夜行バスでは座席のリクライニングをめぐって乗客同士のトラブルが起きることがあります。特に「座席を倒したら後ろの人に怒られた」というケースでは、どこまで倒してよいのか、直接言い返すべきなのか迷いやすいものです。
VIPライナーの場合、この問題を考えるうえで重要なのが「一斉リクライニング」という独自の運用です。公式案内では、消灯時間になると一斉リクライニングの案内を行い、対象車両ではフルに倒して休むよう案内しています。[参照:VIPライナー 車内での過ごし方]
したがって、案内に従ってリクライニングしていたところ後ろの乗客から怒鳴られたり座席を蹴られたりした場合、乗客同士で言い争って解決しようとせず、まず乗務員へ相談するのが適切です。相手が興奮しているときは、自分の正当性を主張することより安全を優先します。
VIPライナーは消灯時の「一斉リクライニング」を案内している
一般的な高速バスでは、リクライニングするときに後ろの乗客へ一声かけるというマナーが語られることがあります。しかしVIPライナーの夜行便には、それとは少し異なる運用があります。
VIPライナー公式サイトでは、消灯前は後ろの乗客が乗り降りしにくくなるためリクライニングを控えめにし、消灯時間になったら一斉リクライニングの案内を行い、フルに倒して休むよう説明しています。[参照:VIPライナー 車内マナー]
また公式の初めて利用する人向け案内でも、全乗客が同時に座席を倒す一斉フルリクライニングを紹介し、後ろを過度に気にせず座席を倒して休める仕組みとして説明しています。[参照:VIPライナー はじめての方へ]
ただし、一部には後方へ倒れないバックシェル型など一斉リクライニングを行わない車両もあります。実際に乗車した便の車内アナウンスや乗務員の案内を優先することが大切です。
案内通りに倒しているなら後ろの人の要求だけで判断する必要はない
対象便で乗務員から一斉リクライニングの案内があり、そのタイミングで通常の操作によって座席を倒したのであれば、VIPライナーが想定している利用方法に沿っていると考えられます。
後ろの乗客が「狭い」「倒さないでほしい」と感じること自体はあり得ます。体格や荷物、体調などによって座席への感じ方には個人差があるからです。しかし、それと怒鳴ったり前席を蹴ったりすることは別問題です。
こうした場合、前席の利用者と後席の利用者のどちらが我慢するかを当事者同士で決めるより、バス会社側の運用に従って乗務員に判断してもらうほうが安全で公平です。
怒鳴られたり座席を蹴られたりしたら乗務員へ相談する
相手が普通の口調でお願いしてくるのであれば、話し合って少し角度を調整するという選択もできます。しかし、声を荒らげて威圧したり座席を何度も蹴ったりする状況では、直接の交渉を続けることはおすすめできません。
走行中の車内でトラブルになった場合は、安全を確保できるタイミングで乗務員へ事情を伝えます。「一斉リクライニングの案内後に座席を倒したところ、後ろの人から怒鳴られて座席を蹴られた」と、評価を加えず起きたことを具体的に説明すると伝わりやすくなります。
夜行便では2~3時間おきに途中休憩を予定しているとVIPライナーが案内しています。緊急性が低く、走行中に乗務員へ安全に声をかける方法が分からない場合は、次の休憩時に相談する方法もあります。[参照:VIPライナー ご利用案内]
一方、暴力を受けている、危害を加えると脅されているなど身の危険を感じる状況なら、単なる座席マナーの問題ではありません。自分で相手を制止しようとせず、速やかに乗務員へ助けを求めることを優先します。
その場では座席を戻しても「対応を間違えた」とは限らない
突然後ろから怒鳴られたり座席を蹴られたりすれば、トラブルを避けるため反射的にリクライニングを戻す人もいるでしょう。それは「相手の要求が正しかった」と認めることとは別です。
相手が興奮している場面では、いったん距離を取り、衝突を拡大させないことが重要です。その場で言い返さず座席を戻し、次の休憩などで乗務員に相談する対応も十分合理的です。
乗務員へ相談すれば、車内ルールを改めて説明してもらったり、状況によって可能な対応を検討してもらったりできます。空席への移動などが可能かどうかについても、乗客が勝手に席を移るのではなく乗務員へ確認するのが適切です。
「後ろに一声かけなかったから悪い」とは一概にいえない
リクライニング時に後ろへ「倒してもよいですか」と声をかけるのは一般的な配慮の一つです。しかしVIPライナーの一斉リクライニング対象便では、そもそも乗客同士が個別に交渉しなくても済むよう、消灯時に全体へリクライニングの案内をする仕組みが採用されています。
VIPライナー自身も、一斉リクライニングについて全員が同時に倒すことで後ろの人へ過度に気兼ねせず休める仕組みとして紹介しています。[参照:VIPライナー 一斉リクライニング]
したがって、一斉リクライニングのアナウンスに従って倒した場面を、通常の昼行バスなどで突然フルリクライニングしたケースと同じように考える必要はありません。利用する便ごとのルールや車内アナウンスを基準に判断するのが適切です。
到着後にもバス会社へ状況を伝えておく
車内で十分な相談ができなかった場合は、到着後に運行会社へ連絡して状況を伝える方法があります。便名、乗車日、出発地・到着地、自分の座席番号、発生したおおよその時刻、相手の座席位置などを記録しておくと説明しやすくなります。
特に「リクライニングを上げてほしいと言われた」だけなのか、「怒鳴られた」「座席を繰り返し蹴られた」のかは区別して伝えます。後者は単なるリクライニングの好みとは性質が異なるためです。
また、相手を撮影したりSNSへ公開したりして解決しようとするより、まず運行会社へ正式に伝えるほうが適切です。トラブルが深刻で身体への危害や具体的な脅迫などがあった場合には、その内容に応じて警察への相談も検討します。
夜行バスで同じトラブルが起きたときの対処手順
今後同様の状況に遭遇した場合は、次の順序で考えると落ち着いて対応しやすくなります。
- 自分が車内アナウンスや利用ルールに従っているか確認する
- 相手が興奮している場合は言い争わない
- 身の危険がある場合は安全確保を最優先する
- 安全なタイミングで乗務員へ事実を伝える
- 必要であれば座席について乗務員の判断を求める
- 解決しなければ便名・座席・時刻などを記録して運行会社へ連絡する
ポイントは「自分で相手を説得しなければならない」と考えないことです。夜行バスは公共交通機関であり、車内で乗客同士のトラブルが起きた場合には運行側へ相談できます。
また、相手の要求に応じて一時的に座席を起こしたとしても、その後に乗務員へ事情を説明して構いません。安全のためその場では譲り、第三者を介して解決するという順序でも問題ありません。
まとめ:VIPライナーの一斉リクライニング後なら乗務員に対応を求めるのが基本
VIPライナーでは、対象となる夜行便について消灯時間に一斉リクライニングを案内し、フルに倒して休むことを公式に案内しています。そのため、一斉リクライニングの案内に従って座席を倒した後、後ろの乗客から怒鳴られたり座席を蹴られたりした場合は、乗客同士で決着をつけようとせず乗務員へ相談するのが基本です。
その場で怖さを感じてリクライニングを戻したとしても、安全を優先した対応として不自然ではありません。重要なのは相手と口論を続けることではなく、乗務員という第三者に状況を伝えることです。
夜行バスではリクライニングの考え方が会社や車両によって異なります。乗車時にはその便のアナウンスと公式ルールを確認し、それに従っているにもかかわらず威圧的な行為を受けた場合は、無理に一人で対処せず運行側へ対応を求めるのが安全です。


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