 | スーパーフライヤーズカード(SFC) | JALグローバルクラブ(JGC) |
| 航空連合 | スター アライアンス | ワンワールド |
| 国内線主要ラウンジ | ANA LOUNGE | サクララウンジ |
| 上級向けチェックイン | ANA側専用サービス | JGC・ファーストクラス側専用サービス |
| 新規長期資格の考え方 | SFC制度改定案を現在再検討中 | 1,500 Life StatusポイントなどがJGC入会条件 |
空港で体験する「違った世界線」の正体は、建物の違いだけではありません。ラウンジ名からアプリ、マイル、カード、航空連合まで、それまで利用していた仕組みがほぼすべて入れ替わる点にあります。
まとめ|JAL第1ターミナルは確かに別世界に見えるが、乗り換え前に制度比較が必要
ANAを長年利用していた人が羽田で初めてJAL国内線へ乗れば、第2ターミナルではなく第1ターミナルへ向かうことになるため、「同じ羽田なのに別世界」と感じることは十分あり得ます。チェックイン、保安検査、ラウンジ、店舗、搭乗口など、普段見慣れた環境が一変するためです。
JGC会員になれば専用カウンターやサクララウンジなどJAL独自の上級会員サービスも利用でき、元SFC利用者ならANA側との違いをさらに実感しやすくなります。一方、SFCを持っているだけでJALのJGCサービスへ自動的に移行できるわけではありません。
現在JGCへ新規入会するには1,500 Life Statusポイント以上などの条件があります。そのため、SFC制度変更を理由にJALへ完全移行するなら、単に次回からJAL便を買うだけでなく、JGCを目指すか、一般JMB会員として利用するかまで考える必要があります。
さらに、2026年に発表されたSFC制度改定についてはANAが現在見直しを検討中で、2026年9月末までに改めて詳細を発表する予定です。300万円決済基準を含む当初案を現時点で最終確定事項として扱うのは適切ではありません。
結局のところ、JALターミナルには確かにANAとは違う「世界」がありますが、どちらが優れているかは、ラウンジだけではなく利用路線、運賃、マイル、カード決済、航空連合、上級資格の取りやすさまで含めて決まります。興味があるなら、まず数回JALを利用して第1ターミナルやサクララウンジを実体験してから、本格的に乗り換えるか判断する方法が現実的です。
※本記事は2026年8月30日時点のANA、JAL公式情報をもとに作成しています。ANAはSFC制度改定内容を再検討しており、2026年9月末までに詳細を改めて発表するとしています。またJAL羽田第1ターミナルでは2026~2027年にラウンジ・専用カウンター・保安検査場のリニューアルが進行しているため、実際の利用時には最新情報をご確認ください。

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